2020年度のEC決済は15兆円を超える?【矢野経済研究所調べ】

ECのミカタ編集部

今年度のEC決済は・・・?

 株式会社矢野経済研究所(以下、矢野経済研究所)がEC決済サービス市場に関する調査を実施した。インターネットショッピングの浸透やスマートフォンの普及によるEC市場の伸長に加え、今まで現金決済が主流であった公共料金や家賃、教育費などでEC決済サービスの利用が増加している。2014年度のEC決済サービス市場規模(ECサイト向けの決済サービス提供事業者取扱高ベース)は、前年度比12.2%増の8兆3,138億円と堅調に拡大している。
 
 EC決済サービス市場では、FinTech(フィンテック)系のスタートアップ(ベンチャー企業)の市場参入により、従来よりも手数料率が低い決済サービスや、携帯電話番号やメールアドレスを活用して決済を可能とする後払いサービスなど、様々な新サービスが誕生しており、決済サービスの多様化が進んでいる。

 オムニチャネルの進展や越境ECの拡大などでEC市場が引き続き伸長することを背景に、現金決済の比率が高い領域における決済サービス利用率の上昇や新決済サービスの台頭により、2020年度のEC決済サービス市場(ECサイト向けの決済サービス提供事業者取扱高ベース)は15兆6,228億円まで拡大することが予測される。

EC決済の今後の見込みは・・・?

 近年、注目を集める越境ECによるEC決済サービスの拡大も期待されている。現状、日本のECサイト運営事業者は、越境ECの事業展開に関しては慎重であり、越境ECによるEC決済サービスの規模拡大は限定的であるという見方もある。だが、今後、訪日外国人客が日本滞在中に購入した商品を帰国後に越境ECで購入するなどの消費行動を起こすことは十分に考えられる。

 ECサイト向けの決済サービス提供事業者は、従来からのクレジットカード決済に加え、クレジットカード情報入力が不要で、IDとパスワードでログインすれば使えるID決済やキャリア決済をECサイト運営事業者への提案ラインナップに加えることで、他の決済サービス提供事業者との差別化に取り組んでいる。今後は、海外向けコンテンツ販売のための多通貨決済や、加盟店を支援する後払い決済などを軸としたサービス展開を推進する事業者が増加すると考えられる。

 FinTech系スタートアップ(ベンチャー企業)の台頭により、様々な新決済サービスが誕生している。具体的には、従来よりも手数料率が低い決済サービスや、携帯電話番号やメールアドレスを活用して決済を可能とする後払いサービスなどの新決済サービスが挙げられる。現状では、加盟店向けのサービスが主流であるが、今後はIDを活用して、その利用履歴やインターネット上の情報に基づいた与信情報で決済ができるサービスといったイシュア(カード発行会社)向けの決済サービスの展開が期待されている。

 ECサイト運営事業者は、送料を有料にすると、リアル店舗との価格競争力を保てないケースが出てくるため、大手ネットショップを中心に送料無料化を推進する動きが出ている。それに伴い、商品受取方法の多様化が進んでいる。具体的には、駅に設置した専用ボックスで好きな時間に商品を受け取ることができるサービスや、コンビニなどと提携し、自宅の近くのコンビニで商品を受け取ることができるサービスなどが徐々に増加している。

 今、スマートフォンからECサイトで買い物を楽しむ人が増えつつある。そのおかげで、少しの空いた時間に、欲しいものをECで自由に買い物できる、便利な時代となった。それに伴い、EC決済の方もまた、時代に合わせて変化している。少しでも長く買い物を楽しんでもらうために、決済方法を簡単にしているECが多い。例えば、IDとパスワードを入力するだけで決済に必要な情報が入力され、決済が完了する。また、商品が届いてから安心して決済ができるように、後払い決済も主流となってきている。どの決済方法も、消費者である、ユーザーが利用しやすいものだ。この流れからも、EC決済は今後もどんどん増えていくのではないだろうか。


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