独立系EC事業者による国内ノンエンデミック広告市場、成長率は前年比128%に Rokt調査 

ECのミカタ編集部

【市場動向調査】Rokt、リテールメディアの新潮流を占うノンエンデミック広告市場調査を発表

Rokt合同会社(以下:Rokt)は2024年12月4日、株式会社デジタルインファクト(デジタルインファクト)と共同で実施した、ノンエンデミック広告市場(※1)に関する調査結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
※1:EC機能を主に提供するウェブサイトやアプリ等のオンラインサービス上に掲出された広告と、これらのECサービスが主体となって外部メディアへと配信した広告をリテールメディア広告として定義し、その中におけるノンエンデミック広告の市場規模を算出した。

調査概要

◆調査対象:リテールメディア広告関連事業者
◆調査手法:デジタルインファクトが保有するデータ、公開データ、リテールメディア広告事業にかかわる企業へのインタビュー調査
◆調査時期:2024年8月〜10月
◆調査主体:Rokt合同会社
◆調査実施機関:株式会社デジタルインファクト
◆出典元:ノンエンデミック広告市場に関する調査(Rokt合同会社 他)

国内ノンエンデミック広告市場規模は前年比128%で成長

ノンエンデミック広告とは、リテールメディア広告の一形態であり、特定のECサイトやアプリ上で商品やサービスを販売していない企業が、そのECサイトやアプリ上に出稿する広告である。

本調査の結果、2024年の国内ノンエンデミック広告市場規模は541億円の見通し(前年比:128%)となり、2028年には2024年比約3倍の1693億円と予測された。

多くのEC事業者が、付帯収益の創出機会として広告事業に期待を示していることが市場成長にとっての好材料である。物価上昇といった環境変化にも対応しつつ、ユーザーへの価格転嫁を最小限に留めるためには付帯収益の確保が重要であるとの見方が強まっている。

さらに、デジタル広告業界全体として、購買データを活用できるリテールメディアへの期待を高めている。サードパーティCookieの利用制限が強化されていることを受けて、今までEC出店を行ってこなかった広告主及びその広告代理店が、代替する広告配信先としてリテールメディアを選択する機会が増えることは十分に考えられるだろう。

2025年以降、日本市場でノンエンデミック広告の取引が活性化

リテールメディアの用途や機能が進化するにつれ、これまで取り込むことができなかった広告需要にも対応できるようになった。

その結果、ノンエンデミック広告の取引が活性化するという事例が既に米国市場では見られ始めている。2025年以降はこうした事例が日本市場においても展開されるようになると予測されている。

ノンエンデミック広告市場の成長速度と成長規模は、オンライン広告市場において大きな割合を占める動画広告市場やインフィード広告市場の10年前の動きと相似しているという。

独立系EC事業者を筆頭にさらなる成長が期待

EC本体事業と比較して、利益率が高い傾向にある広告事業を付帯収益源として有力視するEC事業者は多い。その広告収益を拡大及び多様化していく上で、ノンエンデミック広告の導入が有効な施策となり得るとの認識が先進的な事業者の間で生まれつつあるとRoktは指摘する。

中でも、独立系EC事業者の動向には大きな注目が集まっている。

既に広告事業を一定規模にまで成長させた大手ECモールとは対照的に、「ファッション」「航空券」「チケット」「デリバリー」など専門化した商品やサービスの販売を行う独立系EC事業者が形成するノンエンデミック広告市場はまだ黎明期にある。

こうした状況を背景に、少数の事業者による動向によって今後激しく変動し得るものの、全体としては市場規模が毎年3倍近くに拡大することが予測されている。

ノンエンデミック広告において一番の課題となるのがユーザー体験への影響だ。ユーザーの気持ちに寄り添い、受け入れやすい関連性の高い広告をいかに配信できるかが、ノンエンデミック広告の成否を分けることになるだろう。日本市場での成長が期待される本広告の動向を引き続き追っていきたい。


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