ZenGroup、全世界での日本の越境EC取引額を20%目指す!新たな越境ECサービス「ZenLink」提供

新井勇貴

ZenGroup株式会社(以下:ZenGroup)は2023年11月15日、越境ECにおける新サービスの記者発表会を大阪にて開催。また、メルカリ株式会社(以下:メルカリ)による越境ECに関する企業セミナーも実施された。

既存ECサイトを利用した越境販売が実現

ZenGroupは11月20日より、新たな越境EC対応化サービス「ZenLink」の提供を開始する。主な特徴は以下の通りとなる。

◆国内同様の注文フローで海外販売可能
海外顧客がサイトにアクセスした際、サイト上に19言語から選択できる専用バナーを表示する

◆幅広い決済方法
クレジットカード、PayPal、銀行振込、暗号通貨、コンビニ払いなど100種類におよぶ決済に対応

◆一括サポート
海外ユーザーからの問い合わせ、注文、決済、発送対応などはZenLinkが対応する

◆無料で提供するダッシュボード
ダッシュボードにて、海外販売実績、購入実績詳細を確認できる

「ZenLink」導入にあたっての初期費用、月額料金などは無料で、事業者は販売手数料の10%を負担するだけで利用可能となる。ZenGroupCEOであるスロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ氏はこの点について、「販売する事業者の業績が伸長してこそ意味がある。この料金体制は、越境EC事業の成功まで徹底的にサポートする意思表示である」と説明。幅広い事業者と国々を対象に、今後1年間で「ZenLink」の導入について1000社を目指すとした。

海外進出への課題を解決する

また今回、市場の多様化に伴い求められるニーズも複雑化する状況において、越境ECポータルサイトとして「ZenOne」をオープンした。

その経緯については「国内事業者の海外展開にはECサイトの整備だけではなく、『プロモーション』や『法規制』、『商習慣』といったさまざまな課題が存在する。これらの課題を解決する手段として立ち上げた」とスロヴェイ氏は話す

「ZenOne」は海外向け購入代行サービス「ZenMarket」、海外向けサブスクリプションボックス「ZenPop」、越境ECモール「ZenPlus」、海外向けプロモーション支援サービス「ZenPromo」、そして「ZenLink」など個別のソリューションをパッケージとして提供し、総合的なサポートが可能となるシステムだ。

スロヴェイ氏は「大阪はものづくりが盛んな街ということもあり、そういった中小企業を支援することも視野に入れている。また、2025年大阪万博のインバウンド需要も取り込み、帰国後にもECを通じて日本製品を購入してもらえれば」と述べ、今後は他社品転送サービスや送り状作成サービスなど、さらなる機能拡充を図る予定だと締めくくった。

過去10年でエンタメ関連人気が急増

会見後、メルカリのビジネスグロースディレクター石川佑氏による企業セミナーも開催。

メルカリでは過去10年間において、以下のように国内におけるトップカテゴリが変化しているという。

◆2014年:レディース、メンズファッション
◆2023年:エンタメ・ホビー系(ポケモンカードなど)


近年、マスマーケティングを続ける中で幅広い世代にメルカリサービスが浸透。さらにコロナ禍によってエンタメ、ゲームカテゴリーといった在宅需要が伸長したことが要因であるという。

石川氏は「エンタメ関連は越境ECとシナジーが高い。メルカリはものを集めることが得意な企業であるため、トレンドと親和性が高い商材による効率的な越境販売が実現する」と述べる。

メルカリはこれまで越境事業者50社とパートナーシップを結び、幅広い国へ市場へとリーチを広げている。加えて、2023年11月1日には中国CtoCマーケットプレイス大手の閑魚(Xianyu)との連携も開始したと話した石川氏は、「まだまだ発展途上だが、今後チャレンジを強化することで越境EC事業を数千億、数兆円まで引き伸ばしていきたい」とした。

世界の越境EC取引額の20%を日本に

本会見にてスロヴェイ氏は、「日本の越境EC販売額は現在5%にとどまる。世界に目を向けると中国が21%、米国が15%となっており、日本はまだまだ伸長の余地がある」とし、こうした状況を背景にZenGroupが今後、多くの事業者と協力しながら日本の越境ECの販売額を20%まで伸長させる目標を立てていると意欲を見せていた。

事業者にとって利便性の高いサービスが充実するに伴い、今後越境EC市場はますます拡大することが見込まれる。エンタメ系を筆頭に日本製品は海外での需要が高く、今後数々の商品が世界へと広がっていくだろう。「ZenLink」、「ZenOne」をはじめとする越境ECサービスの今後に注目だ。