国民生活センター、海外の安全基準への適合をうたう自転車用ヘルメットへ注意喚起
独立行政法人国民生活センター(以下、国民生活センター)は2025年3月26日、「海外の安全基準への適合をうたう自転車用ヘルメット」に関する情報提供、および消費者への注意喚起を行った。
景品表示法上の優良誤認にあたるおそれ
2023年4月1日から、全ての自転車利用者にヘルメットの着用が努力義務となっている。だが、国民生活センターは「国内の大手インターネット通信販売サイトでは、自転車用ヘルメットとしてCE(EN1078)など海外の安全基準への適合をうたう商品が複数販売されていますが、基準への適合が疑わしいものもあり、適合していない場合は景品表示法上の優良誤認にあたるおそれがあると考えらる」と指摘。
2024年12月12日には、販売する自転車用ヘルメットの性能が表示どおりではなかったとして、消費者庁が販売事業者に対し、景品表示法に基づく措置命令(優良誤認)を実施。これらを受けて、同センターでは海外の安全基準への適合をうたう商品について、性能を調査し消費者に情報提供と注意喚起を行った。
EN1078の衝撃加速度の基準を超過した商品も
同センターではPIO-NET(※1)に寄せられた相談として、以下の内容が公表されている。
◆カタログ通販でCEマーク付きの自転車用ヘルメットを購入したが半年も経たないうちに、あごひもが切れた。安全性に問題があると思う。
◆自転車用ヘルメットをネット通販で注文したが、広告通りの安全認証の表示がなく、助成金が受け取れない。返品可能か。
同センターで対象商品へのテスト(※2)を行った結果、衝撃吸収性能について、「EN1078」の衝撃加速度の基準を大きく超過している銘柄があったと公表した。
さらに、「保持装置(あごひも)の強さについて、『EN1078』の伸びの基準を大きく超過している銘柄」「保持装置の性能(脱げにくさ)について、『EN1078』の基準を満たしていない銘柄」があったことを確認。また「EN1078」で定められた全ての項目を表示していた銘柄はなかったという。
※1:「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」は、国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステム
※2:テスト実施期間、検体購入 2024年11~12月、テスト期間 2025年1~2月
ECモール運営事業者に出品前審査を強化する等の協力を依頼
国民生活センターはこうした現状に対し、業界・事業者への要望として以下の内容をあげている。
◆消費者が自転車用ヘルメットを適切に選択できるよう、選択する際の注意点について引き続き周知する
◆安全基準に適合していないにもかかわらず、適合しているかのような表現をすることがないよう表示の改善を
また、インターネットショッピングモール運営事業者に対しても、販売サイトに安全基準への適合について適正な表示がされるよう協力を依頼。適正な表示の商品が販売されるように出店者へ働きかけるほか、出品前審査を強化する等の協力も依頼している。
該当商品を取り扱う事業者は、顧客の安全を守り、信頼を損なわないためにも、改めて商品や表示内容を確認して適切な対応を進めてほしい。
※参考・画像元海外の安全基準への適合をうたう自転車用ヘルメット(独立行政法人国民生活センター)