B2B越境決済、みんなどうしてる?[ペイオニア調査]

ECのミカタ編集部

Payoneer Inc.(本社:米国ニューヨーク)の日本法人、ペイオニア・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、カントリーマネージャー:岡本王湖、以下 「Payoneer Inc.」または「ペイオニア・グループ」)は、海外B2Bビジネスを行っている企業の社長、役員・部長クラス(一般社員以外)を対象に調査を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

▶調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWebアンケート方式で実施

▶調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、海外B2Bビジネスを行っている企業の社長、役員・部長クラスの方(一般社員以外)を対象に実施

▶有効回答数:1,017人

▶調査実施期間:2022年11月22日(火)~2022年11月24日(木)

代金の受取通貨、約4割が外貨で受取

代金の受取通貨、約4割が外貨で受取

B2Bビジネスを行っている企業の社長、役員・部長クラスの方1,017名に、海外取引での理想の決済方法を聞いている。「海外取引での決済はどのようなものが好ましいですか?(複数回答可)」と質問したところ、『なるべく手続きや手数料を抑えたい(58.2%)』と回答した人が最も多く、次いで『できるだけ為替リスクを減らしたい(54.1%)』『セキュリティ上、安全な決済ルートを確保したい(47.1%)』と続いた。手間や費用を抑えたいという声や、リスクを回避したいといった声が主に見受けられた。

次に「海外取引での代金の受け取りは、外貨と邦貨のどちらで行っていますか?」と質問したところ、『外貨(41.1%)』『邦貨(22.4%)』『両方(36.2%)』という結果になった。邦貨のみで受取を行っている企業の2倍近くの企業が外貨で代金を受け取っていることになる。

邦貨のみ、または外貨と邦貨両方を採用している企業に対し、外貨で受け取ることへの不安を聞いている。

・為替変動による利益率の変化の懸念(40代/男性/東京都)
・為替レートの急激な変化に遅延する対応(50代/男性/千葉県)
・その国の情勢(50代/男性/北海道)
・送金から着金までのタイムロスがあること(50代/男性/東京都)

このような回答が寄せられた。

外貨での受取には、為替変動への懸念がぬぐい切れない部分があるようだ。それにより、遅延や不利益が生じてしまうリスクが想定される。

海外取引での決済手段、約7割が銀行送金

海外取引での決済手段、約7割が銀行送金

「海外取引先からの代金の受け取りは、主にどのように対応していますか?(複数回答可)」と質問したところ、『銀行送金(SWIFTなどのT/T送金)(67.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『銀行送金(信用状取引)(47.8%)』『外貨受取りサービス(PayPal、Alipay 、Payoneerなど)(25.3%)』『クレジットカード(15.4%)』と続いた。7割近くが「銀行送金(SWIFTなどのT/T送金)」により代金を受け取っているようだ。

続いて、「それらの決済手段を使っている理由を教えてください」質問したところ、『利便性が高いから(43.2%)』を回答した人が最も多く、次いで『契約上その取引方法しか対応できないから(23.4%)』『他の方法を知らないから(15.0%)』『相手から指定があったから(9.8%)』『手続きが楽だったから(6.7%)』と続いた。4割以上が利便性を重視して決済手段を選択しているようだ。また、取引先との事情があり選択の余地がないことや、その決済方法しか知らなかったという回答が見受けられた。

続けて、利用している決済方法以外の方法を選択しない理由を聞いている。

・煩雑になる可能性がある(40代/男性/東京都)
・特に代替する必要性を感じないから(50代/男性/埼玉県)
・極力リスクを避けたいから(50代/男性/宮城県)
・利便性のより良い手段を知らない(50代/男性/東京都)

知識不足も理由の1つとなっているようだが、多くは煩雑化によりリスク増加を防ぐといった理由があるようだ。

複数の決済手段を利用することによるリスク増加を懸念する声があったが、複数利用する人はどのような理由があるのろうか。

・リスクに備えて(30代/女性/東京都)
・決済手段として数多く取り入れた方が利用者が増えるから(30代/男性/東京都)
・取引先の要求に合わせることがあるため(40代/男性/東京都)
・利便性や信用問題(50代/男性/静岡県)

複数利用についてはこのような回答が寄せられた。同社は、複数の決済手段を利用することで煩雑化し、それがリスクとなっているとも考えられるとしつつ、却って、複数の決済手段が可能であることによりリスクヘッジを図ることができるとも考えられそうだとしている。その上で取引先によって指定される決済手段が異なってくるため、それに対し柔軟に対応できることで、取引数の増加も見込める可能性があると分析している。

決済費用のコストダウンについて

決済費用のコストダウンについて

「海外取引先からの代金受取り、支払いに対してどのくらい費用がかかっているかを認識されていますか?」と質問したところ、8割近くの方が『はい(78.1%)』と回答した。多くの人は決済にかかるコストを認識できているようだ。しかし、5人に1人の割合で、認識できていない人も見受けられた。海外との取引では、通貨が異なるために決済時の手数料なども考慮する必要がある。

次に「銀行での決済はコストダウンできる可能性があることをご存じですか?」と質問したところ、『知っている(64.8%)』『知らない(35.2%)』という結果になった。6割以上は銀行での決済をコストダウンできる可能性があることを知っている一方、一定数の人には認識が広がっていないことが判明した。

サマリー

このように今回、同社によって海外B2Bビジネスにおける決済事情について、海外B2Bビジネスを行っている企業の経営に携わる人を対象に調査が行われた。その結果、手続きや手数料を抑えた決済を望む企業が6割弱で、約4割が外貨のみで受取を行っている一方、為替変動を懸念する声もあった。また利便性とリスクヘッジを意識した決済手段の選択を行っていることが分かり、銀行での決済をコストダウンできる可能性があることを認知しているのは約6割となった。

調査結果を受けて、同社では次のように述べている。

「今回の調査から、海外B2Bビジネスを行っている企業の決済事情が明らかになりました。手続きや手数料を減らし、リスクをできるだけ回避した決済を重視しているようです。銀行送金(SWIFTなどのT/T送金)を利用している企業が最も多く、約7割に上りました。複数の決済手段を利用することで発生しうるリスクを懸念する声がある一方で、複数の決済手段が可能だからこそ、様々な取引先に対応できたり、1つの決済方法に困難が生じても代替手段が確保できるといったリスク回避に繋がったり、大きなメリットもあるようです」

越境ECという観点で見ると、BtoCまたはCtoCについては、大手プラットフォーマーや越境EC支援システムの一環として、ショップ側が意識することなく決済を行えるよう、サービスが整備されつつある。一方、個別の越境BtoB取引では、今回の調査にあるような、煩雑な決済手続きがつきものだ。いずれにしろ、取引先はもちろん、通貨そのものの信頼性や各国の中央銀行の金融政策、通貨の需給バランス等に左右されることが避けられないものの、それらを踏まえた上で決済においてもリスク回避をいかに行っていくかが、重要となりそうだ。

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