ECサイトと基幹システムの関係とは?連携メリットから方法・注意点まで徹底解説
ECサイトが大きく成長するにつれ、注文処理や在庫管理などの基幹業務を担うシステムは不可欠な存在となります。しかし、そのシステムをバラバラに管理していては、逆に業務効率が下がる場合も。本記事では、ECサイトの基幹システムの連携について、その必要性やメリット、連携方法などを解説していきます。
基幹システムとは
基幹システムとは、その名の通り「経営の基幹」を担うシステムの総称で、企業の業務に欠かせない重要な業務を担うシステムを一元化したものです。具体的には、会計処理、人事管理、在庫管理、生産管理、販売管理などの業務に使用されるシステムを指します。
基幹システムと混同されがちな用語で「業務システム」があります。業務システムは「より細かな業務範囲で使われる」ものを指し、たとえそのシステムが故障してしまったとしても「会社の経営に直接的な影響がない」システムのことを言います。
もう一つ、基幹システムと混同されやすいシステムに「ERP」があります。ERPとは、Enterprise Resource Planning(経営資源計画)の略語で、経営に関するヒト・モノ・カネを一元管理するシステムのことです。
ECサイトに基幹システムの連携が必要な場合
ECサイトに基幹システムとの連携が必要な理由は、主に以下の3つが挙げられます。
取り扱う商品数が多い場合
多品目を扱うECの場合、商品数が多くなるほど商品登録やデータ更新にかかる作業工数が増えるため、これを手作業で行うと膨大な時間を費やすことになります。
終売品の情報がサイト上にそのまま残っていたり、価格や商品情報の入力内容が万が一誤っていたりする場合には、サイトの信用にも影響しかねません。
とくに、自社EC以外にもモール型のECサイトに複数出店している場合などは、ヒューマンエラーも起きやすくなります。基幹システムを入れて連携させておくことで、商品の出品や更新にかかる手間、作業量を大幅に削減し、ヒューマンエラーの軽減にもつながるでしょう。
リアルタイムの在庫反映が必要な場合
たとえば実店舗とECサイトで在庫を共有している場合、即時に在庫の反映がされなければ、欠品などの在庫不足トラブルにつながりかねません。
豊富な在庫量があったとしても、何かのきっかけで突然予想以上に売れてしまうことも考えられます。そうなったとき、実店舗とECサイトの在庫連携が適切に行われていれば、在庫によるトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
少人数で業務効率を図りたい場合
ECサイトには多くの業務があるため、少人数で運営している場合にも基幹システムの連携は重要になるでしょう。
少ない人数では一人ひとりが膨大な作業量を持っており、かつ手作業での管理となる場合、負担が大きくなることでヒューマンエラーの頻発や、重大なミスにつながる恐れも考えられます。そういった状況を改善し、適切な業務量にするためにも、基幹システムとの連携の必要性を考える必要がありそうです。
ECサイトと基幹システムを連携させるメリット
ECサイトと基幹システムの連携には多くのメリットがありますが、ここでは代表的な以下の3点について見ていきましょう。
ヒューマンエラーの軽減
先に少し述べましたが、基幹システムの連携の大きなメリットとしてヒューマンエラーの軽減が挙げられます。基幹システムと連携することで、商品情報、在庫の入力、受発注情報の一部を自動で取得することが可能になるため、データの入力や処理を手作業で行う必要がなくなり、結果として入力ミスの減少につながります。
ECサイトの品質向上
基幹システムの連携によって、商品情報の入力ミス軽減、また終売している商品の取り扱いなども見逃さないため、サイトの信頼度向上につながります。また、適切な在庫コントロールによって、欠品などの在庫トラブルを未然に防ぐことで、顧客の信頼獲得にもつながるでしょう。
さまざまな情報を分析可能
近年のECサイトのシステムは、さまざまな情報の取得ができるようになっており、そこに基幹システムを連携させることで、より詳細な顧客情報や商品購買データの分析などが可能になるでしょう。ECサイトを運営するうえで、データの分析は欠かせません。経営戦略を考えるためのヒントになる情報を得ることもできるのも、基幹システムの大きなメリットです。
ECサイトと基幹システムを連携させる方法
ここからはECサイトと基幹システムの具体的な連携方法について、解説していきます。ここでは以下の3つの方法をご紹介するので、自社に合った連携方法を選ぶようにしましょう。
API連携
API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェアやアプリケーションを連携させる際に使用されている技術です。APIを利用することで、アプリケーション間でのデータ共有や連携が可能になります。
API連携はリアルタイムでのデータ更新ができるため、在庫の反映、受注情報の取得などにタイムラグがありません。
ただし、基幹システムにAPI連携を導入することは難しいとされています。基幹システムは誰もがアクセスできるオープンなシステムではないため、基幹システム側がAPI連携を用意していない場合、自社で開発から構築まで進める必要があります。そのため、他の連携方法と比べると高額な開発費用がかかる傾向があります。
ファイル連携
基幹システムとの連携で一般的に使用される連携方法が、ファイル連携です。生成されたExcelやCSVなどのファイルを、通信プロトコル*を使用して転送する連携方法で、一度に大量のデータを連携できます。
標準的なファイルフォーマットを使用するため、システム間の相互運用性も高く、連携するシステムに変更が必要無いため、導入費用も安価に済む場合が多いでしょう。
ただし、リアルタイムでのデータ更新ができず、一定間隔でのアップロードになります。
*通信プロトコル…異なるデバイス、ソフトウェア、システム間において通信の際に使用される規格(TCP/IP、HTTP、FTP、SMTP、POP3など)のこと。
データベース連携
DB(データベース)連携は、相手側のデータベースに直接アクセスし、データを共有する方法です。データベースにさえアクセスできれば、基本的にはすべての情報を取得することが可能になります。
API連携と同じくリアルタイムでのデータ更新や取得が可能ですが、ECサイト側のセキュリティが制限されている場合もあるため、導入前にしっかりと確認しておく必要があります。
ECサイトと基幹システムを連携させる際の注意点
最後に、ECサイトと基幹システムを連携させる際に注意するべきポイントについて解説します。
連携させるデータの範囲や量・頻度を考える
ECサイトと基幹システムを連携する際、まずはどこまでのデータ範囲・量・頻度が必要なのかを考えます。ECサイトの場合は、商品データ・顧客データ・注文情報など多くのを取り扱いますが、業務の中でどのデータが必要なのかを洗い出し、必要なシステムを検討しましょう。
目的に応じた適切な連携方法を選ぶ
連携方法には、前述したとおり3つの方法があります。それぞれの手法に特徴があるため、基幹システムを利用する目的、業務内容のどの部分にシステムを組み込むのかによって、適した方法は変わります。
リアルタイムでデータを連携させたいのか、それとも全データを取り込む必要があるのかなど、まずは手法を考える前に、目的や状況を明確にすることがポイントとなります。
セキュリティ面を強化する
ECサイトは多くの個人情報を取り扱います。基幹システムを導入する際は、顧客情報や自社の機密情報などの重要な情報に対して、漏洩や不正アクセスが発生しないよう、セキュリティ面の強化に努めましょう。
機密情報や顧客情報が漏洩した場合には、企業の信用問題の失墜、また損害賠償を求められるケースも考えられるため、しっかりと対策を行うことが大切です。
システムエラーなどのトラブルに備える
万が一、基幹システムにトラブルが発生し業務がストップした場合に、システムが停止した際の業務をどのように対応するか、また責任の所在はどこにあるのかなどを明確にしておく必要があります。
まとめ
ECサイトと基幹システムの連携には、注意すべきポイントもありますが、それ以上に多くのメリットがあります。在庫や受注データなど、多くの情報を連携・リアルタイムで共有することによって、ECサイトの運営に大きく貢献するでしょう。それぞれの企業によって必要なデータ範囲や量、頻度が違うため、自社に合ったシステムの導入を検討していきましょう。