中国が国を挙げてEC業界支援を提言 独身の日セールなどが背中押したか
中国国務院「ECは内需刺激と成長促進に寄与する」
ロイターによると、中国国務院がEC業界支援を提言するとの報道がなされた。電子商取引の業界が、内需刺激と成長促進に寄与するとして、政策で優先的に支援していくべきであるとの見解を示したとのこと。
国務院は電子商取引に関する特別な勧告は出さなかったが、断続的に出される見解は、産業に対する政策の方向性を示唆するものとして受け止められている。政策が実現に至れば、中国EC大手のアリババグループなどが恩恵を受けるようになる見通し。
先日行われた中国「独身の日」セールでのアリババ快進撃を弊誌でもご紹介したが、莫大な額が動くマーケットに国が目を付けたということになる。今回の提言の影には、この「独身の日」セールでアリババが見せた総取引額571億元(93億ドル)という数字が強力に背中を押したと見て間違いないだろう。
参考記事
・アリババ「独身の日」セール総取引額 前年比63%増の571億元(93億ドル)
http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=3796
また、アリババ傘下の海外向けECサイト「全球速売通(アリエクスプレス)」が、地球の裏側ブラジルで最大のECプラットフォームとなっていることが、ブラジル世論調査統計機関「IBOPE」の発表したデータより判明した。
このデータによれば、2014年第3四半期(7~9月)に「全球速売通(アリエクスプレス)」で行われた注文は1,100万件で、次位のブラジルEC大手B2Wヴァレジョの注文数720万件に大きく差を付け首位となっているとのこと。
IBOPEによると、ブラジルでの「独身の日」セールで「全球速売通(アリエクスプレス)」が受けたオーダーは、注文数の多かった上位30商品のうち28種類が化粧品や美容用具、婦人服、婦人かばんなど女性向けの商品であった。
さらに、中国の隣国である韓国のEC業界では、中国の膨大なEC利用者を取り組むべく、中国語ページを開設する韓国EC業者が続々登場していると、中国メディア人民網が報じている。
とある中国消費者向けの韓国ECサイトでは、オープン初日から数万人の訪問者があったといわれている。このサイトには韓国の商品1万店あまりにそれぞれ中国語による説明が記されており、中国語によるコミュニケーションやアフターサービスなどを行っているとのこと。
このように、中国国内だけでなく、アリババグループを筆頭にした中国EC企業がワールドワイドに旋風を巻き起こしている。
これら全てとは言わないが、国外での動きも今回の国務院による業界支援提言に至る後押し要因にカウントされているのではないだろうか。
拡大やまぬ中国ECの勢い
今回の政策による支援が実現すれば、アリババグループはさらに強力な企業へと成長していくだろう。アリババだけでなく、中国国内のEC業者の第二第三の「アリババグループ化」のような事態も出てくるのではないだろうか。巨額を動かす中国EC業者が増え力を付けていく過程で、世界の消費行動にどのような影響を及ぼしていくのか。伸び続ける勢いは、まだまだやまないようである。