クックパッド、食関連メーカーの海外展開をサポートする「グローバルデータソリューション」の提供を開始

ECのミカタ編集部

クックパッド株式会社は、食関連メーカーの海外展開に関する課題解決をサポートするため、世界74カ国・地域、32言語で展開するレシピサービス「クックパッド」の投稿データを活用した「グローバルデータソリューション」の提供を開始すると発表した。

過半数の食品関連メーカーが海外展開に意欲

少子高齢化に伴う国内需要の縮小、コロナ禍による商環境などの変化から、海外展開に取り組む食関連メーカーが増加している。日本政策金融公庫の調査によると、食品産業において輸出に取り組んでいる企業は36.7%、今後取り組みたいと回答している企業と合わせると過半数を超える56.4%が海外展開への意欲を見せている。

また、農林水産省も2030年の輸出額目標5兆円を達成するため、マーケットイン輸出への転換を軸においた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を打ち出しており、今後も食関連メーカーの海外展開が加速することが予想される。

海外展開を行う中で販路拡大、人材獲得などの課題と並んで、輸出先国・地域の食文化や流行などのニーズを掴み、マーケットインの発想で適切な商品を開発することが求められている。ところが、長期化するコロナ禍で海外視察が難しいままであり、海外支店もない中小企業においては、現地の生の情報を得にくい状態が続いている。

海外展開を検討する企業の課題解決を目指す

同社は、2014年より世界展開を本格化し、世界74ヵ国/地域、32言語で料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を展開している。地域ごとにコミュニティマネージャーを中心とした利用者のコミュニティを形成しており、その地域の家庭で実際に食べられている料理のレシピやつくれぽが日々投稿されている。

こうしたことから、今回、クックパッドのグローバルデータを活用し、海外展開を検討する企業の課題を解決するため「グローバルデータソリューション」の提供を開始するに至った。

これにより、国内の食品メーカーの良質な商品を世界に、また世界の食文化を反映した商品を日本に普及させることで、生活者の料理における選択肢を増やし、同社のミッション「毎日の料理を楽しみにする」の実現を目指すという。

約40ヵ国/地域の利用者が投稿したレシピデータを活用

約40ヵ国/地域の利用者が投稿したレシピデータを活用

グローバルデータソリューションでは、世界74カ国・地域、32言語で展開する料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」のうち、一定の基準を満たす約40ヵ国/地域の利用者が投稿したレシピに関するデータを活用する。

各地域で投稿されているレシピデータをもとに、現地で人気の高いメニューをレシピ開発に活用することや、現地のリアルな食トレンド、輸出/輸入する製品の現地需要を把握することができる。対応する国・地域は順次拡大を予定している。

【対応する国・地域(2022年4月時点)】
アメリカ:アメリカ合衆国、アルゼンチン、ウルグアイ、メキシコ、チリ、コロンビア、ペルー、ブラジル、ベネズエラ
ヨーロッパ:イタリア、イギリス、ウクライナ、ギリシャ、スペイン、ハンガリー、フランス、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア
東南アジア:インドネシア、タイ、台湾、ベトナム、マレーシア
南アジア:イラン、インド、パキスタン
西アジア:アラブ首長国連邦、イラク、オマーン、サウジアラビア、シリア、ヨルダン、レバノン
アフリカ:アルジェリア、エジプト、ナイジェリア、モロッコ、ケニア、ナイジェリア
※対応する国・地域であっても分析内容によっては非対応となる場合がある

世界中の料理嗜好や傾向などを実践的な形で提供

グローバルデータソリューションは、食品メーカーの海外展開に関する課題を、クックパッドが保有するビッグデータを用いて解決することを目指している。各地域に暮らす利用者が日々投稿するレシピコメントの定量的データ分析、定性的コメント分析を行い、世界中の料理嗜好や傾向などを実践的な形で提供する。

◆レシピデータ
レシピ内のテキストデータ(タイトル・手順・材料など)から傾向を分析し、世界中の料理嗜好や特定の食材がどのように食べられているのかがわかる。

◆リアクションデータ
レシピに対する絵文字リアクションのデータから、世界中の人気レシピの差異がわかる。

◆コメントデータ
レシピに対するユーザーのコメントから料理に対する定性的な情報がわかる。

グローバルデータソリューションで提供可能なデータ

グローバルデータソリューションは、以下のような定型分析メニューのほか、個別の分析課題に応じた自由分析にも対応している。

①データ活用例:地域別 人気レシピ分析
特定地域における人気レシピを指数化し、ランキング形式で把握することで、その地域のリアルな調理事情の把握が可能となる。

②データ活用例:地域別 使用材料調査
特定地域における材料の使用割合をレシピでの材料使用率をもとにランキング形式で把握することで、その地域のリアルな食材・調理事情が把握できる。

③特定メニュー/材料 人気レシピ分析
特定地域におけるレシピから、特定メニュー・材料などのキーワードを含む対象レシピを抽出。対象レシピ群で人気のあるメニューを人気指数をもとにランキング形式で把握することで、関心あるメニューの地域別の調理事情の把握が可能となる。

④特定メニュー/材料 使用材料分析
特定地域におけるレシピから、特定メニュー・材料などのキーワードを含む対象レシピを抽出。対象レシピ群での材料使用率をランキング形式で把握することで、関心あるメニュー・材料の地域別の使い方の違いを把握することができる。

⑤レシピコメント分析
特定メニューに関するレシピコメントの分析を行い、頻出単語のランキングを把握することで、現地ユーザーの反応を理解することができる。

クックパッドのレシピに関するデータには、現地の生活者の生の声やニーズが詰まっている。世界に誇る日本食文化を持つ日本でも、一般家庭の日々の食卓にはジャンルにとらわれないさまざまな料理が登場したり、「時短」「簡単」といったワードが人気を集めていたりする。

レシピデータを活用してリアルな顧客像を理解することで、先入観にとらわれないマーケティングが可能になるのではないだろうか。

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