ECサイトの決済代行とは?仕組みやメリット・デメリット、導入のポイントを解説

ECのミカタ マーケティング部

ECサイトの決済代行とは?仕組みやメリット・デメリット、導入のポイントを解説

決済代行は、クレジットカードやコンビニ収納などの各種決済について、自社と各決済会社を仲介するサービスです。ユーザーのニーズに応えるためにも、ECサイトではさまざまな決済方法に対応する必要があり、多様な決済手段を一括で利用できる決済代行の需要は高まっています。そこで、ECサイトで決済方法を増やしたいときに便利な「決済代行」について紹介します。この記事を読んで、決済代行の仕組みや代行会社を選ぶときのポイントを押さえましょう。

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ECサイトの決済代行とは

決済代行とは、決済代行会社がECサイト事業者とカード会社などの決済機関を仲介して、決済システムを提供するサービスです。

ECサイトで新しい決済手段を導入するには、各決済機関との契約やセキュリティシステムの構築が必要になるため、ECサイト事業者にとって大きな負担になります。

決済代行を利用すると、各決済機関との契約やECサイトの決済システム構築などの業務を委託できるため、個別に決済機関とやりとりする手間が省け、多数の決済手段を一括して導入することが可能です。

決済代行サービスの仕組み

ECサイトの消費者が商品を購入した際の流れについて、クレジットカード決済を例に解説します。

クレジットカード会社と直接契約している場合

  1. カードの利用情報がカード会社に届く
  2. カード会社が、ECサイトに対して商品代金を立替で支払う
  3. ECサイトがカード会社へ手数料を支払う
  4. 会社が消費者に商品代金を請求して、消費者がカード会社に支払う

クレジットカード決済は、クレジットカード会社(ブランド)ごとに、契約やシステム構築が必要で、商品代金が支払われるタイミングもクレジットカード会社ごとに異なります。

決済代行会社に委託した場合

  1. カードの利用情報が、決済代行会社に届く
  2. 決済代行会社からカード会社へ、カードの利用情報が送られる
  3. 決済代行会社が、ECサイトに対して商品代金を立替で支払う
  4. ECサイトが決済代行会社へ手数料を支払う
  5. カード会社が、決済代行会社に対して立替で商品代金を支払う
  6. カード会社が消費者に商品代金を請求して、消費者がカード会社に支払う

決済代行は、自社ECサイトと決済期間の間に立ち、各決済機関との契約、システム構築・運用・障害対応、入出金管理を、ワンストップで委託できる便利なサービスといえます。

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決済代行会社に委託できる業務

決済代行会社と契約することで、決済機関との契約手続きやシステム構築などを委託することができます。具体的には、次のような業務を依頼できます。

決済機関との契約

決済代行会社は、各カード会社や電子マネー、コンビニ決済といった、各決済機関との契約を代行してくれます。自社で行う場合は、それぞれの決済機関の審査基準をクリアする必要があり、決済機関ごとに個別で契約が必要です。クレジットカードだけでも複数のクレジットカード会社があり、それぞれ個別に手続きしなければなりませんが、決済代行会社に依頼することで、決済機関との契約を一括して代行してもらえます。

英語に対応している決済代行サービスもあり、決済機関によっては英語の書類を含む複数の書類が必要なこともありますが、そのような手続きもまとめて引き受けてくれます。

決済方法に応じたシステムの構築

代行会社がECサイトに決済環境を構築してくれます。決済手段を導入するためには、決済機関と契約をするだけでなく、各決済機関の仕様に合わせてECサイト側に決済システムを構築する必要があり、複数の決済をまとめて管理するための独自システムも必要になります。決済代行を導入することで、複数の決済手段に関わるシステムを一括で構築してもらうことが可能です。

決済処理や入金業務

決済手段を運用したあとに必要な、決済処理や入金管理といった各決済機関とのやりとりも決済代行会社が代行してくれます。ECサイト事業者は決済代行会社とのみやりとりを行えばよいため、各決済機関と個別の対応は必要はありません。

決済代行会社に委託するメリット・デメリット

決済代行会社に委託する主なメリット・デメリットを解説します。

メリット1)導入・運用する際の手間が省ける

さまざまな決済手段を導入・運用する際の手間が省けるのが大きなメリットです。たとえばクレジットカードの場合、導入にはVISAやJCB、MasterCardといったブランドそれぞれの審査を通さなければなりません。決済代行会社は、ブランドや各決済機関の審査および契約をまとめて代行してくれるため、自社で決済機関と直接契約するよりも導入がスムーズといえます。また、決済機関との契約更新や契約内容変更などの手続きも代行会社に依頼することで、事務作業の手間を軽減できます。

メリット2)入出金を一括で管理できる

決済代行会社を利用すれば、売上の把握や入金作業をまとめて管理できます。各決済機関ごとに入金のタイミングが異なるため、複数の決済を管理するのは大変ですが、決済代行を導入すると個別に対応する必要がありません。経理担当の作業負荷を軽減して手間やミスが減ることで、作業効率の向上も期待できるでしょう。

メリット3)決済機関に手数料の交渉ができる

多くの決済手段において、ECサイト事業主が決済機関に手数料を支払う必要があります。手数料は決済機関によって異なりますが、ECサイト事業者が決済機関に個別で手数料の引き下げを交渉することは容易ではありません。決済代行会社に、各決済機関の手数料の比較・検討や手数料の引下げ交渉を依頼することで、手数料を下げられる可能性が高まります。

メリット4)システムのアップデートや保守が不要になる

決済代行を導入している場合は、各決済機関ごとのシステム連携や保守管理、アップデートへの対応なども、代行会社が実施します。自社では決済代行機関との間にシステムを構築するだけで、決済機関ごとの個別対応は不要になるため、システムの保守管理にかかる手間と費用を低減できます。

デメリット)手数料が生じる

当然のことながら、多くのメリットを得る対価として手数料を支払います。費用対効果を検討し、最適な決済代行会社を選定することが重要です。

ECのミカタでは、決済代行サービスの資料を複数まとめてダウンロードできます。決済代行サービスの導入を比較検討する際に、ぜひご活用くださいね。

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決済代行サービスで利用できる主な決済手段

ここで、決済代行サービスによって導入できる主な決済手段を紹介します。

クレジットカード決済

クレジットカード決済は、ECサイト上にカード情報を入力するだけで決済できるため、クレジットカード保有ユーザーには利便性が高い手段です。利用額も年々上昇しているためECサイトで最初に導入すべき手段といえるでしょう。VISAやMasterCardのような国際ブランドのクレジットカードは、海外の人も使いやすいため、多様な客層からの購入が期待できます。

通常は、カード会社それぞれのシステムとECサイトをつなぐ必要がありますが、カード会社と自社間に決済代行会社が入る場合は、決済代行会社とのシステム接続のみで利用できます。

コンビニ決済

コンビニ決済は、ECサイトで購入した商品やサービスの代金をコンビニで支払う決済方法です。前払いと後払いの2つの方式があり、後払いは商品が手元に届いてから購入代金を支払うため、消費者にとっては安心感のある決済方法ともいえます。クレジットカードを持てない未成年者や、ECサイトにクレジットカード情報を入力することに不安を感じている人も利用しやすい決済手段です。

電子マネー決済

電子マネー決済とは、SuicaやPASMO、WAONといった電子マネーを用いて支払う方法です。電子マネー決済は高い還元率が設定されているものもあるので、利用したいと考えている人は多いでしょう。電子マネー決済は支払のタイミングによって3種類に分かれており、事前に金額をチャージする「プリペイド型」、後払いでチャージ不要の「ポストペイ型」、即時支払われる「デビット型」があります。決済代行会社によって取り扱っている電子マネーが異なるので、自社ECサイトで扱いたい電子マネーに対応している決済代行会社を選ぶ必要があります。

注意点として、プリペイド型の電子マネーは、悪用を防ぐ目的でチャージ限度額が設定されるため高額商品には向いていません。新たに電子マネー決済の導入を検討している場合は、自社ECサイトの商品に合う決済手段なのか確認しましょう。

QRコード決済・バーコード決済

QRコード決済・バーコード決済は「二次元コード決済」と呼ばれることもある決済手段です。QRコード決済は、すでに実店舗での決済手段として地位を確立していますが、アカウント情報を利用した「ID決済」を利用することで、ECサイト利用時もQRコード決済が利用可能です。

また、消費者がQRコード決済・バーコード決済にクレジットカードを連携させることで、クレジットカードに対応していない店舗も、間接的にクレジットカード決済が可能になるメリットもあります。

若年層では決済手段としてQRコード決済を利用することが多く、大手ECモールなどQRコード決済を導入しているECサイトもあります。決済手段が不足しているとユーザーがサイトから離脱してしまいますが、自社のECサイトにもQRコード決済・バーコード決済を実装することで、売上アップが期待できます。

関連記事:QRコードとECサイトの関係は?導入可能なID決済の概要やメリット、種類を紹介

携帯電話キャリア決済

キャリア決済とはdocomoやau、SoftBankなど各キャリアの携帯電話使用料金と一緒に支払える決済方法です。クレジットカード情報は必要ないため、クレジットカードを持っていない消費者や、インターネット上でカード情報を入力することにためらいがある消費者には有効な手段となります。キャリア決済は、消費者の契約期間や年齢などによって限度額が設定されるため、導入は自社ECサイトの客層や商品の金額を考慮する必要があるでしょう。

銀行振込(口座振替)

銀行振込とは、商品やサービスの代金を、ECサイトが指定した金融機関の口座に直接振り込む方法です。一方、口座振替は、金融機関の間で代金の移動を行うもので、銀行口座を持っていれば利用できる決済サービスです。口座振替は手続きをすることによって自動的に代金が支払われる仕組みのため、頒布会やサブスクリプションなど、消費者が毎月のように振込作業を行うようなECサイトに向いています。

昔からある決済手段のため高齢者にも馴染みがあり、前払いの振込は商品の発送前に代金を入金してもらうことができるため、未回収リスクを軽減できるメリットもあります。

インバウンド観光客・越境EC向け決済

インバウンド観光客・越境EC向け決済は、外国人や海外に販売するECサイトに必要です。海外でよく利用される決済手段は、たとえば中国ならAlipayや銀聯(ぎんれん)カード、アメリカならクレジットカードやデビットカード、PayPalなど、国によって異なります。自社がターゲットとしている国がどの決済手段を多用しているのかを調べて、対象国に合った決済サービスを導入することが大切です。

店舗決済

店舗決済も、決済代行会社がオプションとしてサービスを提供していることがあります。ECサイトで利用している決済代行会社に実店舗の決済も依頼することで、ECサイトと実店舗の入出金を一元管理できます。また、ECサイトと実店舗の顧客データを決済代行会社のシステムで一括して管理することで、営業活動に役立てることや、消費者の利便性向上につなげることも可能です。

関連記事:ECサイトに導入すべき決済サービスとは?決済方法や決済代行の仕組みを解説

ECサイトにおける決済手段の利用割合

総務省の令和4年度通信利用動向調査をもとに、よく利用されている決済手段を見てみましょう。

データ出典:「令和4年度版 情報通信白書」総務省

この調査の結果によると、オンライン上での購入時の決済手段として最も使われているのは「クレジットカード払い」でした。注目したいのは、「電子マネーによる支払い(〇〇ペイなどのQRコード決済、交通系ICカードなど)」の利用率が2020年から2021年の一年間で13.2ポイントも増加し、全体で3番目の利用率を占めている点です。他方で、「コンビニエンスストアでの支払い」も根強い利用率を維持しています。

このように、消費者が利用する決済方法が多様化しているため、ECサイトでは、複数の決済手段を用意するといった対策が求められます。

ECサイトへの決済システムの導入方法・導入費用

ECサイトに決済システムを導入する場合は、どのような方法で行うのが一般的なのでしょうか。費用の目安とあわせて紹介します。

決済システムの導入方法

  1. アカウント作成
  2. APIキーの取得
  3. サイトへの統合

まずは、決済システムの公式サイトなどでアカウントを作成します。必要な情報を入力し、本人確認手続きを完了させましょう。

アカウント作成後、開発者向けの設定画面からAPIキーを取得します。このキーを使用して、ECサイトと決済システムを連携させます。

そして、決済システムのAPIドキュメントに従い、決済フォームを作成したりAPIを介した決済リクエスト送信を実装したりして、ECサイトに決済機能を統合していきます。多くの決済システムでは、プラグインやライブラリが提供されており、これらを利用すると簡単に統合できます。

決済システムの導入費用

一般的な決済システムの費用構成を紹介します。

初期費用 システム導入時にかかる費用です。
ただし、多くの決済システム(決済代行サービス)は初期費用が無料です。
月額料金 一部の高機能なサービスでは月額料金が発生することがあります。
取引手数料 一般的に、決済金額の2%~3.5%程度が手数料として設定されています。
追加費用 返金処理や不正検知など、
追加のサービスに対する費用が発生する場合があります。

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決済代行会社を選ぶ際の比較ポイント

ここからは、代行会社の選定時に注目すべきポイントを説明します。以下の7つのポイントから総合的に判断して、自社に合う会社を選択しましょう。

自社が希望する決済方法に対応しているか

決済代行会社によって、取り扱っている決済手段は異なるため、希望する決済手段を導入できるかどうかが一番大切です。例えば、主要国際ブランド以外のクレジットカード会社を多く扱う代行会社もあれば、Apple PayやGoogle Pay、WAONなど電子マネーを豊富に扱っている会社もあります。

若年層ではクレジットカードよりも〇〇Payなどの需要が高いなど、求められる決済手段は客層によっても異なり、消費者は、自分が使いたい決済手段がないと他社のECサイトで商品を購入してしまいます。自社の商品や客層など、さまざまな観点で決済手段を選択し、その決済手段が使える決済代行会社を選びましょう。

新しい決済手段を取り込んでいるか

決済手段は、時間が経つにつれて新たなサービスが生まれ、ますます多様化しています。たとえば2018年からサービスが始まったスマホ決済「PayPay(ペイペイ)」は、代行会社によっては取り扱っていないこともあります。決済手段の豊富さは顧客満足にもつながるため、時代のニーズに即したECサイト運営には、トレンドの決済手段を導入することも必要です。決済代行会社が新たな決済手段を積極的に取り入れているかといった点も、確認しましょう。

万全なセキュリティ体制か

オンライン上で行われる決済サービスでは、セキュリティ体制は最も重要です。個人情報の漏えいは会社の信頼やECサイトの運営に大きな影響を及ぼします。セキュリティ体制が万全かどうかもしっかりと確認しましょう。その際、代行会社が「プライバシーマーク」や「ISMS認証」、「PCI DSS」といった情報保護における認証を取得しているかどうかや、クレジットカード情報の非保持などが参考になります。自社ECサイト利用者の個人情報だけでなく、サイト運営事業者の情報も守るために、セキュリティ体制がしっかりした代行会社を選びましょう。

費用対効果を得られるか

決済代行を利用する際にかかる費用は、主に初期費用(システム導入費用)・月額費用・決済手数料・決済データを決済機関に転送するトランザクション費用の4つです。代行会社によっては初期費用や月額費用が無料で、手数料のみという場合もあります。

初期費用・月額費用が無料の場合は、初期費用を押さえられるため、ECサイトをスタートするときに向いています。一方、初期費用・月額費用がかかる料金体系の場合は、利用件数に関わらず固定費を支払うのが通常です。自社の売上予測と月々のランニングコストを総合して検討し、費用に見合う効果を得られるか検討しましょう。

いずれの料金体系でも、複数の決済代行会社から見積りを取り寄せて比較検討し、費用対効果の高い決済代行サービスを導入することをおすすめします。

自社のカートシステムと連携ができるのか

自社ECサイトのカートと決済代行サービスが連携できるかも重要なポイントです。ECサイトのレンタルカートが決済代行サービスと連携している場合がありますが、どの決済代行サービスと連携しているかはカートによって異なります。自社のECサイトで利用しているカートについて、対応している決済代行会社をチェックしましょう。

サポート体制が充実しているか

トラブルが発生した際に、迅速に対応してくれるサポート体制のある代行会社を選ぶことも大切です。たとえば、年中無休の電話窓口がある、24時間有人対応、ECサイト消費者の問合せにも対応しているなど、トラブルが発生した際にどのようなサポートを受けられるのか、事前に確認しておきましょう。

決済代行に付随するサービスも検討する

自社のECサイトで必要になりそうな、付随サービスで検討するのもおすすめです。決済代行に付随するサービスとして、近年は不正検知も需要が高くなっています。たとえば転売目的の大量購入やクレジットカードのなりすましのような、ECサイトの不正利用を把握して対策を講じることで、商品の不正購入を防ぎます。

その他にもマーケティング支援など、決済に関することだけでなくECサイト運営を広くカバーするサービスを提供して、ECサイト運営を支援している決済代行会社もあります。

関連記事:ECサイトの不正注文対策。種類や手口も合わせて解説

決済代行サービスの利用で、自社ECサイトの決済方法を充実させよう

決済手段はユーザーの満足度にも関わる大事な項目です。選択肢は多い方が望ましいですが、自社で複数の決済手段を導入・運営することは大変な労力が必要となります。自社にあった決済代行会社を用いれば、時間や手間といったさまざまなコストを削減しつつ、決済手段を充実させることができます。メリットや選定方法もふまえて、自社にあった決済代行会社の導入を検討しましょう。

ECのミカタでは、決済代行サービスの資料を複数まとめてダウンロードできます。決済代行サービスの導入を比較検討する際に、ぜひご活用くださいね。

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