訪日旅行者の約9割が帰国後にも日本の土産物を購入 JTB総合研究所調査

ECのミカタ編集部

インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)      ~旅ナカを次の旅行に向けたショーケースとするために~

株式会社JTB総合研究所(以下:JTB総合研究所)は2024年9月13日、「インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)」の調査結果をまとめた。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査方法:インターネット調査会社が保有しているモニターに対するwebアンケート調査
◆対象者:過去1年以内に観光を目的とする日本旅行をした18歳以上の男女(台湾:319名、アメリカ:371名)
◆調査時期:2024年7月8日~19日
◆出典元:インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)(株式会社JTB総合研究所)

次回旅行先として、離れた場所の情報にも関心

2023年度の調査結果(※1)では、訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関係なく、「旅マエ」に旅程をほぼ決定していることが判明した。そして、旅ナカで新たに得た情報がきっかけで体験することは、主に「食事」や、滞在先の周辺で行える「数時間程度の体験」などがあげられた。

これだけを確認すると、旅ナカで提供できる情報は限られているようだが、今回の調査では、およそ3割の旅行者が、次回の旅行先としての情報であれば、離れた場所の情報にも関心を持っていることが明らかになった。

次回の旅行で行ってみたいと思った理由としては「直近の旅行の予定が詰まっていて時間がなかった(37.2%)」が最も多く、次いで「直近の旅行で訪れて気に入ったから(35.4%)」と続いた。同じ場所を繰り返し訪れることを想定し、旅ナカで次回の訪問先の情報を集めていることも多いことがうかがえる。また、次回の旅行の楽しみとして取っておきたいという意識もあるのかもしれない。

※1:旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査(株式会社JTB総合研究所 他)

インターネットを通じた情報収集が一般的

日本滞在中の情報取得手段については、全体的にSNSやインターネットでの検索、YouTubeなどの動画投稿サイト、家族や友人などの体験談が上位にあがった。

中でも、台湾ではより「動画投稿サイト」「ネットサーフィン」の割合が高く、アメリカでは「SNS」の割合が高い傾向がみられる。

アメリカの旅行者は、台湾の旅行者に比べて滞在日数が長いせいか、ホテルのコンシェルジェやお店のスタッフ、交通広告、現地のメディア、ポッドキャストなど様々な情報源から情報を得ている様子も明らかとなった。

また、旅行者の関心事項は国・地域以上に、年代による違いが大きいことも判明した。主な傾向は以下の通りとなる。

◆20代:アウトドア、ビールやワイン、日本酒
◆30代~40代:キャラクターや体験(いちご狩り、奈良の鹿とのふれあい、鉄道など)
◆50歳以上:「食」や芝桜などの景観

9割近くの旅行者が帰国後に日本商品を購入

帰国後に日本の土産物を購入するかについては、台湾とアメリカを合わせて88.8%の回答者が、何らかの購買行動をしていることが判明。

台湾の旅行者は日本で訪れたお店や街のECサイトを利用して土産物を購入しているのに対し、アメリカの旅行者は、自国内の日本の商品を取り扱う店舗や普段からよく使っているECサイトでの購買が多くみられた。

具体的な購入品としては、台湾の旅行者は「スナック菓子」や「食品」が上位となった一方、アメリカの旅行者は、「伝統工芸品」や「キャラクター商品」、「革製品・ファッション雑貨」など、食以外のものも購入する割合が高い結果になった。

今回の調査によって、およそ3割の旅行者が、次回の旅行先としての情報であれば、離れた場所の情報にも関心を持っていることが明らかになった。このことから、旅ナカでの情報接点を次回の訪日旅行の「旅マエ」の期間と位置づけることで、旅ナカでのより幅広い情報提供の可能性が生まれるかもしれない。

観光庁が過去に実施した調査によると、現在消費の軸足は「モノ消費」から「コト・トキ・イミ消費」へと移り変わっているという。越境ECにおいても「日本にしかない」といった特別感が一層重要になることが想定される。高まるインバウンド需要を追い風にするためにも、旅行者の動向を分析した対応が求められるだろう。

関連記事:越境ECにも! 観光庁がグローバルな消費動向トレンド5つと訪日外国人に対する日本の課題を分析


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