EC支援のSUPER STUDIO、マーケティングアクションを自動最適化する「次世代EC構想」プロジェクトを本格始動

ECのミカタ編集部

D2C支援事業やECプラットフォーム「ecforce」を提供する株式会社SUPER STUDIO(本社:東京都目黒区、代表取締役:林紘祐)は、三井不動産およびグローバル・ブレインが共同で運営する31VENTURES、ALL STAR SAAS FUND、きらぼしキャピタル、ネットプロテクションズ、みずほキャピタル、三井住友海上キャピタル、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、(引受主体がファンドの場合は運営会社の名称等を記載)などを引受先とした第三者割当増資による、総額約44億円の資金調達を実施したと発表した。それに伴い、顧客接点を統合管理してマーケティングアクションを自動最適化する「次世代EC構想」プロジェクトを本格始動する。

再現性の高いEC運営を実現する「次世代EC構想」を開発推進

同社は今回の増資を機に、以下の施策を実施する。

・「次世代EC構想」の実現
・三井不動産との協業を通して、EC/D2Cブランドがリアルの場で事業拡大をしていくためのノウハウを蓄積しソリューションとして提供、顧客還元していく
・上記施策を実現するためのエンジニア
・セールスをはじめとした全職種で人材採用を強化

SUPER STUDIOは2017年にECプラットフォーム「ecforce」をリリース。2030年までにEC化率を20%に引き上げることを目指し、ECのあらゆる課題を解消するための機能開発やソリューションづくりを進めている。

今回の資金調達を受けて、事業者が正しいノウハウを持ってECを運営するための次世代EC構想実現に向けた各種開発を積極的に進めていく。EC事業者が持つ数多くの業務課題を網羅的に解決する仕組みを整え、システム・データを活用することで再現性の高いEC事業運営を可能にすることを目指すという。

正しいノウハウの浸透とシステムによる業務改善が急務

メーカーが商品を消費者に直接販売するD2Cの国内市場規模は2025年には3兆円になると言われており、近年大きく伸びている領域だ。さらに直近では各種ECモール型プラットフォームや自社ECサイトに加えてSNS内のEC購入導線が活用されはじめ、ECの販売・マーケティングチャネルが多様化することで消費者にとってECが身近な存在になりつつある。

ECメーカーは多角化するあらゆる販売/マーケティングチャネルの管理をしながら日々事業運営をする必要があるが、現在はデータが統合管理されておらず、ブランド運営のあらゆる工程においてデータドリブンな意思決定が簡単にできる環境が整っていない。

また同社がECメーカーの担当者200名以上に行った調査では、担当者の50%が日本のEC化率を伸ばしていくには「ノウハウ不足を解消する必要がある」と回答。日本のEC化率は先進国のなかでも発展途上の段階で、いまだ8%程度にとどまっている。

このことから、日本のEC化率向上には正しいノウハウの浸透と、システムによる現場の業務改善が急務だと言える。これらの業界課題を改善すべく、同社はデータを統合管理することで、マーケティングからサプライチェーンまでブランド運営におけるすべての工程にデータを活用した最適なPDCA運用を実現できる次世代EC構想の開発を進めている。

効果的なマーケティングアクションを自動最適化

EC運営にはジャンルや事業規模を問わず共通して活用できるノウハウがあるものの、それらを実行するためのノウハウが浸透していないことや各種施策実行のためのリソースが足りていないことが、同社が多くのECメーカーを支援する中で明らかになっている。

例えば、購入者は複数の購入チャネルにまたがって情報収集をするため、従来のように自社EC、ECモール店舗、リアル店舗とそれぞれを個別に分析しても消費者の行動の真相は見えてこない。実際に、デジタルマーケティング施策を行った際に、短期的な効果にはつながらなかったものの、数ヵ月後に卸販売の売上拡大につながった事例も多数ある。

このように、多様なチャネルのデータ統合を行って、分析し仮説検証をしていくことが今後のEC運営における勝ち筋になるものの、現状のECの現場では各チャネルの受注データとその後の顧客管理をつないだ上で統合的な分析をするためのツールがなく、費用をかけてシステム開発をするか、表計算ツールなどで手動管理を行う必要がある。

こうした業界内の課題に対し、同社は多様なEC販売チャネルの注文データをデータベースに統合し、EC運営の深い知見がなくとも効果的なマーケティングアクションを自動最適化する次世代EC構想の開発を進めている。

「次世代EC構想」が目指すEC運営のあり方

「次世代EC構想」が目指すEC運営のあり方

・オフライン/オンラインの販売チャネルごとのデータに加え、販売後の顧客の行動データまで統合管理されており、データを簡単に活用できる状態
・統合管理されたデータを簡単に可視化でき、新規顧客の獲得のための全体最適なマーケティングの実現や、顧客セグメントに対して実施したCRM施策の結果までが定量的に確認でき、最適な改善PDCAが運用されている状態
・ブランド運営していく上で必要となる出荷・決済処理や顧客対応などのあらゆる定常業務を自動化

次世代EC構想では、上記の実現に向けた開発を順次進行し、2023年の夏までにノーコードでEC事業者が総合的なデータと施策管理ができる状態を実現。ECメーカーの担当者が2名の体制でも年商10億円の事業が運営できる効率的なEC基盤づくりを目指す。

また、次世代EC化構想の開発・推進の一環として、今回の資金調達のリード投資家である三井不動産と連携し、ECとリアルをつなげるOMOの仕組みを実現する実証実験も行なっている。

コロナ禍で一気にEC化が進んだと言われるが、それでも日本のEC化率は国際的にみると低い水準にとどまっており、まだまだ伸びしろは大きい。一方で、EC市場の拡大を背景にEC事業に新規参入したものの、ノウハウやリソース不足等により、思うような成果が出せていない事業者も少なくない。

SUPER STUDIOが推進する次世代EC化構想が、日本のEC業界全体の底上げ・活性化につながることに期待したい。

ECのミカタ通信23号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事