世界初指紋認証クレジットカード MasterCardとZwipe

指紋認証開発のZwipeとタッグ


世界初の指紋認証センサを搭載した非接触型クレジットカードの開発に関し、MasterCardはノルウェーの企業Zwipeと提携したことを発表した。2015年発行を目指す。

カードには所有者の生体認証データが保存され、指紋認証センサーに指を乗せた状態でカードを非接触型のリーダーにかざして使用する。指紋認証により、PINコードを入力する必要が無いため一瞬でカードによる決済は終了する。

カードにはEMV認定のセキュアエレメントとMasterCardの非接触型アプリケーションが搭載され、所有者のデータはカード内部に保存される。指紋認証に必要な電力は非接触決済端末から供給されるため電池は不要、充電の必要もない。PINコードの入力が必要な非接触決済の買い物でも指紋認証ならPINコードの入力は必要ないのだ。

EMVとは、EuroPay(ユーロペイ)、Matercard International(マスターカード・インタナショナル)、およびVisa International(ビザ・インターナショナル)の間で合意したICカードの統一規格の略称だ。
EMVの認定のセキュアエレメントはiPhone6にも搭載された非接触決済用のチップのことで、北米の店舗やATMはEMV規格への対応に追われている。

Zwipeのホームページではカードを使用したデモンストレーション動画が公開されており、指紋認証カードを使用する様子をチェックすることができる。
ノルウェー国内の銀行ではすでに試験版の導入テストが行われており、カード利用者、店舗双方から良いフィードバックを得ているようだ。

Apple Payと仕組みは同じ


MasterCardは9月10日にApple Payに対応する発表をしている。Apple payはiPhoneの指紋認証Touch IDを利用した非接触決済システムであり、今回発表のカードのiPhoneバージョンだと考えるとシンプルだ。

Apple Payではクレジット情報が端末やAppleのサーバーに送信されることはなく保存もせずにモバイル決済を可能にする独自の認証システムであるトークンが採用されている。
トークンは、Apple Pay初回起動時にランダムで生成されるクレジットカード番号の末尾4桁を含む16桁の独自番号のこと。トークン化することで、カード番号が漏れる心配がない。生成されたトークンは端末のEMVチップに保存され、決済時にトークンがクレジット情報の代わりとなり決済が可能になるという仕組みだ。

現在国内ではイオン銀行が日本初でEMV対応のATMを導入し、セブン銀行は2015年12月頃より対応を予定している。店舗やサービスのEMV規格化が進めばApple Payが日本でも普及し始めそうだが、Apple Payと互換性を持たないFeliCa端末の普及がEMV対応のハードルとなりそうだ。
しかし、東京オリンピックまでに世界基準に合わせ決済インフラの見直しを図ろうとする動きもあり、両規格に対応した端末導入によるEMV対応が期待できそうだ。



−編集部−