パルコが展開するオムニチャネル 潜在顧客と日常的な接点を創出
スマホ、ブログを切り口に展開 SNSやO2Oサービスの活用でWeb接客
販売窓口の増設と在庫管理の統合で新たなモノの販売形式として注目を集めているオムニチャネル。リアルとネットの統合に苦戦する大手も多い中、少しづつだが成功の代表例としてとらえられるケースが増えてきている。
パルコが5月よりサービスを開始したブログ型のECも、その一つにあげられるだろう。「カエルパルコ」とネーミングされたこのサービスは、店員がブログで商品を紹介し、着こなし例やコーディネートなどもプロのアパレル目線でアドバイスなど行う。ユーザーは友達のブログを読む感覚で仲の良い店員のオススメをチェックし、気に入った商品があれば「WEB注文」のボタンを押し、店側に商品を確保してもらい実際に店舗に行き、実物を確認してから購入できる。店員によるスタッフブログは多く存在するが、カエルパルコが一線を画すポイントが2つある。
1つは「ショップブログ」という仕組みを構築することにより、ブログ投稿が簡単に行える点だ。PC、メール、スマホから手の空いた時間に気軽に投稿することができる。現在ブログアカウントは3,000アカウント、投稿ブログは月に10,000記事、閲覧PV数は月に2,500,000PVというデータが出ている。つまり、ブログ1投稿で250回ものWeb接客が実現できているということになる。
もう1つは、どのブログからクリックされ購入、または取り置きされたかが一目で分かるシステムを起用し、ブログ作者の売上が数値化される。この「見える化」により、来店客より「ブログ見て来ました」と言われてもどのブログ作者の記事か明確に分からないということはなくなった。自身の記事での売上が即座に分かるため、現場士気の向上にも通じるだろう。
商業施設ECの新しいカタチ 店員の目利きによるキュレーションEC
パルコがECプラットフォームを提供し、テナント店舗が運営する店舗EC型の「カエルパルコ」は、ASPよりのサービスとも言えるだろう。また、店員のお気に入り商品紹介は、ユーザーにとって親近感が湧き魅力的だ。人気スタッフがいる店舗では押し出したい商品を意識的に取り上げてもらうなど、購入へのストーリーを演出できる点は大きな利点となる。現場販売員ならではの感性や持ち前の販売力、顧客対応力を活かした同サービスの伸びには素直に肯ける。
明確な基準で数字の「見える化」を促進し、現場店員の頑張りを正当に評価する仕組みは、全体的な売上やサービスの向上にもつながっていくだろう。