Stripe、AI時代の新しいマネタイズツールを発表 ChatGPTからの直接購入も

最終更新日:

ECのミカタ編集部

Stripe 、年次カンファレンス Stripe Tour New York 2025 でステーブルコインとエージェント コマースを主流化する新製品を発表

Stripeは、ビジネスリーダーや決済業界の専門家が一堂に会する「Stripe Tour New York 2025」にて、AIとステーブルコインを活用した企業の収益拡大を支援する新プロダクトを発表した。

独自のステーブルコインを発行・管理

「Stripe Tour New York 2025」では、新機能としてステーブルコインの独自発行を可能にする「Open Issuance」が発表された。

同サービスは、Stripeが今年買収したBridgeの技術を基盤に、わずかなコードで企業が独自のステーブルコインを発行・管理できる新しいプラットフォームである。

◆企業は自由にコインをミント(発行)およびバーン(焼却)できるほか、現金と米国債の比率を管理するために準備資産をカスタマイズし、提携パートナーの選択が可能。
◆発行したコインは相互互換性があり、BridgeのAPIで低コスト変換が可能。
◆独自コイン発行により収益を得て、顧客へのインセンティブとして活用できる。


Phantomが設計したCASHは「Open Issuance」を介して発行される最初のステーブルコインとなる。また、MetamaskのmUSDやHyperliquid 向けUSDHも同プラットフォーム上で展開予定である。

先端技術を“実験”から“主流”へと引き上げる

「Stripe Tour New York 2025」では、その他にも40以上の新機能が同時に発表された。その中の一部は以下の通りだ。

◆iOSアプリからシームレスにモバイル決済へ遷移する新フロー(決済コストを最大90%削減)を発表
◆StripeのウォレットLinkがKlarnaのBNPLに対応
◆Stripe Taxが102カ国での課税に対応(前年比2.5倍)
◆Stripe Reader S710のグローバル展開を発表
◆VercelやReplitにStripeのサンドボックスの直接埋め込みが可能に

Stripeのプロダクトおよびビジネス担当プレジデントであるウィル・ゲイブリック氏は、本件について次のようにコメントする。

「ステーブルコインとAIの分野で、Stripeは先端技術を“実験”から“主流”へと引き上げる役割を担っています。両者の登場は新たなデジタル経済の幕開けを告げており、私たちはその可能性をユーザー企業の事業成長につなげることに全力で取り組んでいます」。

ChatGPT内での直接購入が可能に

2025年9月30日には、OpenAIとStripeが共同開発した「Agentic Commerce Protocol(ACP)」が公開された。本機能により、米国のChatGPTユーザーは、米国マーケットプレイスEtsy、Shopifyの加盟店などから順次チャット内で直接商品を購入できるようになる。

従来のeコマースは人間を対象に設計されており、事業者がインターフェースと決済を管理し、消費者は商品を閲覧する形であった。しかし、AI主導のeコマースでは、エージェントが購入者を代理し、身元情報や支払い方法、購入の経緯を取引に持ち込み、購入を完了する。

StripeとOpenAIが2023年にパートナーシップを結んで以来、OpenAIはChatGPT Plusのサブスクリプションに Stripe Billing と Stripe Checkout を導入するといった取り組みを推進している。今回の発表を皮切りに、StripeはOpenAIがChatGPTを通じて全く新しいコマースの収益モデルを開拓する支援を行う方針を示す。AI主軸の時代へ向け、常に最新の動向を追っていきたい。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事