日本人はブランドとの関係性が薄い?定期購入利用は米国の半分【サイトコア調査】

ECのミカタ編集部

デジタル体験管理ソフトウェアのSitecore®は、日本や米国を含む13の国と地域を対象に顧客ロイヤリティに対する消費者の意識調査を実施し、「2022年 ブランド・オーセンティシティ・レポート」を公表した。今回、同社は日米の調査結果を比較した内容を公表している。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

[調査方法]
インターネット(WEB)アンケート方式

[サンプル数]
日本の消費者:1,004サンプル 米国の消費者:1,174サンプル

[調査実施期間]
・日本:2022年4月26日(火)~2022年5月3日(火)
・米国:2022年4月11日(月)~2022年4月18日(月)

[調査実施機関]
ADVANIS

ブランドとの関係性は、日本の方が希薄

ブランドとの関係性は、日本の方が希薄

消費者に対して、「お気に入りのブランドとの関係性は何か」と尋ねたところ、「定期購入者」(日本: 33% 米国: 66%)「ファン」(日本: 23% 米国: 43%)「インフルエンサー」(日本: 6% 米国: 13%)等、どの設問においても米国の方が日本よりも割合が高く、消費者とブランドとのエンゲージメントが強いことが分かる。

一方、日本では44%、米国では7%が「該当の関係性なし」と回答したことから、日本の消費者はお気に入りのブランドであっても、具体的なアクションを取らない傾向があると考えられる。

課題解決するブランドへの好感、米国8割強・日本5割弱

課題解決するブランドへの好感、米国8割強・日本5割弱

マニュアル対応のみならず、顧客の課題解決に自律的に取り組むブランドに対してより忠誠心を抱く割合は、日本が47%に対して米国は82%と顕著な差異が明らかになった。

日本では、多くのブランドで一定のサービス品質が担保されている傾向にある一方、米国では、地域間の所得格差が影響し、サービス品質に関してもばらつきがあることが伺い知れる。そのような社会状況も関連し、米国では、マニュアル対応だけではないブランドの行動が顧客ロイヤリティを左右しやすいことが推測される。

価格よりも重要:日本は信頼性・米国は品質

価格よりも重要:日本は信頼性・米国は品質

「購入ブランド検討の際、価格よりも重要なことがあるとすれば何か」と尋ねたところ、日本では、「信頼性」(48%)「良い顧客体験」(42%)「透明性/信用性」(37%)と、ブランドに対するイメージや体験を重要視する一方、米国では、「高品質」(58%/日本では33%)を最重要視し、ブランドよりも製品に焦点を当てる消費者の割合が高い結果となった。

嫌な体験をしたブランドで再購入、日本は米国の半分

嫌な体験をしたブランドで再購入、日本は米国の半分

嫌な体験をして二度とそのブランドで買い物をしないと決めた後、再びそのブランドを利用した経験を持つ消費者の割合は、日本では17%のみに対して米国では2倍の34%であることが分かった。再購入の理由として、日本では「利便性」(45%)、米国では「良好なサービス」(42%)を挙げた消費者の割合が最も高かった。このことから、日本では過去の体験を利便性が上回った際、米国では製品やサービスそのものの価値を再認識できた際に、再購入の選択肢となり得ることが考えられる。

日本はタッチポイントの利用頻度が低い

日本はタッチポイントの利用頻度が低い

消費者に対して、「2022年に行ったショッピング体験は何か」と尋ねたところ、「モバイル端末でのオンラインショッピング」(日本: 22% 米国: 40%)、他社サービスを利用したオンライン決済(日本: 16% 米国: 29%)、小売業者のモバイルアプリケーションのダウンロード(日本: 12% 米国: 25%)、ブランドのソーシャルメディアのフォロー(日本: 14% 米国: 18%)等、日本は米国と比較し、体験したことのある割合が低い項目が多く、ブランドが提供するタッチポイント(顧客接点)の利用頻度が低いことが明らかになった。

サマリー

今回の主な調査結果は次のようになった。

▶消費者とお気に入りのブランドとの関係性は、米国よりも日本の方が希薄である

▶マニュアル対応だけではないブランドへの好感は、米国が8割強に対して日本は5割弱

▶価格よりも重要なこと:日本はブランドへの信頼性、米国は製品品質

▶嫌な体験をしたブランドで再購入する割合は、日本が米国の半分に留まる

▶日本は米国と比較し、ブランドが提供するタッチポイント(顧客接点)の利用頻度が低い

調査結果を受けて、サイトコア株式会社取締役のスティーブ・ホークス氏は次のように述べている。

「今回の調査から、日本は米国と比較し、消費者とブランドとの関係性が希薄であることが明らかになりました。お気に入りのブランドであっても定期購入をせず、ファンとしての自認も少ない割合となりました。同時に、価格よりもブランドへの信頼性を重要視し、一度嫌な体験をしたブランドでは8割以上の消費者が再購入しないとの厳しい結果も明らかになりました。日本のブランドは、今回の調査結果から見えた消費者行動を踏まえて顧客ロイヤリティを考えていくことが重要です」

コロナ禍の過去2年間で顧客ロイヤリティの形は大きく変化しているようだ。消費者がブランドに期待することは「価格の安さ」だけでなく多岐にわたり、消費者と「お気に入りブランド」の関係性においても日米間で差異が見られるなど、一括りにできない消費者の実態が浮かび上がったと言えそうだ。

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