日本国内のEC市場規模は成長鈍化ながら440兆円超え 経産省が電子商取引に関する市場調査の最新版を公表

ECのミカタ編集部

経済産業省は、「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態等について調査し取りまとめ、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)、前年より増加傾向

経済産業省の調査によると、2022年(令和4年)の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、22.7兆円(前年20.7兆円、前々年19.3兆円、前年比9.91%増)に拡大した。日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模についても、420.2兆円(前年372.7兆円、前々年334.9兆円、前年比12.8%増)に増加する結果となった。

またEC化率(全ての商取引市場規模に対する、電子商取引市場規模の割合)は、BtoC-ECで9.13%(前年比0.35ポイント増)、BtoB-ECで37.5%(前年比1.9ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展していることがうかがえる。

BtoC-ECの市場規模及び各分野の特徴

・物販系分野
物販系分野のBtoC-EC市場規模の内訳は、「食品、飲料、酒類」(2兆7,505億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆5,528億円)、「衣類・服装雑貨等」(2兆5,499億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆3,541億円)の割合が大きく、これらの上位4カテゴリーが2兆円を超過するとともに、物販系分野の73%を占めている。

・サービス系分野
サービス系分野のBtoC-EC市場規模は、「旅行サービス」(2兆3,518億円)が大きな割合を占めている。令和4年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に落ち込んでいた旅行サービス、飲食サービス、チケット販売が外出需要の増加と共に大きく回復した。

・デジタル系分野
デジタル系分野全体では市場規模がマイナス6.1%となったが、その要因は「オンラインゲーム」(1兆3,097億円)だ。大きな割合を占めているオンラインゲームの市場規模が、前年比マイナス18.79%とかなり減っている。これはコロナ禍による外出需要の増加が考えられるだろう。

BtoB-ECのEC市場規模

BtoB-ECのEC市場規模

多くの業種で2022年のBtoBの商取引市場規模が拡大し、結果としてBtoB-EC市場規模も増加した。ここでは「情報通信」「卸売」に絞ってデータと経産省の考察を紹介する。

・情報通信
2022年の法人企業統計データでは、「情報通信業」 の総売上高は、2020年72兆2,944億円、2021年76兆7,172億円、2022年81兆7,344億円であった。売上高が増加する中、2022年のBtoB-EC市場規模は、18兆2,616億円(前年比9.4%増)、EC化率22.3%と増加した。全体の市場規模が増加した上、ECによる取引が拡大している様子がうかがえる。

・卸売
2022年の法人企業統計データでは、「卸売業」の総売上高は、2020年301兆91億円、2021年311兆3,656億円、2022年323兆6,540億円となり、2022年は前年比3.9%の増加となった。売上高の増加に伴ってBtoB-EC市場規模は112兆8,794億円(前年比12.2%増)、EC化率は34.9%と増加した。

卸売業においては、大手GMS、大手SM(スーパーマーケット、Super Market)を中心に、流通BMSに代表されるEDI標準化が進められている。同技術の導入が進んでいることが、EC化率が増加する要因となっていると推察される。

日米中3か国間における越境電子商取引の市場規模

2022年(令和4年)において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加。なお、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆2,569億円(前年比5.6%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆7,499億円(前年比6.7%増)であり、昨年に引き続き増加している。

越境電子商取引、日本国内のECの市場規模は昨年に引き続き拡大していることが分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく伸長したEC市場。今後外出機会の増加でどうEC市場が伸びていくのか来年の動向も追っていきたい。


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