経産省が“Google・メタ・ヤフー”の広告事業を「デジタルプラットフォーム透明化法」対象に指定

ECのミカタ編集部

経済産業省は、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」について、デジタル広告分野における同法の規制対象となる事業者を指定した。

令和3年4月に続く指定

経済産業省は、デジタルプラットフォーム運営事業者とデジタルプラットフォームの利用事業者間の取引の透明性と公正性確保のために必要な措置を講ずる「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」について、デジタル広告分野における同法の規制対象となる事業者を指定した。併せて同省は、デジタル広告分野のプラットフォームを利用する事業者の相談に応じ、解決に向けた支援を行うための相談窓口を設置している。

透明化法においては、特に取引の透明性・公正性を高める必要性の高いデジタルプラットフォームを提供する事業者を「特定デジタルプラットフォーム提供者」として指定し、規律の対象とすることとされている。令和3年4月には、総合物販オンラインモール運営事業者3社、アプリストアの運営事業者2社を「特定デジタルプラットフォーム提供者」として指定している。

規制対象として指定された事業者

同省は、デジタル広告分野の「特定デジタルプラットフォーム提供者」として、以下の事業者を指定した。「特定デジタルプラットフォーム提供者」として指定された事業者は、透明化法の規定により、取引条件等の情報の開示及び自主的な手続・体制の整備を行い、実施した措置について、毎年度、自己評価を付した報告書を提出することが義務付けられる。

◆メディア一体型広告デジタルプラットフォームの運営事業者

▷Google LLC

広告主向け広告配信役務である「Google広告」、「Display&Video360」等を通じて「Google検索」又は「Youtube」に広告を表示する事業

▷Meta Platforms,Inc.

広告主向け広告配信役務である「Facebook広告」を通じて「Facebook(Messenger含む)」又は「Instagram」に広告を表示する事業

▷ヤフー株式会社

広告主向け広告配信役務である「Yahoo!広告」を通じて「Yahoo!JAPAN(Yahoo!検索含む)」に広告を表示する事業

◆広告仲介型デジタルプラットフォームの運営事業者

▷Google LLC

広告主向け広告配信役務である「Google広告」、「Display&Video360」等を通じて、「AdMob」、「Adsense」等により、媒体主の広告枠に広告を表示する事業

公正なビジネス実現へ向けた法運用に期待

近年、デジタルプラットフォームが利用者の市場アクセスを飛躍的に向上させ、重要な役割を果たしている。一方、一部の市場では規約の変更や取引拒絶の理由が示されないなど、取引の透明性及び公正性が低いこと等の懸念が指摘されている状況を踏まえ、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が、令和2年5月に成立し、令和3年2月に施行された。

ECをはじめとした巨大オンラインプラットフォーマーが集客を含めたビジネス全般で絶大な力を持つ中で、そこに参画する中小規模の事業者、そしてなにより消費者が相対的に弱い立場に立たされることにもなる。こうした構図は、ともすると不公正な取引を強いられることにもつながりかねず、それは独占禁止法により規制対象にもなり得る。

実際に一部のECプラットフォーマーに対して公正取引委員会が調査を開始する事案も発生しているが、独禁法の適用は煩雑かつ厳格であり、その手続きや調査の間にも取引している中小事業者や消費者の不利益が発生することにもなりかねない。そこで事前にデジタルプラットフォーマーから、主に独禁法が対象とする分野での情報を提示してもらい、被害や不利益を防ごうという目的で制定されたのが、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」だ。

今回、新たにデジタル広告分野で指定がなされたことで、中小事業者と消費者にとって、実効的に公正な取引が担保されることが期待される。また、デジタルプラットフォーマーに対しての規制のあり方についても、引き続き国民的な議論が求められることにもなりそうだ。

ECのミカタ通信23号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事