ECサイトの顧客分析とは?分析手法の種類やCPM分析を詳しく解説
ECサイトにおける顧客分析は、売上アップを達成するうえで欠かせません。個々の顧客はそれぞれ異なるニーズをもっているため、画一的な訴求であらゆる顧客にアプローチするのは不適切です。
とくに、近年では多くの企業がOne to Oneマーケティングの重要性に着目しており、顧客をセグメントごとに分けて、施策を使い分けるケースが増えています。ECサイトでは、実店舗に比べて顧客データを収集しやすくなっているため、適切な顧客分析ができればより効率的に販促を進められるでしょう。
顧客分析とは
顧客分析とは、実店舗やECサイトを利用した顧客のデータを収集して分析することです。顧客分析においては、年齢や性別、購入商品や購入金額などのデータをもとに、セグメント別の特性や施策を検討します。近年、トレンドとなっているOne to Oneマーケティングを実現できる手法の一つとしても注目されています。
ECサイトにおける顧客分析の重要性
ECサイトにおいて売上を向上させるには、個々の顧客に適したアプローチが必要不可欠です。たとえば、男性へのメルマガでは男性向け商品、女性へのメルマガでは女性向け商品を訴求すべきです。
さらにセグメントを細分化して、過去に購入した商品をもとにレコメンドする商品を選んだり、ロイヤリティによってキャンペーン内容を変えたりする方法もあります。画一的に施策を講じるのではなく、個々の顧客に対して適切にアプローチすることによって、コンバージョン率を向上させられるでしょう。
ECサイトの顧客分析の種類
顧客分析にはさまざまな手法があり、商材や目的によって使い分けることが大切です。それぞれの手法ごとに収集すべきデータ、分析の観点なども異なるため、分析手法は事前に決定しておかなければいけません。
以下では、ECサイトにおいて活用できる顧客分析の手法について解説します。
CPM分析
CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、顧客の購買データをもとに分析する手法です。CPM分析においてチェックすべき指標は、以下のとおりです。
CPM分析では、顧客の購買データをもとにセグメントするため、それぞれの顧客をロイヤリティごとに分けられます。具体的には、新規顧客へのリピート促進、ロイヤルカスタマーの育成、休眠顧客へのオファーなどに活用できます。そのため、中長期的な顧客育成に適しており、主にLTVの向上に役立つでしょう。
RFM分析
RFM(Recency・Frequency・Monery)分析とは、3つの指標をもとに分析する手法です。RFM分析においてチェックすべき指標は、以下のとおりです。
CPM分析と同様、顧客をロイヤリティごとにセグメントできる手法となっており、顧客の段階に応じた施策を検討するのに適しています。
また、RFM分析は、積極的にアプローチすべき優良顧客の洗い出しに用いられるのが一般的です。ECサイトにおける売上のうち、約8割はリピーターによって生まれているともいわれており、RFM分析は売上アップにおおいに貢献できるでしょう。
デシル分析
デシル分析とは、顧客を購入金額によって、10のグループにセグメントして分析する手法です。基本的な考え方はRFM分析とよく似ており、優良顧客を中心にアプローチします。ただし、デシル分析では購入金額のみを指標としているため、多角的なロイヤリティ分析には向いていません。
一方、ひとつの指標のみで分析できる手軽さ、売上構成比を確認できる点などのメリットもあります。
CPM分析の方法
前述のとおり、ECサイトにおける分析手法にはいくつかの方法がありますが、さまざまな指標を組み合わせるCPM分析はもっともメジャーな手法です。商材を問わず、活用できるため、まずはCPM分析をマスターしておくとよいでしょう。
以下では、CPM分析の方法と手順について解説します。
顧客をセグメント化する
CPM分析をするには、顧客のセグメント化が必須です。セグメントの基準となる指標は独自に設定しますが、以下のような要素を用いるのが一般的です。
上記のデータを取得できたら、それぞれの指標を組み合わせて、顧客を各セグメントに分類します。以下は、セグメントの一例です。
初回顧客(現役・離脱):一定期間内に1回のみ購入した顧客
よちよち顧客(現役・離脱):一定期間内に2回以上購入した顧客
コツコツ顧客(現役・離脱):一定期間内に安定してリピートした顧客
流行顧客(現役・離脱):短期間に一定以上の金額を購入している顧客
優良顧客(現役・離脱):長期間にわたって一定以上の金額を購入している顧客
セグメント化の段階においては、各セグメントについて現役と離脱も確認しておく必要があります。現役とは現在もECサイトを利用している顧客、離脱とは過去にECサイトを利用していた顧客を指します。
セグメントごとの割合を確認する
次に、顧客全体のうち、セグメントごとの割合を確認します。継続的に数値をとっている場合は、一定期間における現役・離脱顧客の割合を比較するのも効果的です。顧客分析は、既存顧客の育成や休眠顧客への販促などに強みをもっているため、改善につながっているかの高加速的にも活用できます。
セグメントごとにナーチャリング施策を検討する
顧客のセグメント化が終わったら、それぞれのセグメントにアプローチする施策を検討します。セグメントごとの割合をみると、企業が抱える課題が明らかになるため、課題を洗い出したうえで改善施策を検討するのがポイントです。
たとえば、初回離脱顧客が多い場合、アフターフォローが不十分な可能性が高いです。初回顧客に対する案内やコミュニケーションを充実させ、離脱の原因を把握できるよう、心がけるとよいでしょう。
ECサイトにCPM分析を導入するメリット
ECサイトの分析方法にはさまざまな手法があるなか、CPM分析を選ぶメリットにはどんなものがあるでしょうか。
以下では、CPM分析を導入するメリットについて解説します。
効率よく利益を最大化できる
ECサイトを運用するうえで、集客や販促を目的としたアプローチは必須です。ただ待っているだけで獲得できる顧客数は限られているため、広告やメルマガを活用して積極的にアプローチしなければいけません。
しかし、広告やメルマガを活用するにはコストがかかります。そのため、施策の精度を上げて、集客効果を最大化することが大切です。CPM分析によって顧客をセグメント化できると、顧客のレベルによって適切なアプローチができます。つまり、個々の顧客に響きやすいアプローチや訴求が可能です。
リピーター獲得につながる
新規顧客とリピーターは、それぞれの獲得の方法が大きく異なります。新規顧客を獲得するにはリスティング広告などがあり、新規顧客の獲得に力を入れている企業は多いにもかかわらず、リピーター育成ができている企業は少ないのが現状です。コストをかけて新規顧客を獲得しても、リピートにつなげられなければ、新規獲得コストをコンスタントに払いつづけるしかありません。
CPM分析は、顧客の育成に強みをもった分析手法です。そのため、分析結果をもとに施策を講じていくと、リピーターを獲得できます。新規顧客の獲得施策とあわせて実施できれば、より大きな効果を発揮できるでしょう。
中長期的な集客を実現できる
CPM分析は、中長期的な集客に向いています。集客施策には短期的に集客を実現するもの、中長期的に集客を実現するものの2種類があります。多くの企業は短期的に集客を実現する施策に注力しがちですが、中長期的な集客施策にも取り組むべきです。中長期にわたって集客ができれば、安定した売上にもつながるでしょう。
ECサイトのCPM分析において意識すべきポイント
ECサイトのCPM分析では、しっかりと目的を定義して取り組むことが大切です。ポイントとなるのは、主に以下の2つです。
それぞれのポイントについて解説します。
ロイヤルカスタマーを育成する
ロイヤリティの高い顧客は、定期的に商品を購入して売上に貢献してくれます。そのため、ロイヤルカスタマーを育成できると、長期的に安定した売上をあげられます。新規顧客を獲得しつづけるのは難しいため、いかに顧客のロイヤリティを高めるかがポイントです。
LTV(顧客生涯価値)を重視する
CPM分析をはじめとするリピート施策に取り組む際、重視したいポイントの一つがLTVです。LTVとは、一人の顧客が生涯に購入する金額です。一般的に新規顧客の獲得コストよりもリピーターの獲得コストの方が低いといわれており、既存顧客のリピートを促すことはコスト削減につながります。
CPM分析に役立つマーケティング理論
CPM分析に限らず、デジタルマーケティングに取り組む際には、マーケティング理論を知っているとアドバンテージになります。とくにECサイトにおけるマーケティングでは、1:5の法則とパレートの法則はおさえておくとよいでしょう。
以下では、それぞれのポイントについて解説します。
1:5の法則
1:5の法則とは、一定のコストをかけた際に期待される新規顧客・リピーターの売上比です。たとえば、10万円のコストをかけて広告をうった場合、新規顧客の売上が5万円であれば、リピーターの売上は25万円程度になると予想されます。そのため、費用対効果を重視してマーケティングにあたるのであれば、リピーター向けの施策を中心に展開するのがおすすめです。
パレートの法則
パレートの法則とは、20:80の法則とも呼ばれており、マーケティング業界ではひろく用いられている理論です。ECをはじめとする物販の場合、顧客全体のうち、約2割の優良顧客が売上の約8割を生み出すことを指しています。ロイヤルカスタマーの重要性を証明する理論の一つといえるでしょう。
まとめ
売上アップするうえで必須ともいえるべき顧客分析。たとえば店舗で接客するときのような1対1での対応ができるよう、分析から施策までを実施するのが理想的です。ECサイト内でのデータを上手に生かし、販促を進めていきましょう。