LINEギフト、事業目標は前年比130%以上の成長継続 アプリ内でショッピング強化も
LINEを通じてさまざまなプレゼントを贈ることができる「LINEギフト」。LINEヤフー株式会社が提供する同サービスは、2024年の「母の日」当日(5月12日)の流通額が前年比約160%(※1)、同じく「父の日」当日(6月16日)の流通額が前年比168%(※2)を記録するなど、多くのユーザーを獲得している。カジュアルギフト(誕生日祝い、クリスマスなど)とフォーマルギフト(お中元やお歳暮など)を事業領域とする「LINEギフト」は、どのような施策によって成長を維持しているのか。2024年8月20日に行われた事業説明会では、同サービスの歩みや取り組み、出店ショップの活用事例、そして今後の展望が語られた。
※1:2023年5月14日と2024年5月12日の当日流通額比
※2:2023年6月18日と2024年6月16日の当日流通額比。2024年6月17日時点の集計データ
※下記、記事内の図版は「LINEギフト 事業説明会」資料より
シーズナルイベントが成長を牽引。「当日」流通額の伸び
8月20日の事業説明会には、LINEヤフー株式会社 執行役員ソーシャルコマース統括本部長の嘉戸彩乃氏が登壇。まず、11兆円超と予測される2024年の国内ギフト市場(同説明会資料より)を説明した後、LINEギフトの累計ユーザー数が3500万人を突破(※3)したこと、また2023年度の年間流通額は前年度比で+29%、2024年度第一四半期も前年同期比で+42%と成長していることなどを報告した。
続いて利用者の傾向や利用シーン、イベント当日に流通額が伸びるというLINEギフトの特徴を説明。「シーズナルイベントとして、バレンタインデー、ホワイトデー、母の日、父の日、クリスマスという5大イベントがあり、これが売上成長を牽引しています。LINEギフトはイベントの当日に伸びるというのが最大の特徴です。ECモールでギフトを買うときには、3~4営業日前に注文して配達してもらってということがありますが、LINEギフトでは当日に“気持ち”を届けて、(贈り物が)後から届くのでも構わないというかたちになっているので、当日にめちゃくちゃ伸びています。母の日、父の日は毎年日付が違うこともあり、うっかりしていたけれど“気持ちは届けたい”という方の事情をうまく捉えられたのかなというふうに思っています」(嘉戸氏)。
「相手ありき」の機能と活用事例
続いて、嘉戸氏はLINEギフトの機能と仕掛けを説明。もらった人が色や香りを選べる機能や、相手の名前を刻印できる機能を紹介した。「LINEギフトは『相手ありき』、相手がいるということを非常に大事にしています。贈る相手の好みがわからなくても、“はずさないギフト”をどうしたら贈れるのか、買えるのかを、突き詰めて機能開発をしています」(嘉戸氏)。こうしたLINEギフトの特徴を活かして売上を伸ばしているショップの活用事例があげられ、その中から株式会社シュゼットと株式会社ヤッホーブルーイングの担当者が登壇。ヤッホーブルーイングのYES!通販団星組(EC事業ユニット)ユニットディレクター 植野浩樹氏はLINEギフトでの取り組みについて次のように語った。
「クラフトビールは(ビールの中でも)まだまだニッチな市場なので、我々が広めていくだけでなく、ファンの方にお勧めしていただいたりギフトで贈っていただくことで、『こんなビールがあるんだ』と知っていただく活動をとても大切にしています。LINEギフトでは、我々のビールを飲んでくださっている方が、飲んだことのない人に贈るということがあるので、それがファンコミュニティ、ファンを増やしていくことにすごくつながっていると実感しています」(植野氏)。
今後はLINEアプリ内でショッピングを強化
説明会の最後のパートとして、嘉戸氏はLINEギフトの今後の取り組みを紹介。注力テーマとして下記の3つをあげたうえで、流通額として今後5年間で前年比130%以上の成長を継続していくこと、ユーザーの購買層を広げて利用者数・利用回数・単価の観点でさらに上げていきたいと事業目標を明かした。
今後の注力テーマ
①商品…普段使いからラグジュアリーまで多様なギフトシーンに適したラインアップの拡充
②機能…相手により喜ばれるパーソナライズ機能の開発・提供
③シーン…誕生日を筆頭にモーメントを強化・掘り起こし
さらに嘉戸氏は、LINEリニューアルの一環として今年度中にLINEアプリの中で新設が予定されている「ショッピングタブ(名称未定)」を紹介。展望を交えてプレゼンを締めくくった。「LINEアプリの中に『ショッピングタブ』ができ、そこでECを展開することを考えています。どんなことをやっていくのかは、LINE内のナレッジに加えて、ヤフーやZOZO、PayPay、そういったグループ企業と一緒になって作っていきます」(嘉戸氏)。
コロナ禍から回復傾向を見せる国内ギフト市場のなかで、堅調な成長を続けるLINEギフト。コミュニケーションサービスとしての強みを活かした「相手ありき」の機能と施策で、今後どのような広がりを見せるのか。出店ショップの取り組みとともに、引き続き注視していきたい。