事業者の約8割「複数の決済システム導入」によるコストを実感 Stripe調査
ストライプジャパン株式会社(以下、ストライプジャパン)は2025年9月1日、多様化する決済システムとデータ活用に関する調査結果を公表した。
調査概要
◆調査方法:ネットリサーチ
◆調査実施機関:株式会社ネオマーケティング
◆調査実施日:2025年8月8日~8月12日
◆調査対象:小売業・飲食業・サービス業に携わり、実店舗・ECでサービスを展開している全国の事業者
◆出典:多様化する決済システムとデータ活用に関する調査(ストライプジャパン株式会社)
半数程度の事業者が複数種類の決済システムを採用
店舗およびECで導入している決済手段について質問したところ、半数程度の事業者が、店舗・ ECそれぞれで複数種類の決済システムを採用していることが明らかになった。
中でも「従業員51人以上」の事業者では、平均3種類の決済システムを導入していることが判明。複数導入の主な理由は「顧客の多様なニーズに応えるため」であり、顧客満足度向上の観点からも複数の決済手段を備えることが不可欠であることがうかがえる。
一方、インバウンドによる購買や越境ビジネスが増えている中、海外の決済手段に対応しているのは約3割という結果だった。まだまだ訪日外国人や越境ニーズへの需要に対応しきれていない現状も明らかになった。
“決済の裏コスト”の課題も
多様化する決済システムによりかえって“コスト”がかかることがあるかを質問したところ、約8割の事業者が「何かしらの“コスト”を感じている」と回答。
その中でも特に「決済システムごとの導入・維持にリソースがかかる」 (48.7%) 、「決済システムごとのセキュリティ対策に手間がかかる」 (42.5%) と回答する事業者が約半数存在した。
顧客の多様なニーズに応えるため、複数の決済システムを導入している事業者が多い一方、“決済の裏コスト”の課題も浮き彫りになった。
データを有効に活用する点が課題
複数の決済システムにまたがるデータ (売上データや顧客データ、在庫データなど) の管理についての質問をしたところ、「データの一元管理ができていない (一部のみ含む)」 と回答した企業は51%と半数以上を占めた。
続いて、実際にデータを活用できているかヒアリング。「できているとは言えない」と回答する事業者は約7割となり、データを有効に活用する点が課題であることが判明した。
本調査結果に対して、京都大学公共政策大学院教授の岩下直行氏は次のように述べている。
「決済手段の多様化は、消費者の利便性を高める一方で、加盟店の運営やセキュリティ対応に新たな負担をもたらしています。(中略)今回の調査は、加盟店が利便性向上に果敢に取り組む姿勢と、複雑な管理やデータ活用の難しさという限界の双方を浮き彫りにしており、今後の決済システムと商業活動のあり方を考えるうえで極めて重要な示唆を与えています」
利便性や安全性の確保に加え、システム運営に伴うコストを抑えながら収益性をどう確保するかを見極めることが、消費者と事業者をつなぐ取引を左右する今後の基本課題となるだろう。本調査結果を参考に、改めて自社の体制を検証したい。