ECサイトにおける決済手段の多様化が鮮明に、クレカ利用が減少しQRコード決済が躍進
SBペイメントサービス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:榛葉淳)は、ECサイト(物販、デジタルコンテンツ)における決済手段の利用実態に関するアンケート調査を実施し、その結果を公表した。
なお、調査対象は1年以内に物販サイトで何らかの商品を購入した10~80代の男女2,528人および、1年以内にデジタルコンテンツを購入した10~80代の男女2,253人で、2018年度・2020年度に続き、今回が3回目の公表になるという。
(出典:https://www.sbpayment.jp/news/press/2022/20220706_001052/)
ECサイトの決済手段、「PayPay」「楽天ペイ」が躍進
ECサイトで物品もしくはデジタルコンテンツを購入する際、よく利用する決済手段について尋ねたところ、男女ともに1位が「クレジットカード決済」(60%以上)、2位が「PayPay(オンライン決済)」(約20%)という結果となった。
過去2回(2018年度・2020年度)、同様の調査を行った結果と比較したところ、物品とデジタルコンテンツどちらの購入時においても「クレジットカード決済」を選択する割合が年々減少しており、「PayPay(オンライン決済)」の割合が20%を超えて躍進している。さらに「楽天ペイ(オンライン決済)」の割合も10%を越え年々伸びており、オンラインでもリアルでも利用できるQRコード決済の人気が高まっていることがわかる。
一方、「コンビニ決済」「代金引換」など、対面で支払う必要がある決済手段は、コロナ禍で非接触のニーズが高まったこともあり、減少傾向がみられる。
「PayPay」「コンビニ決済」「後払い決済」は物販サイト×女性と親和性が高い
ECサイトにおける決済手段を性年代別にみると、10代男性では「クレジットカード決済」の割合が「コンビニ決済」「PayPay(オンライン決済)」の割合と大差なく、クレジットカードを持っていなくても利用できる決済手段が浸透していることがわかる。
一方で、年代が上がるごとに「クレジットカード決済」の割合は高くなる傾向にあり、60代男性では「クレジットカード決済」の割合が86%と根強い人気があることがうかがえる。
また、女性は全年代で「PayPay(オンライン決済)」「コンビニ決済」が「クレジットカード決済」に次いで人気で、さらに「後払い決済」を好む傾向にあることがわかった。
最も利用する決済手段を選ぶ理由を尋ねたところ、「クレジットカード決済」では「分割払いもできる」「残高を気にする必要がない」といった声が挙がっており、「PayPay(オンライン決済)」「楽天ペイ(オンライン決済)」では「還元率が高い」「キャッシュバックキャンペーンがある」「ポイントが付く」、「コンビニ決済」「代金引換」では「セキュリティの面からクレカを使いたくない」「クレジットカードを持っていない」などの声が多く挙がった。
「キャリア決済」はデジタルコンテンツサイト×男女と親和性が高い
デジタルコンテンツを購入する際、最も利用する決済手段について尋ねたところ、物品購入時と同様、男女全年代で「クレジットカード決済」が最も選ばれた。また、携帯電話料金とまとめて支払いができる「キャリア決済」が20代男女、30代女性、40代男女、50代男女から上位に選ばれており、デジタルコンテンツサイトとの親和性が高いことがわかる。
「PayPay(オンライン決済)」も男女全年代で上位に選ばれており、特に10代男性では「PayPay(オンライン決済)」の割合が22.4%と非常に高く、「クレジットカード決済」(23.9%)とほぼ同割合で利用されている。
最も利用する決済手段を選ぶ理由を尋ねたところ、「クレジットカード決済」は「カードを事前に登録しているので、手間がかからない」「マイルを貯める」、「キャリア決済」は「カード番号等を入力するクレジットカードよりは簡単で安心感がある」「支払いが合算されてスムーズ」といった理由で選ばれている一方、「新しいものに抵抗がある」ため「銀行振込」を選んでいるといった声もあった。
クレカの割合が減少し、決済手段の多様化が加速
過去2回(2018年度・2020年度)、最も利用する決済手段の調査を行った結果と比較したところ、物品とデジタルコンテンツどちらの購入時においても、2021年度には「クレジットカード決済」の割合が約60%と急激に減少し、他の決済手段を利用する傾向が加速している。
物販サイトではずっと2位であった「コンビニ決済」を「PayPay(オンライン決済)」が追い抜く結果となった。デジタルコンテンツサイトでは「キャリア決済」の割合を「PayPay(オンライン決済)」「ID決済」「その他QRコード決済」が上回り、多種多様な決済手段の導入が求められていることがわかる。
よく利用する決済手段がない場合、約60%が離脱
ECサイトで物品もしくはデジタルコンテンツを購入する際、よく利用する決済手段がない場合どうするか尋ねたところ、物販サイトでは男女ともに60%以上が、デジタルコンテンツサイトでは男性約60%、女性約55%が、そのECサイトでは購入せず離脱する傾向にあることが明らかになった。
これらの結果は、2018年度から引き続き同様の傾向が見られているため、多様な決済手段の導入はECサイト運営におけるひとつの重要な要素であると考えられる。
巣ごもり需要でEC利用の頻度が増加
2020年と比べて2021年の1年間でECサイトでの購入頻度に変化はあったか尋ねたところ、物販サイトでは10代男女の50%以上が「増えた」と回答し、他年代でも25%以上が「増えた」と回答。
デジタルコンテンツサイトでも、全年代を通して「増えた」割合が「減った」割合の2.4倍以上にとなった。特に20代女性は、全年代の中で最もデジタルコンテンツを購入する頻度が増加している。2021年も引き続きコロナ禍での外出自粛などの影響で、巣ごもり需要や新たな生活様式でさらにオンラインショッピングを利用する人が増えたとみられる。
クレカの利用割合は3年で17%増加
改めて物販ECにおける決済手段にフォーカスすると、2018年には83.9%を占めていたクレジットカード決済が、2021年には66.7%にまで減少している。3年で実に17.2%の減少だ。
結局のところ、ECサイトにおいてクレジットカード決済が不動の地位を築いていたのは、それが最も手間なく支払いができる唯一の方法であったからだと考えられる。近年になってクレジットカード同様の利便性とクレジットカード以上の手軽さを兼ね備えたQRコード決済が普及した以上、クレジットカード決済の割合が減少するのは自然なことだろう。
あと3年経てば、QRコード決済の優勢はさらに鮮明になるのではないだろうか。