楽天決算 5年連続赤字もネット通販や金融事業好調で売上は過去最高 株価は急騰

三浦真弓【MIKATA編集部】

楽天グループ株式会社が2024年2月14日に2023年12月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。2023年1月から12月までの決算は楽天市場や楽天トラベルなどネット通販事業や金融事業が好調で売上は2兆713億円と前の年と比べて7.8%増え、過去最高となったという。ただし最終損益は3394億円の赤字(前の期は3772億円の赤字)で、5年連続の赤字となった。

5年連続赤字でも携帯事業での損失縮小で株価は急騰

楽天グループの2023年1月から12月までの決算は、楽天市場や楽天トラベルなどネット通販事業や金融事業が好調で、売り上げは2兆713億円と前の年と比べて7.8%増え、過去最高となった。一方で、携帯電話事業の設備投資が前期同様に響き、最終損益は3394億円の赤字(前の期は3772億円の赤字)。こうした背景を受け、財務基盤の安定を優先して23年ぶりに、当期の配当は行わない「無配」も発表している。

しかしそれでも、楽天グループの株価は749円(2月20日終値)と、2月14日比で19%高にまで急騰している。日経平均株価はこのところ値上がりしており(2月22日の終値で39,098円68銭で、バブル絶頂期の1989年12月29日の史上最高値・38,915円87銭を34年ぶりに更新)、その中でも日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2月9日~2月16日)首位となったほどの好調ぶりだ。これは携帯事業での損失額の縮小、赤字幅の削減が高く評価されたことが大きい。

三木谷浩史社長は「今年以降は、やはりもう一度成長フェーズに入っていく。いわゆる一般ユーザーの利用者数の増加と法人の強化によって黒字化させ、国内ナンバー1携帯キャリアへという道筋を作るフェーズと思っている」と話した。携帯事業の2023年度の売上収益は3,646億円(前年比3.9%増)で増収となりつつも契約あたりの月間平均収入を示すARPUは1986円と前四半期に比べて60円低下。これは個人向けより単価が安い法人契約が増加していることが関係しているためで、今後は契約数は800万~1000万件、ARPUは2500~3000円を目指すとしている。

国内EC流通総額6兆円越え、楽天トラベルも2019年度対比で42.7%増

なお全体としては、「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントにおいて前年比で増収となり、通期連結売上収益は2兆713億円(前年比7.8%増)と、27期連続の成長を実現したことが強調された。

特にインターネットサービスセグメントにおける2023年度の売上収益は1兆2,123億円(前年比9.8%増)。国内ECにおける2023年度の流通総額(※1)は6.0兆円(前年比6.9%増)に到達したという。また、「楽天トラベル」は国内宿泊流通総額(※2)がコロナ拡大以前の2019年対比で42.7%増。

また広告事業売上高も好調で2023年度の売上収益は2,065億円(前年比12.9%増)で2桁成長。目標としていた売上収益2,000億円を達成している。

さらに海外事業ではデジタルコンテンツを中心に顧客基盤を着実に拡大しており、「Rakuten TV」の総ユーザー数は9,390万人(前年比42.8%増)、「Rakuten Viki」の総登録者数は8,250万人(前年比23.4%増)に到達したという。

カードも証券もペイメントも増収でさらなる成長へ

フィンテックセグメントにおける2023年度の売上収益は7,252億円(前年比11.2%増)、Non-GAAP営業利益は1,229億円(前年比36.8%増)で増収増益を達成している。

「楽天カード」はコロナ禍以降のキャッシュレス化の波もあり2023年12月末に発行枚数が3,007万枚(前年比7.1%増)となり、中期計画「トリプル3」の指標の一つである3,000万枚を達成。ショッピング取扱高は年間で21.1兆円(前年比16.4%増)となり、中期計画であるショッピング取扱高30兆円、取扱高シェア30%が見えてきている。

「楽天証券」は総合証券口座数が2023年12月末時点で1,020万口座(前年比18.1%増)になっており、「楽天銀行」の単体口座数は1,500万口座(2月11日時点)になった。

また「楽天ペイメント」における2023年度の売上収益は750億円(前年比35.7%増)。「楽天ペイ」や「楽天キャッシュ」における利用者の増加や、利用可能な加盟店およびシーンの拡大に伴う取扱高の伸長により増収となっている。

なお最後に、三木谷社長は「楽天新春カンファレンス2024」で「AIエンパワーメントカンパニー」に進化することを表明したが、決算においてもその旨は強調された。2024年も2カ月が過ぎたが、EC事業者としては「AI」がどのように店舗運営に関わってくるのか、注視しておいたほうがよさそうだ。

※1:国内EC流通総額(一部の非課税ビジネスを除き、消費税込み)=市場、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ブックスネットワーク、Kobo(国内)、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、Rakuten24 などの日用品直販、Car、ラクマ、Rebates、楽天西友ネットスーパー、楽天チケット、クロスボーダートレーディングなどの流通額の合計。
※2:法人を除く。


※画像出典元:楽天グループ株式会社