ECモールの扇風機市場規模、2023年と2024年での違いは? Nint調査
国内大手ECモールの市場動向データ分析ツール「Nint ECommerce」を提供する株式会社Nint(以下:Nint)は2024年7月29日、ECモールの扇風機市場について調査した結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査期間:2024年4~6月
◆調査対象:Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング
◆調査方法:扇風機商品を主な分析対象として、各ECモールの売上、販売数量、平均単価について前年同期間と比較。Nint ECommerceを用い、各ECモールから抽出した売上、販売数量、平均単価の推計データを使用。
◆出典元:ECモールの扇風機市場規模は1.54倍で急速に拡大(株式会社Nint)
扇風機の販売数量は前年比1.65倍に伸長
2024年4~6月の3大ECモールの扇風機ジャンルの売上は前年比1.54倍、販売数量も前年比1.65倍に増加した。
平均単価はわずかに減少したが、販売数量の増加がカバーする形となり、全体として好調に推移。特定のモールの成長率が非常に高く、該当期間の市場をけん引した。売上増加率と販売数量増加率、平均単価の減少から判断すると、市場では「平均単価以下or低単価商品」の構成比が増加したと考えられるだろう。
2024年は高価格帯製品が増加
昨年と本年のTOP10商品については以下の通りで推移している。
◆2023年の特徴
▷伝統的なブランドの製品が多くランクイン
▷価格が手頃なエントリーモデルが人気
▷省エネモデルの注目
◆2024年の特徴
▷新しい技術を採用した高価格帯の製品が増加
▷スマート家電としての機能を持つ製品が新たにランクイン
▷デザイン性に優れた製品が人気
◆2023年、2024年共通の特徴
▷高機能で静音設計の製品が多く、ユーザーの快適さを重視
▷スマート家電としての機能を持つ製品が増加
▷エネルギー効率の高い製品が人気
特に2024年は「WiFi音声制御対応」「強力送風で静音設計」「ハンディファン 5way(※1)」といった商品に人気が集まる傾向が強くなった。
※1:首掛け、卓上、ハンディ、スマホスタンド、スタンドとして使用可
低価格と高単価商品の二極化が進む可能性
気温の高い日が多いことや、電気代の上昇などの影響で扇風機需要が高まった。
消費者は涼しさに加え、静音性やスマート機能を重視するようになったことから、高機能でデザイン性の高い製品が好まれている。こうした傾向から、引き続きWiFiや音声制御対応のスマート扇風機が「単価対策」として登場することが予想されるだろう。
また、ネックファンやハンディファンのような製品も、スマート家電化や充電機能の追加などで市場を拡大することが見込まれる。市場平均単価の減少傾向を踏まえると、低価格商品と高単価商品の二極化が進むのではないだろうか。
消費者ニーズに応じた戦略を展開することで、さらなる売上拡大が実現するはずだ。本格化する夏商戦に向け、本調査内容を参考に施策を検討してほしい。