2023年の日本郵便・佐川急便・ヤマト運輸の宅配取扱個数 データと各社の動きから見る物流の2024年問題への動き

ECのミカタ編集部

国土交通省では毎年、宅配便取扱実績を発表している。ECのミカタでは、昨年度の結果と現状の宅配取扱実績について、日本郵便、佐川急便、ヤマト運輸を中心にまとめた。EC事業の発展要素のひとつ「物流」の現状を取扱個数、物流の2024年問題と合わせて追っていこう。

2022年度 宅配便・メール便取扱実績

国土交通省は2023年8月25日に、2022年度の宅配便等取扱個数を公表している。調査によれば、宅配便は50億600万個(前年49億5300万個)、メール便は40億3200万個(前年42億8700万個)という結果になっていた。

出典元:国土交通省 令和4年度宅配便等取扱実績関係資料

また、宅配便(トラック)取扱事業者別に見るとヤマト運輸の宅急便が23億3971万個、佐川急便の飛脚宅急便が13億5990万個、日本郵便のゆうパックが9億8031万個と続いている。

メール便の取扱冊数に関しては、日本郵便のゆうメールが31億1290万冊、ヤマト運輸のクロネコDM便が8億52万冊、ポストウェイのポストウェイメール便が8565万冊と日本郵便とヤマト運輸がメール便の9割を占めることが分かっている。

2023年10月までの各社取扱個数実績

国土交通省の調査結果を受けて、ECのミカタでは2023年10月までの各社宅急便・メール便の取扱個数実績をまとめた。

日本郵便
日本郵便は、前年度77.2%を占めているゆうメールが圧倒的に取扱冊数が多いことが分かる。日本郵便内での大きな動きとしては、ヤマト運輸との協業で2023年10月から「ゆうパケット」が「クロネコゆうパケット」に順次取り扱われること、2024年2月から「ゆうメール」がヤマト運輸で「クロネコゆうメール」として取扱が開始されることだろう。

また、薄くて小さいものを送るのに適した「ゆうパケットポストmini」がメルカリ、楽天ラクマ、Yahoo!フリマ、Yahoo!オークションと対応モールが拡大しており、取扱個数にどう影響するか気になるところだ(※1)。

佐川急便
佐川急便は、前年度宅配便(トラック)取扱個数2位の実績が大きい中、1億1000万円前後で毎月推移している。佐川急便の大きな動きとしては、貨物鉄道輸送サービス「飛脚JR貨物コンテナ便」の開始を2023年2月1日に発表。また同年7月3日に発表された、グループ会社である佐川グローバルロジスティクスが開設し、大口からEC向け小口貨物まで取り扱う冷凍冷蔵倉庫「Cold Logi船橋」の存在も大きいだろう。

さらに日本郵便との協業で10月23日から佐川急便で不在持ち帰りとなった荷物を郵便局の窓口で受け取れるサービスを開始している(※2)。

ヤマト運輸
ヤマト運輸は前年度に宅配便(トラック)、クロネコDM便ともに取扱個数の上位を占めていただけあり、多少の上下はあるものの一定で推移している。

ヤマト運輸の動きとしては、2月から「Slack」「Microsoft Teams」と連携し、宅急便の発送手続きが可能になったことや10月1日から「ネコポス」が順次終了し「クロネコゆうパケット」として提供開始したことがある。協業によって、日本郵便の「ゆうパケット」取扱個数の流入が期待されるため、今後数値として現れてくるだろう。

※1出典元:ゆうパケットポスト・ゆうパケットポストmini
※2関連記事:10月23日より! 佐川急便で不在持ち帰りとなった荷物の「郵便局受取」開始

取扱個数が増加する一方で、無視できない物流の2024年問題

国土交通省の取扱個数データや一定数で推移する本年のデータを見ても、取扱個数は年々増加傾向にある。その一方で問題となるのが、人手不足と働き方改革関連法に基づいた時間外労働の上限規制の適用だ。

人手不足はどの業界でも起こっていることだが、有効求人倍率は全職業平均より約2倍高い2.14と過去最高ではないものの、年々増加傾向にある。あわせて就業者の高齢化も深刻で、40歳〜54歳の中年層が44.7%と半数を占めており、15歳〜29歳の若年層は10%程度にとどまっている(※3)。

そんな現状の中、2024年4月から自動車の運転業務の時間外労働について、年960時間(休日労働含まず)の上限規制が適用される。これにより対応を行わなかった場合、2024年度には輸送能力が約14%(4億トン相当)不足する可能性が示唆されているのが「物流の2024年問題」だ。

物流の2024年問題に関しては、国をあげて取組を進めているところだが、トラックドライバーの長時間労働要因のひとつ「発着荷主の積卸し場所での長時間の荷待ち時間・荷役時間」に関しては、EC事業者も気にかけておかなければいけないひとつの問題ではないだろうか。

※3出典元:2024年問題に向けた取り組み等について

変更履歴:本文を一部変更いたしました。(2023年11月22日 14:26)


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