国民生活センターが水辺でのレジャー商品へ注意喚起 アームリング付き浮き具による子どもの溺水事故が発生

ECのミカタ編集部

アームリング付き浮き具による子どもの溺水事故が発生!-浮き具をつけても安心しないで- 画像元:独立行政法人国民生活センター

独立行政法人国民生活センター(以下:国民生活センター)は2024年5月22日、子どもの水辺での遊戯用補助具として使用される、左右のアームリングと胸部の浮き具が一体となった浮き具(以下:アームリング付き浮き具)に関する溺水事故に関する注意喚起を実施した。

アームリング付き浮き具着用中での事故

2023年12月に国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」に、アームリング付き浮き具(以下図参照)を着用中に子どもが溺水したとの情報が寄せられた。当該商品は、浮力体が胸にくるように着用する想定のものであったが、事故当時は浮力体が背中側にくるように着用していたという。

当該商品を逆向きに着用すると、水面で仰向けになりにくい傾向がある上に、一度うつ伏せになると元の姿勢に戻りづらくなることが考えられる。また、当該商品では身体に対して浮力体が前後どちらの向きでも着用できてしまう構造のものであった。

当該商品と同様の構造を持つ商品であれば、類似の事故が発生することが考えられるとして、今回アームリング付き浮き具の調査等を実施(※1)、消費者に注意喚起することになった。

◆事故当該商品と同様の構造のアームリング付き浮き具(イメージ)

※画像元:アームリング付き浮き具による子どもの溺水事故が発生!(独立行政法人国民生活センター)
※1:調査期間
◆検体購入:2024年2月
◆調査期間:2024年1月~4月

浮力体の位置によってうつ伏せ、仰向けが変わる可能性

公益財団法人日本ライフセービング協会の協力を得て、アームリング付き浮き具を異なる条件で着用させたダミー人形(幼児:2歳児想定、体重10kg)を用い、子どもが水の中に入った場合を想定した簡易実験を実施。

浮力体が胸側にある状態(以下図左側)場合、仰向けで浮かぶ場合もあるが、必ず仰向けになるわけではなく、うつ伏せになることもあったという。うつ伏せになった場合、自然に仰向けになることはなく、顔を水面上に出すためには自発的に身体をひねる又は立位の状態になる必要がある。

一方、浮力体が背中側にある状態(以下図右側)で入水させた時の挙動を調べたところ、浮力体が水面上に浮かび上がることで、うつ伏せになりやすい傾向があると考えられた。この場合、背中の浮力体を水中に沈める力が必要になるため、反転することは困難となるだろう。

◆浮力体の向きによる着用イメージ

※画像元:アームリング付き浮き具による子どもの溺水事故が発生!(独立行政法人国民生活センター)

EC事業者に対する協力も明記される

本調査を経て、国民生活センターは消費者へ以下注意喚起を実施した。

◆アームリング付き浮き具はライフジャケットとは異なり、命を守るためのものではないことを理解した上で正しく使いましょう。
◆水遊びの際は必ず保護者(監督者)も子どもと一緒に水に入り、万が一の場合に備え、すぐに手を差し伸べられるように寄り添いましょう。
◆アームリング付き浮き具は、着用の向きやベルト等の緩みによって溺水の危険が高まります。命にかかわりますので、必ず正しい向きを確認し、浮力体が身体に密着するように正しく着用しましょう。
◆アームリング付き浮き具は、海や川などの自然領域での使用には適しません。海や川などの自然領域では、子どもの身体に適したサイズのライフジャケットを正しく着用しましょう。


またEC事業者に対しても「アームリング付き浮き具の溺水事故を防止するため、商品情報に正しい使い方を記載するとともに、購入者に対し、注意喚起や啓発を行う等の協力を依頼します」と加える。

気温が上がるにつれて川遊びやプールといったレジャーが盛んになる。EC業界でも水遊びに関連するグッズ需要が増加するだろう。各事業者は今回の内容を理解し、顧客へアナウンスする姿勢が求められる。大きな事故に繋がる可能性もあるため、十分な注意喚起が必要だ。


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