VOCとは?マーケティング戦略で重要視される理由や活用事例を紹介

ECのミカタ編集部

VOCとは?マーケティング戦略で重要視される理由や活用事例を紹介

ECサイトでは、顧客と直接会う機会が少ないため、改善のヒントを見つけるのが難しいものです。そんな課題の解決に役立つのが「VOC(Voice of Customer:顧客の声)」です。

商品レビューやお問い合わせ内容、アンケート結果など、さまざまな形で集まる顧客の声を分析し、ECサイトの改善に活かすことができます。

本記事では、EC担当者向けにマーケティングにおけるVOCの活用方法についてまとめています。VOC分析についてはもちろん、収集方法や企業のVOC活用事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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VOCとは

VOCとは「Voice of Customer(ボイス・オブ・カスタマー)」の略で、直訳すると「顧客の声」を意味します。

具体的には、商品やサービスに対する感想、要望、不満、問い合わせなど、顧客から寄せられるあらゆる声を指します。

VOCとVOEの違い

VOCと似た言葉に「VOE(Voice of Employee:ボイス・オブ・エンプロイー)」があります。VOEは従業員の声を指します。

例えば、職場環境への要望や業務改善の提案など、会社で働く従業員からの意見がVOEにあたります。VOCが顧客目線での改善点を見つけるのに対し、VOEは現場で働く従業員目線での課題発見に役立ちます。

ECサイトの運営では、VOCとVOEの両に目を向けることが大切です。

例えば、顧客から「商品の包装が雑で破損していた」というVOCが届いたとします。一方で物流倉庫の従業員から「作業スペースが狭く、商品を丁寧に扱う余裕がない」というVOEがあがっているとしましょう。両方の声を組み合わせることで、「作業スペースの拡大が必要」という本質的な課題が見えてきます。

また、カスタマーサポート担当者からのVOEは、VOCを収集・分析する重要なヒントになります。担当者は日々顧客と接しているため、どんな声が多いのか、顧客が本当に困っていることは何なのかを把握しています。

VOCが重視される理由

VOCが重視されている背景には、主に以下の3つの理由があります。

1つ目は、情報の多様化です。インターネットの普及により、顧客はテレビや雑誌といったマス媒体だけでなく、さまざまな情報を簡単に入手できるようになりました。その結果、他社製品との比較が容易になり、顧客の選択肢やニーズが拡大しています。

2つ目は、SNSの影響力です。SNSの普及により、口コミによる商品やサービスの評価が一瞬で拡散されるようになりました。以前は顧客の不満が広まる範囲は限られていましたが、現代では1人のネガティブな投稿が世界中に影響を与える可能性があります。

3つ目は、ビジネスサイクルの加速です。従来は1度集めたVOCを長期間活用できましたが、ビジネスのスピードが速まった昨今では、リアルタイムでVOCを収集し、迅速に反映させることが求められています。

マーケティング施策にVOCを活用すべき理由

ECサイトの売上を伸ばすには、顧客の声に耳を傾けることが欠かせません。VOCを活用することで、売上向上につながる具体的な改善点が見えてきます。

顧客満足度の向上と離反防止につながる

ECサイトでは、顧客の不満に早めに気付くことが重要です。商品レビューやお問い合わせの内容から、顧客が困っている点や不満を感じている部分を見つけ出すことができます。

例えば「商品の到着が遅い」という声が多ければ、配送業者の見直しや在庫管理の改善が必要かもしれません。「商品ページの説明が分かりにくい」という声には、商品説明の見直しで対応できます。

顧客の声に基づいて改善を重ねることで、満足度が高まりリピート購入につながります。逆に顧客の不満を放置すると、競合サイトに顧客を奪われる可能性が高まります。

商品・サービス開発の精度が向上する

ECサイトに寄せられる顧客の声は、新商品の開発や品揃えの見直しに役立ちます。「このサイズがあれば買いたい」「この色が欲しい」といった要望は、新商品企画のヒントになります。

また、「使い勝手が悪い」「梱包が不十分」といった声は、商品改良のヒントになります。顧客の生の声を商品開発に活かすことで、売れる商品を効率的に生み出すことができるでしょう。

特に自社ブランド商品を持つECサイトでは、VOCを商品開発に活用することが競争力向上につながります。

マーケティング活動の効果を最大化する

VOCを分析することで、広告や販売促進の効果を高めることができます。

例えば、商品レビューでよく使われている言葉を広告文に活用すると、見る人の心に響きやすくなります。「思っていたより良かった」という声が多い商品は、実際の商品写真を増やすことで、購入してくれる人が増える可能性があります。

また、お客様からの問い合わせが多い商品は、商品説明を詳しくすることで、問い合わせ対応の手間を減らせるでしょう。

このようにお客様の声に基づいて改善することで、使える予算や人手が限られていても、大きな効果を上げることができる利点があります。

VOCをマーケティング施策で活用するために必要な手順

効果的なVOC活用には、情報収集から施策実行まで一貫した取り組みが大切です。

ここからは実務で使える具体的なVOC活用の方法を説明します。

VOCの収集

VOC収集の基本は「幅広く」「継続的に」集めることです。ECサイトでは、商品レビュー、問い合わせフォーム、メールやチャット、SNSでの投稿など、さまざまな接点から顧客の声を集めることができます。

また、定期的なアンケート調査も有効な手段です。商品到着後に「商品の満足度」「配送の評価」「改善してほしい点」などを尋ねることで、具体的な声を集められます。

重要なのは、担当者の主観で声を選り好みせず、否定的な意見も含めてまずはすべての声を集めることです。多くのECサイトでは顧客対応の記録をデータベース化していますが、日々の対応記録も貴重なVOCとなります。

VOC分析

集めたVOCは「テーマ別の分類」と「優先度の判断」という2つの視点で整理します。

例えば「商品の品質」「配送」「サイトの使いやすさ」といったテーマで分類することで、どの領域に課題が多いのか把握できます。また「同じ内容の声が多い」「売上への影響が大きい」「すぐに対応できる」といった基準で優先度をつけることで、効率的に改善できるでしょう。

最近では、AIを活用してVOCを自動で分類・分析するツールも登場しています。ただし、数値では見えない顧客の感情や真意を読み取るには、担当者による定性的な分析も欠かせません。

VOCの分析結果に基づいたマーケティング戦略の立案

分析結果から具体的な施策を立案する際は、「実現可能性」と「効果」のバランスを考えます。

例えば、「商品説明が分かりにくい」という声に対しては、写真の追加や説明文の書き直しなど、すぐに実行できる施策から始めるのが効果的です。

また「品揃えを増やしてほしい」という声には、売れ筋商品の在庫増加や新規取引先の開拓など、中長期的な取り組みが必要になります。施策を実行する際は、改善前後での顧客の反応や売上の変化を測定することで、VOC活用の効果を確認できます。

成功事例は社内で共有し、次の改善につなげることが大切です。

【EC向け】VOCの収集方法

ここでは代表的なVOC収集方法について、実際の活用事例を交えながら説明します。

電話・コールセンター

電話やコールセンターでは、顧客の生の声を直接聞くことができます。特に「注文の変更方法が分からない」「商品の使い方が分からない」といった困りごとの相談が多く寄せられます。

声のトーンや話し方からも、顧客の感情や要望の強さを読み取ることができます。電話対応では、顧客の質問に答えるだけでなく「ほかに気になる点はありますか?」と積極的に声を引き出すことも大切です。

また、通話内容を文字に起こして記録することで、チーム全体でVOCを共有し、サービス改善に活かすことができます。

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コールセンターのVOC活用について解説。分析方法や活用事例も紹介

メール・チャット・問い合わせフォーム

メールやチャット、問い合わせフォームは、24時間いつでも顧客の声を受け付けられる重要なチャネルです。特にチャットは即時性が高く、商品の在庫確認や配送状況の確認など、具体的な質問が多く寄せられます。

問い合わせフォームでは、あらかじめ項目を設定することで、効率的に情報を集められます。例えば「お問い合わせの種類」「商品カテゴリー」「ご要望の内容」といった項目を設けることで、VOCの分類や分析が容易になります。

文字でのやり取りは後から内容を確認できる利点もあります。

SNS

XやInstagram、FacebookなどのSNSには、ECサイトや商品に関する率直な感想が投稿されます。公式アカウントへの返信やメッセージはもちろん、サイト名やブランド名での検索も有効です。特に不満や改善要望は、SNSに投稿される傾向が高いため、定期的なモニタリングが欠かせません。

また、同業他社への投稿も参考になります。SNSの特徴は情報の拡散力が高いこと。1人の投稿が多くの人の目に触れる可能性があるため、問題の早期発見と迅速な対応が重要です。

顧客アンケート

アンケートはECサイトの改善点を体系的に把握できる効果的な方法です。商品購入後の満足度調査では「商品の品質」「価格」「配送」「梱包」など、具体的な項目ごとに評価を集めることができます。選択式の質問だけでなく、「改善してほしい点」を自由に記述してもらうことで、具体的な要望も把握できます。

回答率を上げるコツは、アンケートのタイミングと設問数です。商品到着後3日以内なら記憶が新しく、10問以内なら回答負担が少ないため、多くの声を集められます。アンケート回答者には次回使えるクーポンを配布するなど、報酬を用意するのも効果的でしょう。

市場調査

市場調査では、競合サイトとの比較や業界全体のトレンドを把握できます。例えば、同じカテゴリーの商品を扱う競合サイトの商品説明、価格帯、送料体系などを比較することで、自社の強みと弱みが見えてきます。

また、ネットショッピングに関する市場レポートや消費者調査のデータからは、顧客の購買行動や意識の変化を読み取ることができます。最近では「環境に優しい商品が欲しい」「スマートフォンでの購入増加」など、新しい消費者ニーズも見えてきます。市場調査の結果は、品揃えの見直しやサイトリニューアルの判断材料としても活用できるでしょう。

ECサイトのレビュー

商品レビューは、顧客の生の声がもっとも集まる場所です。

「サイズ感」「使用感」「耐久性」など、実際に商品を使用した人でないと分からない情報が豊富に含まれています。特に「星1」や「星2」といった低評価のレビューには、改善すべき具体的な指摘が含まれていることが多いです。

また、レビュー機能の「参考になった」ボタンの数は、多くの顧客が共感している証拠といえます。商品レビューの内容は、商品説明の改善や在庫計画にも活用できます。ただし、レビューは書き込む人の主観が強く出るため、ほかのVOCと組み合わせて総合的に判断することが大切です。

VOCをマーケティング施策に活用する際の注意点

お客様の声を活かすには、正しい情報の集め方と分析が大切です。ここでは、マーケティング施策で効果的にVOCを活用するためのポイントを説明します。

数字で見る情報と言葉で表す情報の両方を大切にする

お客様の声には、2つの重要な情報があります。1つは「星の数」や「購入回数」といった数字で分かる情報、もう1つは「良かった点」「困った点」といったお客様が書いてくれる感想です。

例えば、商品の説明文を改善するときは、「何人が商品を見て買ってくれたか」という数字と、「どんな点が分かりにくかったか」というお客様の感想の両方を参考にすることで、より良い改善ができます。

特にECサイトでは、アクセス数や売上といった数字に目が行きがちですが、実際にお客様がどう感じているかという生の声も大切です。「この商品のどこが気に入ったのか」「なぜこの商品を選んでくれたのか」といった理由が分かることで、さらに多くのお客様に喜んでもらえる改善が可能になります。

バイアスのない分析の仕組みを作る

「この商品は若い人向け」「お客様はきっとこう考えているはず」といった思い込みは禁物です。

例えば、若い人向けだと思っていた商品が、実は幅広い年齢の方に人気があることもあるでしょう。商品開発チーム、販売チーム、お客様対応チームなど、異なる立場のメンバーで意見を出し合うことで、偏りのない分析ができます。

ECサイトでは、お客様と直接会うことがないため、想像や思い込みで判断してしまいがちです。そのため、できるだけ多くの情報を集めることが大切です。

例えば、年齢や性別、購入頻度などの基本情報に加えて、「いつ、どんなときに商品を使うか」「どんなきっかけでサイトを知ったか」といった具体的な情報も参考になります。

VOCは継続して収集・分析する

VOCは一時的に集めて終わりではなく、継続的に収集・分析することが重要です。

例えば、新商品の発売直後に「購入手順が分かりにくい」という声が増えた場合、素早くカートフローを改善することで離脱を防げます。

また、セール時期やシーズンごとに顧客の声は変化します。定期的にVOCを集め、状況に応じた施策を打つことで、顧客満足度や売上の向上につなげることができるでしょう。

VOCをマーケティング施策に活用した企業事例

すでに多くのECサイトでは、VOCを積極的に活用し、サービス改善を実現しています。以下では具体的な活用事例を紹介します。

AKOMEYA TOKYO(食品EC)

「AKOMEYA TOKYO」では、自社ECサイトの商品魅力を伝えるために顧客レビューを活用しています。主力商品の説明文にレビューを引用したり、メールマガジンで良質なレビューを紹介する施策を行い、レビューを閲覧した顧客のCVR(コンバージョン率)は、サイト全体の約4倍に向上しているそうです。

また、商品ページに関連レシピを掲載し、具体的な使用例を提案することで、商品の実用性を効果的に伝えています。さらに、高評価アイテムを特集ページで訴求し、ギフト利用のレビューもプロモーションに活用しているようです。

出典:顧客の声で美味しさを伝えるためAKOMEYA TOKYOがReviCoを採用。レビューをサイトの表現に活用しCVRを改善|PR TIMES

モデラート(ファッションEC)

モデラート株式会社の「SOÉJU」は、GPT-4を活用して商品レビューを解析し、「シワになりにくい」などの訴求フレーズを抽出する機能を導入しました。レビューをもとにしたこの機能は、商品ページで特徴を簡単に把握でき、類似アイテムの検索も可能にしたそうです。

この解析結果は新商品の企画や改良にも活用され、購入体験向上につながっているといいます。

出典:モデラートが展開するD2Cファッションブランド「SOÉJU」生成AIを活用した商品レビュー解析機能をリリース|PR TIMES

BOTANIST(化粧品EC)

BOTANISTは顧客の声を活用し、高い製品パフォーマンスと独自のブランドイメージを構築しています。製品開発においては、顧客やインフルエンサーからのフィードバックを活用し、ボタニカルという新たなカテゴリを確立しました。この過程で、製品のデザインや使い勝手を改善し、顧客のニーズに応えています。

また、Instagramを主要なマーケティングチャネルとして活用し、顧客との双方向のコミュニケーションを展開。顧客の声をもとに、投稿内容やプロモーション施策を改善し続けることで、ブランドの魅力を広く伝え、認知度を高めています。

出典:“映え”の先駆者BOTANISTが実践した「SNS競争優位」の作り方|NewsPicks

VOC活用も含め、ECの集客に関するお悩みはプロに相談するのがおすすめ

ここまでVOCの活用方法について詳しく説明してきましたが、実際の運用にはさまざまな課題があります。

VOCの収集から分析、施策立案まで、すべてを自社で行うには人員や時間、専門知識が必要です。特に中小規模のECサイトでは、日々の運営で手一杯となり、VOC活用まで手が回らないことも多いでしょう。

そこでおすすめなのが、VOC活用を含む、マーケティングの専門家への相談です。ECのミカタでは、御社のサイトや目的に合った専門事業者を無料でご紹介しています。

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また、VOC活用に限らず、特定のモールでの運用や委託倉庫、発送代行やコールセンターなど、EC運営にかかわる業務をサポートしてくれる事業者を幅広くカバーしています。

まずは、お問い合わせフォームからご相談くださいね。

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