ECで決済手段に非対応だと53%超がサイト離脱[SBペイメントサービス調査]
ソフトバンク株式会社の子会社であるSBペイメントサービス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:榛葉淳)は、ECサイト(物販、デジタルコンテンツ)における決済手段の利用実態に関するアンケート調査を実施し、結果の一部を抜粋して公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
[調査名]
ECサイトで物品・デジタルコンテンツを購入する際の決済手段に関する調査
[調査方法]
インターネットリサーチ
[調査地域]
全国
[調査期間]
2023年2月14日~3月7日
[調査対象]
・1年以内に物販サイトで何らかの商品を購入した10~80代の男女2502人
・1年以内にデジタルコンテンツを購入した10~80代の男女2312人
[調査元]
SBペイメントサービス株式会社
[凡例]
・物販サイト:洋服や靴などの身に付ける物、化粧品、本、食料品、医薬品などを販売するECサイト
・デジタルコンテンツ(デジコン)サイト:電子書籍、動画視聴サービス、オンラインゲーム、イベントなどのサービスを提供するECサイト
ECサイトでよく利用する決済手段は?
ECサイトで物品もしくはデジタルコンテンツを購入する際、よく利用する決済手段について尋ねたところ、男女ともに1位が「クレジットカード決済」(約60%)、2位が「PayPay(オンライン決済)」(約24%)、3位が「楽天ペイ(オンライン決済)」(約12%)という結果になった。
また過去3回(2018年度、2020年度、2021年度)、同様の調査を行った結果と比較したところ、物品とデジタルコンテンツどちらの購入時においても、「クレジットカード決済」を選択する割合が2018年度から2022年度にかけて約20%減少していた。
代わりに「PayPay(オンライン決済)」の割合が2022年度には22%以上と「クレジットカード決済」に置き換わり、台頭してきている。さらに、「楽天ペイ(オンライン決済)」の割合も11%を越えて年を追うごとに伸びていた。
年代別・男女別、よく使う決済手段は?
ECサイトで物品を購入する際、最も利用する決済手段について尋ねたところ、10代男性では「PayPay(オンライン決済)」の割合が約30%と最も選ばれており、10代男女ともに「クレジットカード決済」以外の決済手段が浸透していることが分った。
一方で、年代が上がるごとに「クレジットカード決済」の割合が高くなる傾向にあり、50代以上では男女ともに「クレジットカード決済」の割合が71%以上となった。
また、男性は20~40代で「Yahoo!ウォレット決済」が3位にランクインしているのに対し、女性は10~40代で「楽天ペイ(オンライン決済)」が上位にランクインしており性別や世代で好む決済手段が異なることがわかった。
デジタルコンテンツを購入する際、最も利用する決済手段について尋ねたところ、10代男女ともに「クレジットカード決済」以外では「PayPay(オンライン決済)」「コンビニ決済」の根強い人気があることがわかった。
また、携帯電話料金とまとめて支払いができる「キャリア決済」が20代男性、30代女性、40代男女、50代男女から上位に選ばれており、デジタルコンテンツサイトとの親和性が高かった。また、女性は20代および60代以上で「楽天ペイ(オンライン決済)」が上位にランクインしており、物販と同様「楽天ペイ(オンライン決済)」の割合が高かった。
「PayPay(オンライン決済)」や「ID決済」が台頭
過去3回(2018年度、2020年度、2021年度)、最も利用する決済手段の調査を行った結果と比較したところ、物品とデジタルコンテンツどちらの購入時においても、2022年度には「クレジットカード決済」の割合が約60%と2021年度からさらに減少し、「PayPay(オンライン決済)」に次いで3位にApple PayやAmazon Payなどの「ID決済」が選ばれていた。
「ID決済」はクレジットカード番号や購入者情報などを入力する手間がなく、IDとパスワードの入力だけで素早く簡単に購入ができるため、年々人気が高まってきていると分析。また、デジタルコンテンツサイトでは「PayPay(オンライン決済)」以外に「楽天ペイ(オンライン決済)」「au PAY(ネット支払い)」が上位に選ばれており、特にQRコード決済サービスの利用意向が高かった。
使いたい決済手段に非対応、53%以上がサイト離脱
ECサイトで物品もしくはデジタルコンテンツを購入する際、よく利用する決済手段がない場合どうするか尋ねたところ、物品とデジタルコンテンツどちらの購入時においても、53%以上と過半数の人がそのECサイトでは購入せず離脱する傾向にあることがわかった。
これらの結果は、2018年度から引き続き同様の傾向が見られているため、豊富な決済手段を取り揃えることはECサイト運営における一つの重要な要素であると分析。ECサイトを運営する事業者は、「クレジットカード決済」を始め、「PayPay(オンライン決済)」「ID決済」などの消費者ニーズの高い決済手段を取り揃えておくことで消費者の購入率アップにつながるのではとしている。
コロナ後も高いEC利用意向
2021年と比べて2022年の1年間でECサイトでの購入頻度に変化はあったか尋ねたところ、物販サイトでは10代男女の51%以上が、デジタルコンテンツサイトでは10代男性の50%が「増えた」と回答し、特に10代で顕著にオンラインショッピングの頻度が増えていることがわかった。
全年代を通して「増えた」割合が「減った」割合を上回っており、2022年は外出自粛傾向の緩和の流れもあったが、引き続きオンラインショッピングを利用する意向は高いと分析している。
サマリー
調査結果にあるように、ECサイトでよく利用する決済手段は1位が「クレジットカード決済」(約60%)、2位が「PayPay(オンライン決済)」(約24%)となり、20~40代男性は「Yahoo!ウォレット決済」、10~40代女性は「楽天ペイ(オンライン決済)」の人気が他の世代と比較して高かった
またクレジットカード決済の割合は2021年度よりさらに減少し、代わりに「PayPay(オンライン決済)」や「ID決済」が台頭しており、よく利用する決済手段がない場合、53%以上の男女が購入せず離脱することがわかったさらに外出の自粛傾向が緩和されるも、引き続きオンラインショッピングの利用意向は高かった。
長らく現金主義が根付いてきた我が国の商慣習だが、コロナ前から官民あげて進められてきた、決済のデジタル化が一気に進んでいることが調査からも明らかとなったようだ。またコロナ後もEC利用意向が高いこともわかり、とかく「EC発展途上国」と言われてきた日本国内の状況も、消費者マインドという面で変化が進んでいることも浮き彫りとなったようだ。
[出典元URL]
https://www.sbpayment.jp/news/press/2023/20230329_001295/