越境ECヒットランキング2023、BEENOSが発表! 好調な裏で起こる越境EC市場の大きな課題とは

宮地彩花【MIKATA編集部】

BEENOS株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:直井聖太)は「BEENOS 越境EC ヒットランキング2023年発表会」を開催した。本発表会では、越境EC市場の動向や2023年の消費傾向がランキング形式で発表された。

越境ECヒットランキング2023発表

2023年12月5日、日本企業の越境ECをサポートする海外向け購入サポートサービス「Buyee(バイイー)」などを展開するBEENOS株式会社(以下、同社)にて「越境ECヒットランキング2023発表会」を開催した。

同社は2008年より越境EC事業を展開しており、2012年12月に「Buyee」をオープン。2023年10月には、同社グループによる越境EC支援実績が累計5000件を超えたという。またグローバル会員数も2023年6月に478万人を突破するなど、海外ユーザーの利便性を追求したサービス改善で支援件数と会員数の拡大を行っている。

今回の越境ECヒットランキング2023とは、「東アジア」「東南アジア」「中東」「北米」「中南米」「ヨーロッパ」の6つのエリアに分けて、2023年1月から9月までのBuyeeの購買データから2023年の消費動向をまとめたもの。Buyeeでは通年、アニメや国内のファッションブランドなどの日本コンテンツや、中古ブランド品やカメラ用品などの高性能で高品質な商品が人気を集めている。

越境ECで人気のジャンル(一部)

2023年は「世界総オタク化消費」

2023年のBEENOS 越境ECランキング2023 カテゴリー別ランキングでは「おもちゃ・ホビー・グッズ」「音楽」「ファッション」が上位にあがった。伸長カテゴリランキングでは「タレントグッズ」「おもちゃ・ホビー・グッズ」「ファッション」が上がり、趣味性の強い商品が人気だったという。

2022年以来の円安傾向が後押しとなり、幅広い世代が購入しやすくなったことで、2023年は若年層の利用者が増加。また、女性の購買も多かったとしている。元々人気だったアニメコンテンツやホビー、ガジェットなど「オタク」の趣味に応える商品が日本の越境EC市場を支えているようだ。同社ではこの消費動向を「世界総オタク化消費」と表現。

Z世代においては、SNS等を通じ、情報やトレンドが国境だけではなく時代を越えて共有され、消費される「タイムマシン購買」傾向が表れた。代表的なものとしては、2000年代に人気を集めた「コンパクトデジタルカメラ」。レトロさが若者に人気を集めており、購入世代の56%が20代だ。昨年と比べ3.8倍に伸長する結果となっていた。

注目カテゴリー商品

越境EC市場の変化と急激な拡大で、物流に課題も

約17年に渡り、EC事業に携わってきた同社の代表取締役執行役員社長 兼 グループCEO 直井聖太氏(以下、直井氏)は、2023年の越境ECの特徴のひとつとして中華系ECプレイヤーの出現をあげている。

「中華系ECプレイヤーに代表される『SHEIN、Temu、TikTokShop』3社の2023年流通取引総額目標は、670億~680億ドルと流通を急速に拡大しています。これは2021年の世界の越境EC市場規模の約10分の1に値する数字です。越境EC事業に取り組む方々には、この現状を認識しておいてほしいと思っています」(直井氏)。

BEENOS株式会社 代表取締役執行役員社長 兼 グループCEO 直井聖太氏

好きなブランドやアーティストなど特色あるニーズに応える越境EC市場から、日常使いできる商品を中国から安く購入する方向へ大きく変化した2023年の越境EC市場。中華系ECプレイヤーの出現で最も影響が出るのは物流だという。

「物流においては、コロナ禍に入ってから旅客機や船の運航制限により、海外に物を運ぶ際には枠の取り合いが現象として生まれていました。ただこの現象はコロナ禍が収束した今でもあまり変わっていません。それは、先程の中華系ECプレイヤーたちが膨大な流通に対応するため、中国国外倉庫や各国の船会社との提携を行っており、数少ない物流の枠を彼らが抑えにきているからです。これは将来的に中国からの物流が各国からの物流になる可能性を示唆しています」(直井氏)。

円安の影響により、インバウンド需要の増加や購入層の拡大など越境EC事業者にとっては、追い風の影響が強いように見えたが「物流の枠の取り合い」については今後大きな課題となりそうだ。