なりすまし偽広告に関する調査、Google・LINEヤフー・Metaに実施 経済産業省
経済産業省は、デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、著名人・有名企業等になりすまし偽広告への対応についてプラットフォーム事業者に対する聞き取りを実施。2024年6月28日、その結果を踏まえた取組状況の評価を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
なりすまし型偽広告を通じた投資詐欺被害が拡大
昨今の投資環境の変化等を背景に、SNSやインターネット検索サービス、インターネットメディア等に表示されるデジタル広告において、著名人の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスに勧誘等を図る広告(以下:なりすまし型偽広告)が流通・拡散。こうした広告を端緒とする、SNS型投資詐欺の被害が急速に拡大している。
経済産業省としては、デジタルプラットフォーム取引透明化法(以下:透明化法)に基づき、正当な広告主がなりすまし被害に遭い、広告掲載取引上の不利益を受けることを防止する観点から、同法の規制対象事業者である、Google LLC(以下:Google)、LINEヤフー株式会社(以下:LINEヤフー)、Meta Platforms, Inc.(以下:Meta)の3社に、なりすまし型偽広告に対する取組状況について聞き取りを実施するに至った。
アカウントの本人確認強化などが確認
今回はデジタル広告が掲載されるまでのプロセスに着目し、以下3点に関する聞き取り、各社の取組状況の評価が実施された
◆広告主アカウント作成時の審査(本人確認)
◆広告出稿時の事前審査
◆事前審査通過後の出稿内容変更・差替時の審査
主な評価内容は以下の通りだ。
◆アカウントの本人確認強化
▷なりすまし型偽広告等を抑制するためには、悪意のある出稿者にアカウントを付与しないよう、アカウントの本人確認を強化することが有効。
▷各社とも広告主の本人確認の仕組みはあるが、そのタイミングや本人確認を求める対象範囲に違いがある。
◆広告審査の強化
▷当初出稿時または内容変更時に、機械や人の目により審査を行うことに加え、新たな手口の悪質広告を踏まえ、審査手法をアップデートすることは有効なアプローチと考えられる。
▷なりすまし型偽広告等への対応には、日本語ないし日本文化上の文脈を踏まえた判断が必要。
Metaに苦情を申し立てたものの回復に至っていない
事務局が実施したなりすまし被害を受けた広告主への聞き取りにおいて、とりわけMetaについてはなりすまし広告の発生に伴い正規の広告主の広告アカウントが停止、Metaに苦情を申し立てたものの回復に至っていないとの声にも複数接しているという。
こうした状況から、正規の広告主からの異議や苦情の申立てに対する問題解決のプロセスも適切に機能させる必要がある。今後、Metaには昨年度の大臣評価を踏まえた対応が求められるだろう。
なりすまし型偽広告への各社の対応については、本年度の「デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合」の中で取り上げ、同会合の意見とりまとめを踏まえた「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価」(経済産業大臣評価)において各社に対する改善要請を行う予定としている。
今後の監視と改善要請を通じた変化、詐欺被害件数の減少が望まれる。引き続き「なりすまし型偽広告」の動向を追っていきたい。