ビザ・ワールドワイド、2026年の決済分野「AIを利用した攻撃」の高度化を予測

最終更新日:

ECのミカタ編集部

AIショッピングからステーブルコインの進展まで:2026年を変革する決済に関する主な予測

ビザ・ワールドワイドは2025年12月19日、2026年における決済分野を形作る主な予測を紹介した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

EC運営のパートナー企業を紹介してもらえるって本当?

エージェンティックコマースが主流に

本予測では対面式コマースからeコマース、モバイルコマースを経て消費者や企業に代わってエージェントが取引を行う「エージェンティックコマース」へ移行していると分析。2026年には、AIのサポートによるショッピングが一層現実的なものとなり、エージェンティックコマースが自然に広がっていくとした。

ChatGPTに「購入を代行」というボタンが表示されることを一例に、以下の処理を紹介している。

◆決済の有効化
▷よく使用するクレジットカードを読み込むことで、エージェントが顧客に代わって買い物を行う。

◆個人の嗜好にあわせたカスタマイズ
▷安全なデータトークンを通じて、買い物履歴や好みに関する情報を共有。エージェントは「この顧客なら、これらの購入オプションのうち、どれを選ぶだろう?」と考えながら代わりに買い物を行う。

◆支出の管理
▷条件を設定して、エージェントに買い物をさせることが可能。支払い金額が100ドル未満の場合は許可し、それ以上の場合は許可しないこともできる。

AIを利用したアイデンティティ攻撃はさらに高度化

これまでの詐欺は、トランザクション(商取引)レベルで発生していた。そのため、攻撃者が一度に盗めるトランザクションは1つだけであった。しかし、AI技術の進歩に伴い、今では攻撃者はより高度な手口で非常に精巧な詐欺やなりすましによって「消費者のアイデンティティ全体」を盗むことが可能になっている。一度、アイデンティティが盗まれるとその情報によるすべてのトランザクションは攻撃者のものとなる。

2026年には、このようなAIを利用したアイデンティティ攻撃はさらに高度化し、発生件数が大幅に増加することが予測されている。こうした事態の悪化は、アイデンティティをめぐる新たなAI活用の局面を迎えることを意味しており、より多くの投資や注力、パートナーシップが必要になる。

2026年には決済サービス業界は、協力してアイデンティティ詐欺と戦い、共にリスクを管理するための共通の機能や技術を開発することが求められるとしている。

現金からカード決済へ移行

ビザ・ワールドワイドは2026年について、世界の消費者決済の半分がカード情報を使って行われる史上初の年となるとしている。こうした変化を促しているのは、カードやモバイル端末によるタッチ決済などのイノベーション。これまでは現金が唯一の選択肢であった少額取引も、こうしたイノベーションによりデジタル化が可能となった。

現金のデジタル化をさらに進めるため、VisaはWeChat Pay(中国)、M-Pesa(ケニア)、Mercado Pago(ラテンアメリカ)など、世界中のフィンテック企業やデジタルアプリと提携。各地域のイノベーションとVisaが持つ最高水準のセキュリティ、不正行為対策、リスク管理、紛争解決、ブランド力、信頼性、アクセプタンス、そして他にはない規模のグローバルネットワークを組み合わせることで、デジタルコマースの安全かつ包括的な成長を実現させている。

同社は、「これからは、B2Bでの資金移動における画期的なデジタル化、デジタルウォレットの革新的な進化、モバイル端末を通じてデジタル決済を受け入れる何百万もの新たなマイクロマーチャント、富裕層向けの魅力的な新しい価値提案、世界各国での新しいデジタル決済手段がさらに広がるのを目にするでしょう」とコメントしている。EC事業者としては常に最新の情報を注視し、柔軟な対応を心がける必要があるだろう。