【メルカリ物価・数量指数】の提供を開始 CtoCの価格・流通量を可視化

ECのミカタ編集部

メルカリ総合研究所(運営:株式会社メルカリ)と東京大学エコノミックコンサルティング株式会社(本社: 東京都文京区、代表取締役社長: 川原田陽介、以下、UTEcon)は、「メルカリ物価・数量指数」を共同で開発し情報の提供を開始することを公表した。

「メルカリ物価・数量指数」に関する情報を開示

メルカリ総合研究所とUTEconは、月間利用者数2,000万人超のフリマアプリ「メルカリ」で取引される商品カテゴリ毎の取引価格と流通量の変動を指数で可視化した「メルカリ物価・数量指数」を共同で開発し情報の提供を開始することを公表した。メルカリによれば、この取り組みは個人間商取引(CtoCサービス)における消費者の需要を可視化する世界初の事例となるとしている。

また各種データを参照した消費トレンドを発信している報道関係者をはじめ、物価変動を取り扱うマクロ経済学、消費者行動、マーケティング等の研究者向けに「メルカリ物価・数量指数」に関する情報を開示し、消費動向や二次流通市場、そして個人間商取引に関する研究活動に寄与することを目的としているという。

メルカリ物価・数量指数とは

「メルカリ」内の取引価格と流通数量の変動状況を、「メルカリ」における商品カテゴリー毎に月単位で表す価格指数・数量指数だ。フリマアプリ「メルカリ」上の小カテゴリ(例:レディース ⇒ 靴 ⇒ モカシン)については、質・構成比等の調整が現時点では困難なため、上下2.5%の外れ値を除き平均価格・平均数量を算出。中カテゴリ(例:レディース ⇒ 靴)および大カテゴリ(例:レディース)では、小カテゴリの売上構成比を用いたTörnqvist指数を算出している。

◆イメージ(例):

取引数量や価格の急速な変動という形で、その時の流行を確認することが可能だ。

▽例1:レディース- ルームウェア/パジャマ メルカリ物価・数量指数推移
期間:2018年1月〜2022年4月

2020年4月、最初の緊急事態宣言が発出された。その同時期において、レディースの「ルームウェア/パジャマ」カテゴリの流通量が急激に上昇した。

▽例2:レディース- スーツ/フォーマル/ドレス メルカリ物価・数量指数推移
期間:2018年1月〜2022年4月

最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月、その同時期において、レディースの「スーツ/フォーマル/ドレス」カテゴリの流通量が急激に下落。その後は徐々に上昇した。

サステナブル社会実現に寄与

共同開発者 渡辺 安虎氏のコメント

東京大学エコノミックコンサルティング株式会社 取締役/東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授 渡辺 安虎 氏(わたなべ・やすとら)

ケロッグ経営大学院助教授、香港科技大学准教授、アマゾンジャパン経済学部門長を経て現職。需要予測、価格戦略、サブスク設計、機械学習の応用、計量マーケティング等についての現場レベル及びマネジメントレベルでの実務的な経済分析経験を有する。ペンシルべニア大学PhD(経済学)

「今回メルカリと東京大学エコノミックコンサルティングとで共同開発した『メルカリ物価・数量指数』は、フリマアプリ『メルカリ』における各商品カテゴリ毎の物価や取引数量を指数化したもので、『メルカリ』上にある1,000以上の小カテゴリに基づいて、中カテゴリおよび大カテゴリレベルでの価格や取引数量の変化を示しています。実際に指数をみると、ゴルフ・フィッシング・アウトドア用品・室内着など、コロナ禍で価格・数量とも伸びたカテゴリもあれば、逆に減ったもの、減った後にいち早く回復したもの等、様々なカテゴリでトレンドの変化を明確に示していることがわかります。

今回開発した指数は、消費者研究やマーケティング研究に活用されることが期待されるとともに、トレンドの迅速な把握を目指すメディアや、企業の商品戦略立案担当者の方にも幅広くご活用いただけます。例えば、昨今の物価上昇に伴う消費への影響について分析する際にも、通常は把握困難な二次流通市場の取引価格や規模の変化を示す『メルカリ物価・数量指数』は興味深いデータになると思います。より広い観点から見ると、SDGsやサステナブルな意識の高まりから、リユース、フリマアプリの活用はさらに進むと考えられます。メルカリ物価・数量指数は、そのようなサステナブル社会において、通常であれば非常に把握の困難な消費の実像を示す一つの指標になり得るのではないかと思います」

メルカリは、2021年9月にリサイクル通信が発表した調査を引用し、次のように述べている。2020年のリユース市場規模は推計で2兆4,169億円となり、今後も市場規模は拡大すると予測。2022年4月にメルカリが実施した「物価上昇に伴う生活防衛」に関する調査では、今後フリマアプリ「メルカリ」で購入が増える商品として、これまで活発に取引されてきた服や書籍・漫画に加え、コスメ・化粧品、食品なども上位に挙げられる結果となったそうだ。

これらのことから、個人間商取引を含む二次流通市場を活用する消費者の増加、取引される商品カテゴリの拡大が予想されるとしている。一方、消費における二次流通市場のシェアが拡大を続けると、従来の一次流通市場のデータだけでは消費の動向を正しく把握することが難しくなると分析。

二次流通市場の動向も把握しようとも、現在は中古住宅、中古車及び一部製品を除き、適切なデータを取得する手法が確立されていなかった。そこで、月間利用者数2,000万人超のフリマアプリ「メルカリ」を活用し、消費者行動に関する情報発信、研究活動の活性化に貢献することを目的に、「メルカリ」で取引される商品群の価格・流通量変動を可視化するシステム開発に着手したのだ。

UTEconと同社取締役、東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授 渡辺 安虎氏と共同で取り組みを進め、「メルカリ物価・数量指数」として情報の提供を開始するに至ったとしており、C2C ECにおける需要予測やサステナブル社会実現に向けた意欲的な取り組みとなりそうだ。

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