中国アリババグループ運営「淘宝(タオバオ)」 高まる需要に海外版立ち上げへ

この記事のまとめ

・アリババが自社運営のオークションサイト「淘宝(タオバオ)」海外版立ち上げを発表
・他国でも、中国語ページ増設など中国人購買者を意識した動きが目立つ
・「今が最も危ない時期」と語る馬雲氏は…

複数言語で世界の消費者へと対応

中国のEC大手アリババ・グループ会長の馬雲(ジャック・マー)氏は、自社が運営するネットオークションサイト「淘宝(タオバオ)」の海外版を立ち上げる方針を発表した。同社は現在、国際卸しサイトである「全球速売通(アリエクスプレス)」を提供しているが、消費者向けの海外版サイトはないという。アリエクスプレスは、ブラジルで最大のECプラットフォームとなっていることでも知られている。
今回の海外版立ち上げでは、英語や中国語など複数の言語に対応し、世界の消費者の需要に答えていく見通し。

アリババが複数言語対応を方針とする一方、隣国の韓国企業の中には中国人購買者の勢いを追い風にするべく、自社ECサイトに中国語ページを追加する動きが続々と出ている。中国のネット上では、海外製品をEC購入するユーザーを「海淘族」と呼んでおり、中国語ページ増設の影には「海淘族」を獲得する狙いがあるとする。

国内外から言語対応をし合うような状況のアリババであるが、快調すぎる流れに対し「今が一番危ない時期だ」と馬雲氏は語る。人々は、急成長を続けるアリババに対し過度の期待を抱いているとし、安心から社員にハングリーさがなくなり、イノベーションが止まり、モバイル時代の好機を活かしきれなくなるリスクがある等のコメントをした。「落とし穴は頂点にある」とはビジネスの世界で良く言われる言葉だが、頂点を目指す道中にいても油断は禁物とする姿勢を見せる。

短期急成長でEC業界のトレンド化するアリババ

史上最大規模のIPOを二ヶ月前に実施したばかりのアリババであるが、11月11日「独身の日」セールで取引額記録を更新するなど、この短期間で急速に名前の露出頻度が上がった印象を受ける。「アリババ」が、EC業界が持つ先行きの明るさと景気の良さを象徴するワードであるようなイメージが広がりつつあるのではないだろうか。
誰しもが成功の連続を信じて疑わなくなってきている状況に、馬雲氏は警笛を鳴らす。今回の位タオバオ海外版立ち上げや、次々と新たな展開を見せるアリババの背景には「うまくいっているときこそ油断せずハングリーに」という会長の理念が後押ししているのかもしれない。