6000品目超が“値上げ”予定 帝国データバンクが価格改定動向を調査

ECのミカタ編集部

帝国データバンクは、上場する食品メーカー主要105社における価格改定動向について調査を行い、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく

計6167品目で値上げの計画

原材料価格の高騰が続くなか、消費者生活に直結する食品分野で価格の改定(値上げ)が相次いでいる。上場する食品主要メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(実施済み含む)を調査した結果、4月14日までに累計6167品目で値上げの計画があることが分かった。

このうち、6割超にあたる4081品目では4月までに値上げした。今年に入り、食用油や小麦粉、大豆、砂糖など主原料系の高騰は周辺商材へ急速に波及するなか、直近でも冷凍食品や醤油、食肉加工品、水産練り製品、豆乳、菓子などで、原材料高を価格へ反映させる動きが急増している。また、各品目の価格改定率(各品目での最大値)は、平均で11%となった。

食品分野別に値上げとなった品目をみると、最も多いのは加工食品で2909品目判明し、全体の47%を占めた。値上げ率平均は12%だった。加工食品では、ハムなどの食肉加工品から、カマボコなどの水産加工品、即席めんなど、幅広い品目で値上げがみられた。小麦や油脂などの原材料調達価格高騰に加え、原油高でラップなど包装材価格高騰を価格に反映したケースが多かった。

次いで多いのは調味料の1311品目で、値上げ率平均は9%。加工食品の品目と合わせると、値上げ全体の約7割を占めた。調味料では、ドレッシングやマヨネーズを中心に、特に食用油の価格高騰による影響が目立つ。国内油脂供給量の約4割を占める菜種は主産地のカナダで天候不順により生産量が落ち込む一方、脱炭素社会に向けたバイオ燃料向けの需要が拡大し、相場価格は上昇傾向が続いている。特に、菜種油はマヨネーズやドレッシング類など調味料の原料として使われるため、これらの品目を中心に値上げが相次いだ。

酒類・飲料(744品目)では、サトウキビなどから作られる粗粒アルコールの価格高騰のほか、輸入ワインなどが物流費高騰や円安の影響から値上げを実施。菓子(431品目)でも、ジャガイモの不作のほか、油脂、砂糖といった原料高、包装資材の高騰が響いた。乳製品(400品目)では、中国での消費拡大から輸入チーズの原料高が影響している。

各種品目で値上げが続く可能性が高い

調査結果を受けて、同社では次のように分析している。

「食品の値上げが止まらない。これまで食品メーカーでは、大多数が値段を据え置いたまま内容量を減らす『ステルス値上げ』でコストアップに対応してきた。しかし、世界的な食料品相場の上昇に加え、原油価格の高騰に伴う物流費や原材料費の値上がり、為替でも円安傾向が続くなど全方位でコスト増加が続き、企業努力で吸収可能な余力を超えていることが、今年以降価格への転嫁をせざるを得ない背景としてあげられる。

帝国データバンクが4月に実施した調査では、飲食料品メーカーの7割超が、4月以降1年以内に値上げすると回答した。食料品の価格高騰は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻収束を問わず一過性ではないとの見方も強いなか、コスト上昇分を売価に反映させる形で、今後も各種品目で値上がりが続く可能性が高いとみられる」

第二次安倍の誕生と共に開始されたアベノミクスの柱でもある日銀による大規模金融緩和が継続され、新型コロナウイルスによる感染拡大の影響でのサプライチェーンの逼迫や、コロナ禍が落ち着きつつあることで経済活動の回復が加わり、日本の物価上昇圧力は高まって来た。

それに加え、ロシアによるウクライナへの侵攻が勃発し、小麦と原油をはじめとした食料と燃料、原材料の供給に世界的な不安がのしかかっている。こうした要因から物価の上昇は継続して進むと多方面から見られていたが、今回の同社の調査でもそれが裏付けられた形だ。

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