Amazonの越境EC(グローバルセリング)で成功するコツ。やり方や料金も解説
Amazonには、日本のAmazon.co.jpに出店しながらAmazon.comなどの海外のマーケットプレイスに出店できる「グローバルセリング」と呼ばれるサービスがあります。
簡単に越境ECに取り組める便利なサービスですが、具体的な方法までは分からない、知らないという方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、Amazonの越境EC(グローバルセリング)で成功するコツについて解説します。
グローバルセリングのメリット・デメリットや手数料などについても解説するので、これから越境ECに取り組む事業者の方はぜひ参考にしてください。
なお本記事で紹介する情報は2024年10月時点のものです。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)とは
Amazonのグローバルセリングとは、日本のAmazon.co.jpのアカウントで、世界18ヵ国以上のマーケットプレイスに出品できるサービスのことです。
まずはグローバルセリングの基本について、みていきましょう。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)の仕組み
Amazonグローバルセリングは、Amazon.co.jpのアカウント画面から簡単な手続きで、別の国のAmazonストアに出品できます。同一の管理画面で管理できるためアカウントのログアウトやログインの手間がかからず、手軽に運用できるのが利点です。
一方で、自社で発送を行う際は発送先の国における、物流や関税などの知識が必要です。出品時の言語対応も必要になりますが、翻訳サポートもあるためうまく活用しましょう。
また、FBAにも対応しているため、海外のFBA倉庫に入庫しておけば受注後の対応が楽になります。ぜひ検討しましょう。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)で出品できる国
Amazonのグローバルセリングで出品できる国は以下のとおりです。
国 | マーケットプレイス |
---|---|
日本 | Amazon.co.jp |
アメリカ | Amazon.com |
カナダ | Amazon.ca |
メキシコ | Amazon.com.mx |
ブラジル | Amazon.com.br |
イギリス | Amazon.co.uk |
ドイツ | Amazon.de |
フランス | Amazon.fr |
イタリア | Amazon.it |
スペイン | Amazon.es |
オランダ | Amazon.nl |
スウェーデン | Amazon.se |
ポーランド | Amazon.pl |
インド | Amazon.in |
オーストラリア | Amazon.com.au |
シンガポール | Amazon.sg |
アラブ首長国連邦 | Amazon.ae |
トルコ | Amazon.com.tr |
2024年10月現在、全18ヵ国のAmazonに対応しています。
出典:
Amazon海外販売方法|Amazon.co.jp
Amazon海外販売(越境EC)|Amazon出品サービス
AmazonGlobal海外配送とは
AmazonGlobal海外配送とは、Amazon.co.jpで利用できる海外発送の手法の1つです。先にAmazon側で算出した関税や各種手数料の見積もりをもとに、注文者が注文時に先払いで支払います。
商品が到着した際に関税等を支払う必要がないため、手軽に海外発送ができるのが利点です。
前払い金よりも実際の関税が少額だった場合には差額が返金されますが、一方で見積もり(先払い金額)より実際の関税等が多かった場合は、追加で請求されるケースもあります。
出典:配送オプションが「AmazonGlobal海外配送」(関税先払い)の場合|Amazon
参考:Amazonの「JAPAN STOREプログラム」とは
Amazonの「JAPAN STOREプログラム」は、日本貿易振興機構(JETRO)とAmazonが共同で提供するサービスです。海外のマーケットプレイスにある、日本の販売事業者による商品を特集する「JAPAN STORE」に商品を出品できます。
出品するには審査に通る必要がありますが、出品サポートなどの支援が受けられるため初めて海外のAmazon に出品する方におすすめです。現在は、以下の2つのマーケットで展開されています。
出典:JAPAN STOREプログラム|Amazon
Amazonの越境EC(グローバルセリング)で海外販売するメリット・デメリット
Amazonのグローバルセリングで海外販売するメリット・デメリットを紹介します。手軽に利用できる一方で注意点もあるため、実際に運用を開始する前に確認しましょう。
メリット
グローバルセリングのメリットは主に以下の3点です。
- 手軽に越境ECに参入できる
- FBAを利用できる
- 大口出品手数料が安くなる
0からECショップを立ち上げるよりも、はるかに手軽に越境ECを実現できます。海外のFBA倉庫を利用できるため、自社発送のリソースを削減したい方にもおすすめです。
また、大口出品手数料はほかのマーケットに出品した場合、出品中の各国の月間登録料の合計か、39.99米ドルのいずれか安いほうが適用されます。
たとえば、アメリカやカナダの大口出品手数料は以下のとおりです。
国 | 大口出品手数料 |
---|---|
アメリカ | 39.99米ドル(5,980円前後) |
カナダ | 29.99カナダドル(3,246円前後) |
日本 | 4,900円 |
※1米ドル=149円、1カナダドル=108円で計算
日本とカナダで出品しても、支払い大口出品手数料は39.99米ドルより高くなることはありません。出品手数料を削減しつつ、多くのマーケットに出品することが可能です。
出典:統合されたアカウントの大口出品の月間登録料│Amazon
デメリット
グローバルセリングを利用する際のデメリットや注意点は以下の3点です。
- 配送料や手数料が高い
- 言語や規制、発送方法などを発送先の国に合わせる必要がある
- アカウントヘルスが共有される
グローバルセリングは海外発送なので、国内での配送に比べれば配送料は高くなります。また、各国の言語はもちろん、商品の規格・規制などにも対応する必要があります。
さらに、アカウントヘルスが共有されるため、各マーケットでアカウントの健全性を維持しなければなりません。顧客対応にも言語対応が必要なため注意しましょう。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)のやり方・始め方
Amazonのグローバルセリングを始める手順は以下のとおりです。
使い方や始め方が分からない方は参考にしてください必見です。
セラーセントラルにログイン
まずはAmazonセラーセントラルにログインし、「在庫」から「グローバルセリング」と選択します。
出品する地域を決める
出品するAmazonマーケットプレイスを選択してください。北米やヨーロッパのマーケットプレイスについては日本語の出品マニュアルが用意されているので、参考にしましょう。
また、ヨーロッパの場合はヨーロッパ国内のマーケットへの出品が同一の管理画面で管理できるのに加え、ヨーロッパ国内のいずれかのマーケットプレイスでの販売を登録すると、自動的にヨーロッパ国内のほかのマーケットプレイスでも販売ができるようになります。
出典:販売する地域と商品を決める|Amazon
商品の登録
セラーセントラル上で商品の登録を行いますが、国内とほとんど同じ流れです。グローバル出品連携ツールや、CSVアップロードなどの手段で登録が可能です。
Amazonではセラーセントラル内の言語切替や翻訳機能があるため、現地の言語が分からなくても登録は可能です。ただし、言語が分からない場合は顧客対応などの場面で適切な対応ができない可能性があるため、注意してください。
注文が入ったら出荷・配送を行う
商品の出品が完了し、注文が入れば出荷を行いましょう。その際、海外配送の手段がないと発送できません。
日本郵便のEMSなど、発送する地域に合わせてあらかじめ準備をしてください。また、FBAを利用すれば配送作業やカスタマー対応をAmazonが行ってくれます。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)の解除方法
Amazonグローバルセリングの解除方法は以下のとおりです。
- Amazonセラーセントラルにログイン
- 「設定」から「出品者情報」を選択
- 「アカウントを閉じる」を選択
- 「1つのマーケットプレイスでアカウント解約をリクエスト」から「次へ」を選択
これで解除手続きは完了です。
以下ではグローバルセリングに関して、よくある疑問点を2点解説します。
登録していないのに勝手にグローバルセリングに登録されることもある?
2019年から2020年ごろ、Amazonにアカウント登録する際の手続きで、登録と合わせてグローバルセリングに登録されるチェック欄がありました。この間に登録したユーザーの中には、このことを知らずにチェックを入れて意図せずグローバルセリングへ登録してしまったケースがあります。
現在は登録時にグローバルセリングに同時登録はできなくなっているため、日本だけの登録となります。
グローバルセリングを解約できない場合、どうしたらよい?
グローバルセリングを行っているアカウントに、出品中の商品や出荷待ちの注文がある場合は解約手続きを進められません。各アカウントの商品と注文の状況を確認のうえ、再度手続きを進めましょう。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)の料金・手数料
Amazonのグローバルセリングを利用するには、大口出品手数料が必要です。2024年10月時点において各国の手数料は以下のとおりです。
国 | 大口出品手数料 |
---|---|
日本 | 4,900円 |
アメリカ | 39.99米ドル(5,980円前後) |
カナダ | 29.99カナダドル(3,246円前後) |
メキシコ | 600メキシコペソ |
ブラジル | 19ブラジルレアル |
ヨーロッパ | 以下のいずれか 25英ポンド 39ユーロ 410スウェーデンクローナ 165.91ポーランドズロチ |
オーストラリア | 49.95オーストラリアドル |
上記以外の国 | 手数料なし |
※1米ドル=149円、1カナダドル=108円で計算
最大で39.99米ドルの手数料が必要になります。上記以外にも、配送業者に出荷を依頼した際の送料がかかるので注意してください。
出典:統合されたアカウントの大口出品の月間登録料|Amazon
Amazonの越境EC(グローバルセリング)で売れる商品とは
グローバルセリングで売れる商品を探すには、現地のトレンドや需要を調査する必要があります。分かりやすい例でいえば、日本でしか手に入らないアイテムはほかの海外セラーと差別化しやすいでしょう。
また、どんな商品が人気なのかを調べるには、各国のAmazonにおけるランキングなどを参考にします。日本とは異なるラインナップになっているはずです。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)が難しいと言われる理由は?
Amazonのグローバルセリングが難しいと言われる背景には、ニーズの分析や関税、法規制といった越境EC全般におけるハードルがあるほか、以下のような点が挙げられます。
- ほかのショップとの差別化が難しい
- アカウントヘルスはほかのマーケットと共有される
Amazonは楽天などのECモールとは異なり、1つの商品ページに複数の事業者が出品している形式です。そもそもカートが獲得できないと大きく売り上げを落とすため、価格面やPrimeマークなどで差別化とカートの獲得を目指す必要があります。
グローバルセリングにおいてPrimeマークを獲得するためには海外のFBA倉庫を利用する必要があり、言葉の壁のハードルが高くなります。また、アカウントヘルスを出品しているマーケットプレイスすべてで共有するため、すべての出品先で高いクオリティの対応が求められる点も難しいポイントといえます。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)で成功するためのポイント
Amazonで越境ECを成功させるためのポイントは、以下の4点です。
日本でのやり方をそのまま踏襲するのではなく、各地域に合わせた対応を意識しましょう。
- 配送方法を確保する
- 各国で売れやすい商品や訴求方法を意識する
- FBAの利用を検討する
- 参考:Amazonで海外出品している場合、インボイスはどうなる?
配送方法を確保する
まずは配送手段の確保が重要です。
Amazonグローバルセリングでは商品の出品や受注管理は簡単に行えますが、海外への発送手段は自社で用意する必要があります。
関税や各国の規制への対応など、日本よりも複雑でコストもかかる点に注意してください。
各国で売れやすい商品や訴求方法を意識する
グローバルセリングで海外のマーケットプレイスに出品する場合は、売れる商品の調査や訴求方法などを戦略的に実行しましょう。ライバルセラーや商品のリサーチを行い、価格帯や差別化の方法を検討してください。
また、スポンサープロダクト広告などの利用方法も国内と同様なので、必要に応じて活用します。
FBAの利用を検討する
グローバルセリングで越境ECをスムーズに行うには、FBAの利用も検討しましょう。利用方法は国内のマーケットと同様で、DHLなどの配送方法で納品します。
配送方法の確保手段などが分からない場合は、代行業者などへの依頼もおすすめです。ECのミカタのマッチングサービスを利用いただければ、希望や条件に合った代行業者を紹介いたします。
参考:Amazonで海外出品している場合、インボイスはどうなる?
Amazonで海外出品している場合の、インボイス制度における取り扱いですが、「Amazon business」において以下のように解説されています。
輸出取引は、課税対象である国内取引ですが、例外的に免税扱いとなっています。一般的に販売事業者は国外の買手側に輸出する場合には、消費税を請求していませんので、インボイス制度が導入されてもインボイスの交付義務はありません。
引用:税理士に聞くインボイス対応 第3回 税理士に聞いてみた-インボイス制度と必要な対応|Amazon business
引用文のとおり、海外在住の顧客に商品を販売する場合は消費税が免除されるので、インボイスの交付義務も発生しません。
Amazonの越境EC(グローバルセリング)を始めるなら専門業者の支援を◎
Amazonのグローバルセリングを活用することで、複雑な手続きを省略して世界各国のAmazonへ出品ができます。ビジネスチャンスの拡大につながる便利なサービスですが、言語対応や関税、高い配送料などクリアすべき課題がいくつもあるため、ハードルも高めです。
そこで、Amazonでグローバルセリングや越境ECそのものが初めてという事業者の方は、ECのミカタのマッチングサービスを利用しましょう。
ECのミカタでは、EC事業を運営する方の悩みや課題を解決するのに最適な支援事業者を、専任のコンシェルジュが紹介いたします。
また、越境EC向けのサービス資料も一括で請求できるので、簡単に複数事業者を比較できますよ。
国内での販売とはさまざまな点が異なる越境ECは、専門事業者の支援が必須です。まずはどのようなサービスがあるのか、ECのミカタの専門コンシェルジュに気軽に相談してみてくださいね。