消費者がECでコスメを買う判断基準は?[ライフェックス調査]

ECのミカタ編集部

EC、D2Cのマーケティングプロデュースカンパニー、株式会社ライフェックス(所在地:東京都港区、代表取締役:工藤一朗、以下「ライフェックス」または「同社」)は、全国の18代~60代の女性を対象に「化粧品のEC購入に関する調査」を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

▶調査の方法:インターネットリサーチ会社を利用したWEBアンケート方式で実施

▶調査の対象:ECサイトで化粧品を購入した経験のある全国(北海道・沖縄を除く)の18歳~69歳の女性

▶有効回答数:
(1)2,000名 
(2)500名※(1)で化粧品をよくネット購入すると答えた人を対象に追加調査

▶調査実施日:
(1)2022年12月28日 ~ 2022年12月28日
(2)2023年01月06日 ~ 2023年01月07日※(1)で化粧品をよくネット購入すると答えた人を対象に追加調査

ドラッグストアに次いでネットで購入が約38%

ドラッグストアに次いでネットで購入が約38%

化粧品をよく購入する場所について尋ねたところ、「ドラッグストアで購入」が57%で最も多く、続いて「ネットで購入」が38%だった。「百貨店で購入」は12%となった。(n=2,000)

また「化粧品をよくネットで購入する」と答えた756名の消費者のうち、約60%が店舗で実際の商品を確認しないことがわかった。また「事前に確認しなかった」と回答した世代別分布によれば、若い世代ほど事前に店舗で商品などを確認した上で購入に至っていることがうかがえる。(n=756)

ネット購入の判断基準は「公式からの情報」が最多

ネット購入の判断基準は「公式からの情報」が最多

店舗で商品を確認せずネット購入に至った消費者に対し、商品を確認しないで購入した理由を尋ねたところ、「公式からの情報(サイトやSNS等)が充実していたから」が56%で最多、次いで、35%が「友人やクチコミなどで評判がよかったから」となった。(n=456)

また「SNSでの著名人や友人などの口コミ」が購入の決め手になったと回答した消費者に対し、その口コミがPR(広告)だったかと尋ねたところ、「PR(広告)ではなかった」と答えた人が約71%だった。一方でPR(広告)だったと回答したのが約5%、「どちらかわからない」と答えた消費者が約24%となった。

「クチコミがPR(広告)でも購入する」約20%

「クチコミがPR(広告)でも購入する」約20%

「SNSでの著名人や友人などの口コミ」PR(広告)であっても購入するかと尋ねたところ、「購入する」は約20%だった。世代別でみると、より若い世代のほうがPRと自覚していても購入すること高いことがわかった。(n=185)

さらに「ネット購入でよかった体験があれば教えてください」と自由記述で尋ねたところ、主に以下の4つに分類できる回答があった。

・実店舗で購入するよりも安かった。
・価格が比較できる、評価がわかる
・購入の手間がない、欲しい時にすぐに手に入る
・地元では取り扱いがなく購入できない商品でも手に入る

また「ネット購入で失敗した体験があれば教えてください」と自由記述で尋ねたところ、思っていたイメージと異なった(画像と違う/使用感がちがう/色味や匂いが違う)という回答が大半だった。化粧品という商材特有の「肌に合わなかった」という回答も見られた。

総評

同社では調査結果を受けて以下のように分析している。

◆サイトやSNSなど公式のブランドから発信される情報はきちんと見られている

ネットでよく化粧品を購入する消費者のうち、商品を事前に店舗などで確認せずネット購入した理由を尋ねました。その結果、「公式からの情報(サイトやSNS)が充実していたから」が56%と最多でした。公式からの情報を第一に見ているという消費者の行動は意外に見落としがちな視点です。ECの場合、広告やLPに投資をしがちな傾向がどうしてもありますが、消費者は公式のブランドから発信される情報を正確に掴もうとしているということがこの結果から見て取れると思います。

◆SNS上でのインフルエンサーなど著名人の口コミがPRに7割が自覚的

「SNSでの著名人や友人などの口コミ」が購入の決め手になったと回答した消費者に対し、その口コミがPR(広告)だったかを尋ねた質問は、SNS上でのインフルエンサーなど著名人の口コミがPRかどうかに対し自覚的かを確認したい意図がありました。約71%が自覚的だった反面、どちらかわからないが24%の回答であったことも、PRだとわからず口コミを信じて誤認につながる可能性を残している可能性を示唆していると言えます。

◆期待値のずれを生まない購買前のブランド体験が肝になっていく

ネット購入時の失敗体験を尋ねた設問では、回答にテキストマイニングをかけたところ、「違う」というワードが多数でした。化粧品については効果効能に対しての期待値とのズレが生じやすいという特性はありますが、過剰に盛ったLPや商品画像に影響を受けた期待値と実際に届いてからの印象に乖離を与える可能性もあるかもしれません。こうしたずれを購買前に埋めていくため、店舗とデジタルを融合したオムニチャネル化が加速するなど、購買前の体験価値が今後ますます求められると言えます。

◆購買データだけでなく消費者の行動データや趣味趣向もデータ活用をする

デジタルネイティブと言われる若い世代が増える中、情報を比較検討し慎重にネット購入をする傾向が見て取れますので、広告一辺倒なコミュニケーションではなく、より一人一人の趣味趣向や行動データに合わせた、誠実なコミュニケーションがEC事業者にも求められると言えます。

サマリー

調査結果にあるように、約38%の消費者がよくネットで化粧品を購入しており、「初めて買う化粧品をネットで購入する前に実際の商品を店舗で確認しない」が約60%となった。また若い世代ほど事前に店舗で商品などを確認した上で購入に至っていて、商品を確認しないでネットで購入する決め手は「公式からの情報(サイトやSNS等)が充実していたから」が約56%で最多となった。さらに、SNSでの口コミを参考にした際、約20%の消費者がSNS上で口コミがPRとわかっていても商品が良ければEC購入すると回答した。

同社も述べているが、企業公式のアカウントの情報を信頼する傾向が強く、オウンドメディアやSNSを活用した適切な情報発信を行い、消費者とネットを介したロイヤリティをいかに構築していくかが重要となりそうだ。またプロモーションであっても、商品の良さが伝われば、約2割が購入するとしており、CVやCVRの面で必ずしも歩留まりが高いとは言えない広告を用いた施策においても消費者の心に刺さる、きちんとした設計が求められることになりそうだ。

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