影での活躍者にこの日こそは。バックヤードフェスで光を!

ECのミカタ編集部

 2016年、春。表参道にて株式会社アイル(以下、アイル)主催の「BACKYARD FES.2016」(以下、バックヤードフェス)が開催されて、約4000人が参加した。

 ECはネットで購買が完結するため、店舗さんや店舗さんを支える支援企業には光が当たらない。バックヤードフェスはそんなECサイトや支えている人に光を当てて、お祭りをしようというイベントなのだ。ECだと実際にお客様と顔を合わせることはない。だからこそこのイベントは『みんな集まって、普段会えない人と会って、体験をして、商品に出会って、ドキドキしよう。 』というコンセプトのもと、ECに光を注ぎ、人の温かさで盛り上がっているイベントなのだ。

名誉あるアワード受賞者の共通点!

名誉あるアワード受賞者の共通点!

 イベントの中で多くの人の注目を集め、盛り上がりを見せるのが「BACKYARD AWARD」だ。このアワードはECサイトのサービスを支えているバックヤード業務に携わっている人の中で、素晴らしい活躍を見せた人に送られる名誉ある賞である。今回、15店舗のバックヤードで頑張る人たちが表彰された。


●靴のリード 佐々木 朋美さん
●梅酒専門店 プラム 保田 聖さん
●ムラサキスポーツonlinestore 庄内 直樹さん
●おいしいねいばらき 大沼 明弘さん
●着物なごみや 臼田 容子さん
●monday moon 宮本 奈緒美さん
●IKEUCHI ORGANIC 中山 洋香さん
●よなよなの里 エールビール醸造所 新津 良明さん
●パーフェクトスペース&パーフェクトフロアーズ 小名川 弘行さん
●鞄と財布の総合商社 アスカショップ 川島 直樹さん
●磁気ネックレスの通販 ほぐしや本舗 鈴木 麻衣子さん
●きもの京小町 斉藤 亜耶さん
●Sports pro shop MOVE 野﨑 めぐみさん
●atmos 小森 宏和さん
●SILVER BULLET 無津呂 晴菜さん

 受賞した方々に共通して感じたのは、普段光が当たらない縁の下の力持ちの仕事を、誰よりも明るく、本気で楽しんで行っているということだ。光が当たらないからこそ、受賞者の明るさでECという場所に光を灯してくれる。ECをより明るい場所に連れて行ってくれている。そんな方々に光を当てるイベント、EC事業者やアイルの人を想う温かさが心にじんわりと滲んでくるようなイベントだった。

しかしまだ終わらない。

 しかしこれでまだ終わりではない。今年のバックヤードフェスはトークイベントやBACKYARD AWARDに加え、なんとEC店舗も実店舗として出店している。

 いつもウェブ上でしか関わることのできないECサイトがリアルに出現するのだ。ECのミカタ記者はそんなECのリアル店舗に心躍らせながら、出店店舗さんに独自に取材することができた。


次のページにて記者が店舗の温かさに触れます。
そして気が付く、バックヤードの重要性とは?

●壁紙屋本舗
 株式会社フィル 番頭 林 耕一郎さん

 バックヤードフェスでは、壁紙を貼ってみるワークショップを行っていた。その他にも壁紙で封筒やタンブラーのデコレーションやトレーなどを作る体験も開催していて好評だったようだ。実際に体験している人は笑顔で「普段しない体験なので、ワクワクします!」と大変楽しんでいる様子だった。

 壁紙屋本舗は2000年にスタートしたECサイトである。もっと自分の家へ愛情を注いでもらい、洋服を着替えるのと同じように気軽に“壁紙”も着替える時代が来る、そんな想いを持ちながら日々運営している。確かに会場のワークショップでも壁紙を貼っては、また張り替えて。カラフルな壁紙が変わっていく姿を見て、壁紙が作り出す芸術に惹きつけられた。壁紙屋本舗の想いを直に感じる、まさにこれが普段ECで壁紙を販売している店舗の提案する壁紙の着替えである。

 壁紙を売るECサイトを運営する理由をお伺いしたところ、林さんは「元々日本には壁紙を貼る文化がなかった。私たちはその文化を作ってきた。いや、ECの力を借りて文化を作っていっているのだ。今後は天井に壁紙を貼る市場を作りにいきたい。」と答えていただいた。

 実店舗は立地によって、お客様は限られてくる。しかしECだとネットがあればお客様は無限である。ECというのは壁紙屋本舗が提供する“壁紙の未来”を十分に広げていってくれる可能性はあるだろう。今後壁紙を着替える家が増えていくのが楽しみだ。

●IKEUCHI ORGANIC
 IKEUCHI ORGANIC株式会社 
タオルソムリエ 牟田口 武志さん 近藤 恵美子さん

 IKEUCHI ORGANICは愛媛県今治に本社を置く、オーガニックの今治タオルを扱っている店舗である。世界的安全基準の“エコテックス”のClass 1を取得しており、赤ちゃんが口に含んでも安心という最も厳しい基準なのだ。IKEUCHI ORGANICもワークショップを開催していて、今治タオルでぬいぐるみを作るというものだった。作る人によって驚くほど顔が違う、素材の優しさが現れているような、温かいぬいぐるみである。

 取材に答えていただいた近藤さんはなんと、今治タオルを実際に作っている職人である。普段はお客様が気持ちよく使ってもらえるタオルを、と気持ちを込めて日々機械と向き合っている。機械が止まらないように糸が切れた時につなぐ仕事をしていて、一人前になるまで最低10年はかかる。機械とのコミュニケーションが重要なのだ。しかしお客様とはコミュニケーションは普段全く取らないという。

 今回職人の近藤さんは初めてご自身が作成したタオルをお客様が手に取り購入する姿を見たとのこと。その感想をお伺いすると「とにかく自分の想いがこもった商品を手に取ってくれることが嬉しかった。そしてお客様に私が作ったということを伝えると、喜んでくださった。これからも今日のことを日常の励みに頑張っていきたい。」と語ってくれた。

 職人さんが普段関わらないお客様と交流することは、こんなに感動するものなのだ。しかしECでも同じことが言えるだろう。普段店舗、バックヤードで働く方々はお客様と顔をあわせてコミュニケーションを取ることは少ない。しかし今回のイベントでバックヤードの人々が実際に輝く姿を見て、バックヤードの大切さや有難さを強く感じた。

 アイルのバックヤードフェスを通してこんなにもお客様と直接顔を合わせることが心温まり、大切なことなのか、EC然り、小売業の本質を感じたイベントだった。


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