4月の飲食料品値上げ、4225品目と1年6カ月ぶりの高水準 TDB調査

ECのミカタ編集部

「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年4月

株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2025年3月31日、2025年4月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しに関する分析を公表。主要食品メーカー195社における4月の飲食料品値上げは合計4225品目で、2023年10月以来1年6カ月ぶりに単月で4千品目を超えたとしている。

原材料費に加え、「サービス」価格上昇の影響を受けた値上げ要因が拡大

TDBの調査によれば、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした4月の飲食料品値上げは4225品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均16%に。

値上げ要因では、原材料などモノ由来の値上げが多くを占める一方で、人件費や物流費など「サービス」価格上昇の影響を受けた値上げ要因が拡大している。

2025年における要因のうち、最も大きいものは「原材料高」(97.8%)となり、要因別の集計を開始した2023年以降で最も高い水準に。トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは81.8%を占め、前月調査時(80.9%)から割合がより拡大。「人件費」由来の値上げも45.1%を占め、前月調査時(43.5%)から拡大した。TDBでは「最低賃金の引き上げのほか、人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増から、価格改定に踏み切るケースが増え始めた」としている。

※画像元:「食品主要195社」価格改定動向調査 2025年4月(株式会社帝国データバンク)

通年の値上げは前年実績の9割超の水準に到達

2025年4月の値上げを食品分野別に集計すると、調理用みそ製品を中心とした「調味料」(2034品目)が全食品分野で最も多かった。

「酒類・飲料」(1222品目)は、缶ビール・缶チューハイなどの酒類で一斉に価格が引き上げられるほか、コーヒー飲料で値上げとなり、2024年10月以来6カ月ぶりに単月で1千品目を超えた。

2025年通年の値上げは、9月までの公表分で累計1万1707品目に上り、前年実績(1万2520品目)の9割超の水準に到達するなど、前年に比べて値上げペースが早まっている。

1回当たり平均値上げ率は15%と、前年(17%)に比べ低下傾向で推移。食品分野別では冷凍食品やパックごはんを中心とした「加工食品」が最も多い3499品目で、「調味料」(3294品目)、「酒類・飲料」(2089品目)が続く。TDBでは「飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて大幅に強まっている」と考察している。

※画像元:「食品主要195社」価格改定動向調査 2025年4月(株式会社帝国データバンク)

最大で年2万品目前後に到達すると予想

TDBでは「2025年の値上げ動向は全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年と比較して、少なくとも今夏にかけて断続的な値上げラッシュの発生が見込まれる」と予測。

今後の見通しについて「年間累計では、賃上げによる人件費や物流費といった粘着性の高い値上げ要因が押し上げる形で、最大で年2万品目前後に到達すると予想される」とレポートをまとめている。

今回の分析にあるように、2025年の飲食料品の値上げ要因が「モノ由来」と「サービス由来」の双方であるとすれば、このトレンドは4月だけの動きとは言えないだろう。引き続き注視していきたい。