ebay、日本での越境ECトレンドを公開(2022年第1四半期版)

ECのミカタ編集部

イーベイ・ジャパン株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:岡田 雅之、以下「イーベイ・ジャパン」)は、2022年度第1四半期(1-3月)の期間に日本セラーから出品されたアイテムの販売動向を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

概要

売れ筋商品では昨年12月に発売されたポケモンカードの新作が前期(2021年10-12月)に続く1位となった。ポケモンカード関連は2020年第3四半期から7期に渡り首位を明け渡しておらず、需要はまだまだ高そうだとしている。

またアニメ映画『呪術廻戦』の日本公開時に限定プレゼントされたグッズが4位にランクインと、日本でしか手に入らないレアグッズも人気を集めており、世界からコレクターが集まるeBayならではの特徴を示した。

取引額ランキングでは最近の円安の影響で高額商品の取引が増え、順位にもそれが現れる結果となったようだ。1位の女性向けブランドバッグはエルメスなど100万円超え商品が好調で、成長率でも1位に輝いた。

また成長率2位となった自動車パーツは、日本車人気によるカスタマイズ需要が集まり順位を上げました。楽器もレアなギターが100万円以上の高額で取引されるケースが増えており急成長のカテゴリーとなっている。

日本からの「越境EC」取引に関するデータ(期間:2022年1-3月)

◆カテゴリーランキング

▷取引額TOP10

女性向けのブランド品(Clothing& Accessories)が1位と不動の人気を見せたが、2位以下の順位に変動がみられる結果となった。4、5位のフィルムカメラやレンズ、7位の自動車パーツ、10位のギター・ベースは100万円以上で取引される商品が増えたことで平均単価が上昇しランクアップを果たした。

▷成長率TOP3(前年同期比)

取引額TOP10のうち、前年同期比で大きく成長したカテゴリーにおいても女性向けのブランド品が1位となった。従来から人気に加えエルメスなどの100万円以上の高額商材の取引が増えたことが影響していると分析。海外での日本車の人気の高まりの中オートパーツ(車関連)が順調に成長しており今回も2位にランクインした。また今回初めて成長率ランキングに登場となった3位のギター・ベースはGibsonやFenderの有名アーティストシグネチャーモデルの中古エレキギターの高額取引が増えており急成長のカテゴリーとなっている。

▷主な高額取引商材

また1万ドル以上の高額取引商材は、前期に引き続きブランドバッグ、腕時計の2カテゴリーで取引総額の約8割を占めた。フィルムカメラやレンズもCanon、Mamiya、Contaxなどが人気で3位に続いている。そのほか、前述の自動車パーツやギターも高額取引が増加。MLBやNBA選手のスポーツカードもeBayでは大変需要が高く、日本からNBAレジェンド選手のデニス・ロッドマンのカードが約244万円で取引された。

▷売れ筋商品ランキング

売れ筋商品では昨年12月に発売された「ポケモンカードゲーム ソード&シールド」のハイクラスパック「VMAXクライマックス BOX」が前期(2021年10-12月)に続く1位となった。2位にはポータブルゲーム機の「ニンテンドー3DS LL」が、3位には遊戯王カードと「マジック:ザ・ギャザリング」のコラボカードがランクインした。4位に入ったのは人気アニメ『呪術廻戦』の映画作品が日本で公開された際に入場者に配布された小冊子。アニメやキャラクターのグッズはこのような日本でしか手に入らないものの人気も高かった。

ランクインは果たせなかったものの、売れ筋ランキングでは前述の『呪術廻戦』のグッズのほかにも、個性ある日本限定商品が登場した。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが人気アニメ『鬼滅の刃』とコラボレーションしたポップコーンバケツは、場内のポップコーンスタンドでのみ購入可能というレア感と、見た目のインパクトの高さもあり非常に人気を集めた。スターバックスが世界で展開しているいわゆる”ご当地マグカップ“の「Been There Series」や日本の桜をあしらったマグやタンブラーを展開する「SAKURAシリーズ」最新版も世界のコレクターが注目した。そのほか、高額で取引された例では日本生まれのフィギュア「BE@RBRICK」が同じく二本の家具メーカー・カリモクとデザイナーのHAROSHIとコラボした限定アイテムが約160万円で購入された。

2021年第3四半期越境ECトレンド振り返り

◆ファッションカテゴリー

ファッションカテゴリーは昨年第4四半期からの好調を維持しており、特にブランドバッグのカテゴリーでは米国で導入した「真贋保証サービス」による需要の拡大と、HERMESなどの100万円以上の高額商材の取引上昇により取引額、成長率共に日本で1位となった。腕時計も同様に高額商品の取引が引き続き好調を維持しておりRolex、Omegaなどの元々売り上げの高いブランドから、HUBLOT、AUDEMARS PIGUET、VACHERON CONSTANTINなど超高額商材のブランドまで取引が盛んに行われ、1万ドル以上で取引された商材全体の50%以上を時計カテゴリーで占める結果となった。メンズアパレルは日本でも多くのコレクターが存在するスニーカーがNikeなどを中心に取引高、取引数共に上昇しており、今後が楽しみなカテゴリーとなっているとしている(カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 北村直樹氏)。

◆トレーディングカード、アニメ・キャラクターグッズカテゴリー

コレクティブルのカテゴリーでは円安の影響やクーリエ(国際宅配便)利用者の増加もあり平均単価が上がった。「呪術廻戦」の映画公開にあたり、入場特典が大きく販売数を伸ばした。また、eBayでも人気の高いアニメである、『ONE PIECE』は今夏で連載25周年の節目を迎えるため、第二四半期以降も注視。トレカでは昨年末に発売されたポケモンカードボックス、「VMAX CLIMAX」「25周年記念パック」が今年に入り引き続き好調だった。さらに、1月に発売されたポケモンレジェンドのゲームソフトの影響も受け、先行予約特典のシングルカードや「コロコロコミック」に同梱された「ピカチュウVMAX」が大きく販売数を伸ばした。第2四半期では、圧倒的なユーザー数を持つ「Pokemon Go」とコラボレーションしたカードが発売予定であり引き続き伸びると期待されている。さらに、ポケモンカードだけではなく、「ヴァイスシュヴァルツ」のホロライブも人気であり、投資目的のバイヤーやコレクターから大きく注目されている。コレクティブルカテゴリーはトレンド性が強い商材のため、需要やトレンドをいち早くキャッチすることで販売活動に活かせます。イーベイ・ジャパンではコレクティブル商品をより出品、販売しやすくするためにサイト内に「売れ筋商品」や「高額商品」をeBayアカウントを持つ人だけに公開を始めた(カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 市田良介氏)。

◆その他のカテゴリー

▷オートパーツ(車関連)

前期比伸び率2位(+11.6%)のオートパーツのカテゴリーは、引き続き好調を維持している。日本から購入されるパーツは、車体の修理目的というより熱狂的な日本車ファンが愛車を好きなデザインにカスタマイズする、いわゆるJDM目的で購入されている場合が多いと分析。トヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、三菱などの日本製スポーツカーの純正部品で、特に外装部品がよく売れているほか、モールディングとその他車の顔となるフロントグリルやエンブレム等も各メーカーの熱狂的なファンからの購入が絶えない状況とのことだ。

▷楽器

日本から売れたブランドとしてはGibson、Fender、ibanez、YAMAHAなどが中心で、中でも有名アーティストのシグネチャーモデルの中古エレキギターが高額で売れていることが売上増に貢献している。

▷カメラ

フィルムカメラが4位、レンズ・フィルターが5位と引き続きカメラ関連も人気となっており、第1四半期後半に円安の影響を受けたことも追い風となった。好調となっている要因として日本で売るより海外で売った方が高く売れるという内外価格差があり、フィルムカメラに関しては引き続きContaxやMamiya、Nikon等の日本製のフィルムカメラを代表するメーカーの商品が人気となっており、日本セラーからより良い状態で購入したいという需要の高さから購入が絶えないそうだ(カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 古谷まゆみ氏)。

今後の予測

カテゴリー マネージメント部部長の中里力氏は次のように今後の予測を述べている。

「オートパーツについては、今年度を通して米国市場を中心としたマーケティングの強化および、ショッピングエクスペリエンスの改善に注力して参ります。加えて、米国内のインフレ、サプライチェーンの滞りや円安の影響もあり、引き続きこのカテゴリーの成長を見込んでいます。また、グローバルで加速するRecommerce市場の成長が日本の高品質の中古品、特にファッション、コレクティブル商材の好調につながっています。先月eBayがリリースした『Recommerce Report』に掲載したグローバルサーベイの結果では、Z世代(1997年から2012年の間に生まれた世代)のうち約80%の方が昨年中に中古品を購入し、3人の内1人が中古品を販売したと回答しています。このように欧米を中心としたRecommerce市場の活性化と、その中心に位置するマーケットプレイスとして、日本のセラーにとって更なる販売機会の拡大を期待しています」

2月から続くウクライナへのロシアによる軍事進攻は、世界の流通や取引に影響を与えているが、その世界の人々をつなぐマーケットプレイスを運営するeBayでは、軍事侵攻に遭うウクライナに一刻も早く平和な日々が戻ることと、不安の中にあるウクライナの人々の助けになることを願い、2月以来さまざまな取り組みを行っているという。

ウクライナのeBayセラー(販売者)に対しては出品手数料を免除し、出品者を出荷遅延ペナルティやネガティブフィードバックから保護している。また日本を含む世界中のセラーに「eBay for Charity 」を通じた販売価格の一部(10~100%を自由に選択)の寄付を呼び掛けた。

セラー、バイヤーの双方が手軽にチャリティに参加できるこの取り組みにより、第1四半期に集まった寄付金は3600 万ドル(約44億円)にのぼり、前年同期比 2%増となったそうだ。そのほかウクライナの子どもたちを支援するためのチャリティーオークションも実施した。

いまだウクライナ情勢は、先が見通せない状況であるが、そうした厳しい中においても、今回のデータは、同プラットフォームの堅調な成長を示したと言えそうだ。

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