【行ってみた】中国越境EC急成長の理由は?Find Japanセミナー

ECのミカタ編集部

中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」に注目

日本国内でも多くの人が利用しているSNS。世界的に有名なSNSの代表といえばTwitterやFacebookだが、実は、越境EC市場で注目を浴びる中国に関しては独自のSNSが発展を遂げている。その中でも中国最大のSNSといわれているのが「微博(ウェイボー)」だ。

この微博(ウェイボー)は、TwitterやFacebookに代わるSNSと言われているのだが、中国での越境ECに関して大きな役目を果たしている。SNSと越境ECがどのように関係してくるのか。そこには、中国だからこその理由があったのだ。

今回、私はFind Japan株式会社(以下、Find Japan)が開催する「中国爆買いセミナー」に【行ってみた】。Find Japanは、「微博(ウェイボー)」のオフィシャルパートナーであり、日本の企業や団体に微博のさまざまな情報を提供している。また、ほかにも「中国向けプロモーション事業」や「中国向けメディア事業」を展開していることから、中国のEC市場を知るうえで欠かせない存在だ。

今回のセミナーで「中国における越境ECについて」語ってくださったのはFind Japan代表取締役社長の西山 高志氏。西山氏のセミナーをもとに、SNSが中国における「越境EC」に対してどのような役割を果たしているのかを考えていきたい。

微博(ウェイボー)が爆買い・越境ECにもたらす役割とは

昨年の流行語大賞にもなった「爆買い」という言葉。昨今の日本では、大型の観光バスで日本の様々な店舗に買い物をしに来る中国人観光客の姿が目立つ。なぜこんなにも「爆買い」が流行っているのか。そして、「爆買い」「越境EC」それぞれになぜ微博(ウェイボー)が重要なのか。

その答えを探るための重要なヒントとなるのが「2013年」だ。2013年がなぜ重要かというと、実は2012年まで中国政府は情報規制を行っており、中国国民はSNSも十分に使えず、海外の情報を得ることが難しかった。しかし、2013年以降、政府による情報規制が緩和されSNSが普及したことにより、中国国民は海外に在住している中国人から、海外の情報を得ることができるようになったのだ。

するとどうなるか。SNSにより海外のファッションや暮らしについて手軽に情報を得られるようになった中国国民は、”海淘〈ハイタオ〉”(海外の商品を購入すること)を行うようになる。

しかし、中国国民はもともと性悪説の考えをもっているため物事を簡単に信用したりせず、海淘(ハイタオ)を行うときにはまず微博(ウェイボー)などのSNSを用いて商品に対する”口コミ”をリサーチする。その”口コミ”で実際に自分が狙っている商品の質や値段を確かめ、微博(ウェイボー)ユーザーと議論し、購入に至るというわけだ。

そして、2013年頃に中国で起きた政治の動きとして大きいことがもう一つある。それは「反日デモの沈静化」だ。反日デモが落ち着きを見せ始めたことから、中国の旅行代理店では、日本への旅行情報が一気に公開され始めた。

すると、中国国内では空前の海外旅行ブームとSNS普及による海淘(ハイタオ)ブームとが重なり、「日本に直接質が良く安い商品を買いに行きたい」という欲求を中国国民が持ち、「爆買い」という現象につながったのだ。微博(ウェイボー)が果たす役割が「爆買い」「越境EC」において、そして中国消費者にとって、いかに重要かがわかる。

そして微博(ウェイボー)は、中国消費者だけではなく、中国への越境EC参入を目指す日本の企業や店舗にも必須ツールとなってくる。

SNSで掴む、日本企業のビジネスチャンス

日本国内でいうと、例えばTwitterでは企業アカウントのつぶやきや広告が世間の注目を集めると、多くの人に瞬く間に拡散されていく。

それは微博(ウェイボー)に関しても同じような可能性が感じられる。実際に、微博(ウェイボー)では消費者同士はもちろん、バイヤーによる日本の商品の様々な情報提供が行われている。そこに目をつけて考えると、多くの中国消費者が集う微博(ウェイボー)には、日本の企業や店舗が中国へ越境EC参入をしていけるチャンスがたくさん転がっていると考えられないだろうか。

余談ではあるが、先日、越境ECを積極的に行っている店舗さんに取材をしにいった。その店舗さんは、様々な国に商品を出店しているにも関わらず、中国にだけは出店していないという。なぜ、越境EC市場として今特に注目されている中国に出店しないのだろうか。

その理由を尋ねると、その店舗さんの商品が「偽物」としてすでに中国のサイトで売られており、今からその店舗さんが"本物"の商品を売ったところで、「中国の消費者に信じてもらえるか?」という不安があるのだという。

なのでもっと日本の企業や店舗が中国に正しい情報を提供していくことで、中国国民からの信頼を獲得することが大切な気がしている。せっかく日本の質の良い商品を求める声が中国国民からあがっているのにもったいない。

これから日本の企業や店舗が正しい商品情報を提供していくことで、中国国民からの支持を得て、日本企業・店舗によるSNSを使った新しい越境ECビジネスが確立していくことを期待したい。


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