経産省、2024年度「電子電子商取引に関する市場調査」公表 国内BtoC-EC市場規模は26兆円台に

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ECのミカタ編集部

令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました ※出典:令和6年度電子商取引に関する市場調査 報告書(経済産業省)

経済産業省は、「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態等について取りまとめた結果を公表した。本記事では2025年8月26日に発表された報告書から、BtoC-ECと越境ECに関するデータを中心に紹介する。

市場規模、EC化率ともに拡大

経済産業省が取りまとめた「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によれば、2024年度の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、物販系・サービス系・デジタル系3分野合計で26兆1225億円(前年24兆8435億円)で前年比5.1%増。同じく国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は514兆4069億円(前年465兆2372億円。前年比10.6%増)に増加した。

EC化率(全ての商取引市場規模に対する、電子商取引市場規模の割合)については、BtoC-ECで9.8%(前年比0.4%増加)、BtoB-ECで43.1%(前年比3.1%増加)と右肩上がりとなり、商取引の電子化が引き続き進展している状況が明らかとなった。

BtoC-EC3分野の市場規模、いずれも増大

物販系分野のBtoC-EC市場規模は、前年より5434億円増加し、15兆2194億円と3.7%成長。EC化率も9.78%と前年より0.4%増加したが、2020年以来の伸びの鈍化傾向が継続する形となった。

※以下、画像出典「令和6年度電子商取引に関する市場調査 報告書」(経済産業省)

報告書ではこの市場トレンドについて、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年に『巣ごもり需要』として消費者の間でECの利用が急激に拡大したのち、スマホの普及が一段落したことや、消費者の実店舗回帰の機運が高まるなどしたことで、物販における EC 利用の伸びは年々鈍化してきている」と分析している。

また、「これまで新たな販路の拡大や店舗運営の効率化といった観点から実店舗とECの最適な融合が模索されてきたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、実店舗を運営する多くの小売業が改めて実店舗の存在意義を再考し、消費者の行動に対応する動きが見られる」とも。

「2023年以降は消費者の実店舗回帰がほぼ一服」し、「オンライン接客」「ショールーミング化店舗」「EC購入商品の店頭受け取り」といった、ECと実店舗を融合させる取り組みも広く定着したと見ている。

一方、サービス系分野のBtoC-EC市場規模は、前年の7兆5169億円から7087億円増えて8兆2256億円となり、前年比 9.43%の増加。デジタル系分野のBtoC-EC市場規模は、前年の2兆6506億円から 270億円増加し、2兆6776億円で前年比1.02%の増加だった。

BtoB-EC市場規模は前年比10.6%増加

2024年のBtoB-EC市場規模は514兆4069億円と前年比で10.6%増加。「その他」を除いたEC化率は、前年から3.1ポイント増の43.1%となった。財務省が公表した法人企業統計によると、多くの業種で2024年のBtoBの商取引市場規模が拡大し、結果としてBtoB-EC市場規模も増加したという。

CtoC-EC市場規模、前年比1.82%の伸び

また、2024年のCtoC-ECの市場規模を、統計情報、関連企業へのヒアリング等各種情報リソースに基づいて推計したところ、前年比1.82%増の2兆5269億円に。報告書では、この市場規模の拡大を主導しているのは、主にフリマアプリ市場であるとしつつ、こうしたCtoC取引は個人間に留まるものではなく、実際にはBtoB、BtoCの取引も含まれていることには留意が必要としている。

「旅アト」消費としての越境EC

日本・米国・中国間の越境EC市場規模の推計結果は下記図表の通り。日本の越境BtoC-EC(米国・中国)の総市場規模は4410億円だった。

報告書ではBEENOSグループが2024年11月に実施した「越境ECの利用意向に関する意識調査」を引用し、外国旅行中に気に入って購入した現地の商品やブランドを、帰国後に越境ECで再度購入した経験者は44.0%(N=1312)いたことを紹介。日本滞在時に、実際に商品に触れた経験、自分自身の目で確認できた経験、信頼できると認識した経験が起点となり、また越境ECで購入ができると認識されることで、帰国後(旅アト)の越境ECの利用が促進されていると推測している。

上記以外にも、報告書では各EC市場の特徴やトピックス、宅配便の再配達率を含めた物流の状況なども取りまとめている。世界で「アフターコロナ」が定着した現在、どのように市場が変化していくのか、引き続き追っていきたい。

●参考:令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(経済産業省)