受注管理とは?システム導入でECサイト運営の効率化を図るポイント
顧客の注文から発送までを管理する「受注管理」。受注管理とはどのような業務を指すのか、具体的な業務内容や重要性について知りたい担当者もいるのではないだろうか。今回は受注業務の方法や役割に加え、受注業務の自動化を可能にする「受注管理システム」の概要やメリットなどを紹介する。システム導入時の具体的な確認ポイントも解説するので、自社の受注業務を見直し受注管理の効率化を目指そう。
目次
●受注管理とは、受注から出荷までの管理業務工程全般を指す
●受注管理の業務内容
●受注管理の方法と重要性
●受注管理を効率化する「受注管理システム」とは
●受注管理システムを導入するメリット
●受注管理システムを導入するデメリット
●受注管理システム導入で効率化を実現するポイント
●受注管理の課題を洗い出し受注管理の最適化を図ろう
受注管理とは、受注から出荷までの管理業務工程全般を指す
受注管理とは販売管理プロセスの1つで、ECサイトなどを通じて顧客から注文を受けた際に、出荷までの過程を管理する工程全般の業務を指す。特に、BtoBビジネスにおいては、新規取引をする際に見積書の提示や取引契約の締結も受注管理業務に含まれる場合がある。BtoCやBtoBなどのビジネス形態によって業務フローは異なるため、自社のサービスに合わせた対応を取り入れることが重要だ。
受注管理の業務内容
受注管理業務は複数の作業から成り立つため、効率化に向けては業務の内容とプロセスを理解しておきたい。ここでは、受注管理の一般的な業務プロセスを確認していこう。
1.注文書の確認・データ入力
顧客から注文を受けたら、注文内容の確認を行う。注文内容に応じてデータを入力するとともに、顧客に対しては「注文を確かに受け付けた」旨を記載した注文確認のメールを送信する。顧客との取引が初めてである場合は、顧客情報の登録や管理も必要だ。
2.商品の在庫確認
注文内容の確認後は、注文を受けた商品の在庫を確認する。在庫が十分にある場合は出荷準備に移行、在庫不足の場合は仕入先に商品の受注依頼を行う。受注生産の商品については、生産に必要な部品などを確認し、生産が可能かの判断をする。
3.納期の確認や顧客へ連絡
在庫確認の後、納期がいつになるのか顧客に連絡を行う。在庫が不足している場合、納期が予定よりも遅れるため、納期予定時期を連絡するなど丁寧な対応が求められる。
4.受注伝票の作成
納期の確認が取れたあとは、商品の注文を受けた証明として受注伝票を作成する。作成した受注伝票は、注文内容をもとに作成し自社で保管する。注文内容の保管方法は、会社によって異なり、データ入力や紙面で残すケースがある。
5.顧客向けの注文請書の作成
最後に、受注伝票をもとに顧客向けの注文請書を作成する。注文請書の作成は必須ではないが、取引上のトラブル防止に発行をおすすめする。
受注管理の方法と重要性
受注管理の方法には、「手書き」「エクセル」「受注管理システム」「受注管理アプリ」の4つ方法がある。取引が少ない事業者や、以前からの慣例にならって手書きの伝票やエクセルなどを使って受注管理を行なっている場合もあるだろう。しかし、アナログな方法で受注管理をする場合、次のような課題が生じることが想定される。
●各種イベントやセール時期などは、リソースが足りなくなる
●受注件数の増加で受注管理が煩雑となり、受注したものの発送まで至らなかった
●手書きやエクセルでは、転記ミスが生じやすい など
受注管理は、発注者である顧客と受注者をつなぐ重要な役割を担う。受注管理がうまく機能していない場合、自社の問題となるだけでなく、顧客に迷惑がかかり信用を失う可能性がある。リソースの安定化や手動によるミスなどを防ぐには、システム化の導入が最適といえるだろう。
受注管理を効率化する「受注管理システム」とは
従来の受注管理の課題を解決しながら、受注管理を効率化するには受注管理のシステム化を図ることがポイントだ。ここからは「受注管理システム」について詳しく紹介していく。
受注管理システムとは、受注管理を一元管理・自動化したもの
受注管理システムとは、「注文受付」や手書き伝票を使い行っていた「受注後の処理」などを自動化するシステムのことだ。自動化により、受注管理業務の効率化やコスト削減を実現する手段として、導入する企業が増えている。
ECサイトを通じて多店舗展開している場合、複数のショッピングモールやカートシステムからの受注を一元管理、自動処理できる点は魅力的な特徴の一つだ。
受注管理システムでできること
受注管理システムを導入することで可能となる、主な業務は次の通り。
●注文の受付・システムへの保存
●リアルタイムでの在庫確認
●注文書や見積書の発行
●顧客宛て確認メールの送信
●注文確定後の支払い管理
●他システムとの連携 など
受注管理システムには、受注業務をサポートする多様な機能が備わっているのが特徴だ。そのため、システムの導入で正確な受注対応が可能となるだろう。
受注管理システムを導入するメリット
ここからは、受注管理システムを導入することで得られるメリットについて詳しく見ていこう。
人的ミスやコスト削減
受注管理システムの導入によって、受注業務にかかる作業工数や人的ミスの削減が可能となる。システム導入で業務の効率化が進むと人的コストの削減へとつながり、より生産性を高めるようなコア業務に集中できるといったメリットもある。
システムを使ったデータ管理はペーパーレス化を実現でき、紙などの消耗品にかかるコストも不要となるだろう。
顧客満足度の向上
システム化によって、24時間いつでも注文の受付が可能となる。これは、商品の注文から手元に届けるまでの「リードタイム」の短縮につながり、顧客満足度の向上が期待できるだろう。
ECサイトでのショッピングでは、商品到着までのスピードや正確さが店舗評価に直結するといわれる。受注管理システムの導入で、即日対応・高品質な対応を強みとして打ち出せれば、競合との差別化も可能となるだろう。
販売経路拡大への柔軟性
複数チャネルの受注業務を一元管理できる受注管理システムは、販路拡大にも対応しやすい。売上向上の施策として販売チャネルを増やしたい場合、新たな業務負担を懸念する必要がないのは嬉しいメリットだ。
顧客情報が入った基幹システムと受注管理システムを連携し、データの一元管理ができれば、販売チャネルが増加しても顧客情報の共有がしやすくなるだろう。
受注管理システムを導入するデメリット
受注管理システムを検討する場合、導入によって発生する注意点についても把握しておきたい。受注管理システムの3つのデメリットを確認し、導入の際は対策を踏まえた検討を進めよう。
コストが発生する
受注管理システムを導入する場合、導入コストに加え、利用料やメンテナンス費用など、毎月の固定費がかかる。固定費は導入するシステムによって異なるが、1万円からが相場だろう。
導入を検討する際は、どれだけの費用対効果があるのかの検証が重要となる。検証時は、現状の受注管理にかかっている工数とともに、削減可能なコストと新たにかかるコストを比較し、費用対効果のシミュレーションを行おう。
導入のハードルが高い
アナログからデジタルへ移行するには、多大な労力を要することを理解しておこう。関係部署全員へのレクチャーコストはもちろん、新しい業務フローで業務がうまく回るのか、リスクを踏まえた検証が重要だ。従業員は新しいシステムの操作や手順に慣れるまで、ある程度の時間を要することも頭に入れておこう。
現状の業務をとめることなく、受注管理方法を変更するためには、従業員の協力が不可欠だ。最初は、導入部署を限定してスモールスタートで始めるなど、従業員の負担が増加しないような入念な準備と計画のもとで導入しよう。
顧客とのコミュニケーション機会が減る
受注管理システムを活用すると、顧客のメール対応も自動で行うことが可能だ。これにより、工数は削減できるものの、顧客とのコミュニケーション機会が減ることも理解しておきたい。
定期的にメール配信やDMでフォローアップするなど、自社の客層に適した方法で顧客と関係構築に取り組むことが大切だ。
受注管理システム導入で効率化を実現するポイント
受注管理システムにはさまざまな種類があるため、導入時にどのシステムを選べばよいのか悩む担当者もいるかもしれない。自社に適した受注管理システムを導入し、効率化を実現するために検討しておきたいポイントを見ておこう。
業務フローの見直し
受注管理システムを効果的に活用するには、自社の業務フローに合ったシステムを選択することが重要だ。扱う商品やサービスによって、受注管理の流れはさまざまなため、業務フローの見直しから対応しよう。
現状の業務に対する課題を洗い出し、導入目的を明確にすると必然的に必要な機能が明確になる。導入するシステムを検討する際は、「備わっている機能の確認」はもちろん、導入事例などを参考にして自社に最適なシステムを見極めていきたい。将来的に業務フローが変わることも想定して、導入後に機能の追加や変更が可能かどうかもチェックしておくと安心だ。
操作性
自社でシステムを有効的に活用しスムーズな移行を実現するためには、操作性のチェックは不可欠だ。どんなに機能が優れていても、システムを運用していく現場の従業員が使いにくいようでは、誤った操作方法でヒューマンエラーを引き起こす可能性もある。
サービス会社のサポート体制とともに、現場スタッフが簡単に操作できるか確認しよう。サービス会社によっては、無料トライアルを利用できるケースがあるため、積極的に活用し実際の操作性を体験するのもおすすめだ。スマートフォンやタブレット端末を使うケースが多い場合には、対応端末も合わせて確認しておくと導入後の混乱を防ぎやすくなるだろう。
ショッピングサイトやカートシステムへの対応
受注管理システムによって、対応している「ショッピングモール」や「カートシステム」は異なる。現在利用しているECサイトとの連携が可能かどうかも確認したいポイントだ。
今後、さらに販売チャネルを拡大していきたいと考えている場合は「どのショッピングサイトなら連携できるのか」を具体的に把握することが重要である。
他システムと連携
受注管理システムは、他のシステムと連携させることで活用の幅が広がり、より効率的なEC運営が可能となる。在庫管理システムなど、既に物流システムを利用している場合や、将来的にシステムを増やす予定がある場合は、連携可能かの確認を怠らないように注意したい。
なお、システム連携を希望する場合は、受注管理システムのサービス会社との綿密な打ち合わせが重要だ。システム構築時にトラブルが生じると、連携先のシステムに影響を及ぼし、手直しのために多大なコストや時間を要する可能性が考えられる。連携実績の有無を含めた信頼できるサービス会社を選定するなど、慎重な準備でトラブル回避を行おう。
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受注管理の課題を洗い出し受注管理の最適化を図ろう
受注から出荷までを管理する「受注管理」は、販売管理の中でも顧客の満足度を左右する重要な業務だ。アナログな方法を用いた受注管理で課題が生じている場合は、管理を自動化することのできる「受注管理システム」の検討もおすすめだ。現状における受注管理の課題を洗い出し、業務効率化実現に向け受注管理の最適化に取り組んでいこう。
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