転売不正発生率が高い水準で推移 コスメや健食などがターゲットに リンク&かっこ調査
株式会社リンク(以下:リンク)とかっこ株式会社(以下:Cacco)は2024年11月6日、クレジットカード情報流出事件に関する統計とECに関する不正利用傾向に関するレポート「キャッシュレスセキュリティレポート(2024年4-6月版)」を公開した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
カード情報流出事件の概況(2024年4-6月)
◆情報流出事件数:15件(前年比:300%)
◆情報流出件数:120727件(前年比:40%)
2024年4〜6月の流出事件数は120727件と前年と比較して大幅に減少したが、同年1〜3月と比べて約2倍、カード情報流出件数は5倍に急増した。さらに事前数の前年同期比は3倍に増加し、ECサイトからのカード情報流出件数は11倍超にのぼった。
一方、流出が発覚した後の公表までの期間が短縮されてきており、発覚から公表まで60日以内に行われるケースが2023年は2件であったが、2024年1-6月では、4件と割合としては2倍に増加した。
※画像元:最新:キャッシュレスセキュリティレポート2024年4-6月(2024年10月発行)(株式会社リンク)
ECにおける不正利用の概況(2024年4-6月)
◆クレジットカード不正利用被害額合計:144.1億円(前年比:102.1%)
◆クレジットカード偽造被害:0.9億円(前年比:180%)
◆クレジットカード番号盗用:134.3億円(前年比:101.4%)
◆クレジットカード不正利用の発生率:1.7%(前年比:94.4%)
◆転売不正注文の発生率:7.9%(前年比:138.5%)
不正利用額は144.1億円と昨年同期から微増。2024年の上期ではすでに268.2億円を超えており、前年同期とほぼ変わらず高止まりの傾向が続いている。内訳は、引き続き番号盗用(なりすましによる不正利用)が9割以上を占めた。
カードの不正注文の発生率についても大きな変動はみられなかった。転売不正発生率は引き続き7%台と高い水準で推移。転売不正は依然としてECサイトにとって大きな課題であり、特にコスメや健康食品、日用品などがターゲットとして狙われやすい状態が続いている。
免税品の不正転売が深刻化
2024年3月と4月の訪日外国人観光客数は2カ月連続で300万人を超え、過去最高のペースで増加している。通年では、2019年の過去最高記録(3188万人)を更新する可能性が高く、円安の影響も相まって、日本製品の購買需要が急増している状況だ。
こうしたインバウンド需要の増加を背景に、免税品の不正転売が深刻化。家電量販店などでは独自の対策が進められ、国税庁も2024年6月に事業者に対して注意喚起を行っている。
免税店でパスポート提示などによって消費税分を除いた金額で物品を購入できるが、国際的には消費税も含めた価格で購入し、関税での購入記録と持ち出し品を照合して消費税分を返金する方法が一般的となる。日本政府は2025年以降、国際的な方式に合わせ、現行の「購入時に免除する方式」から「購入後に返金する方式」への見直しも検討しているという。
不正転売はクレジットカードの不正利用と合わせて大きな課題となる。EC市場の健全な発展のためにも、各事業者の取り組みに加え、既存制度の見直しも必要になるだろう。日々巧妙化する不正手口への対策として、引き続き最新情報を追っていきたい。