顧客が最も疑問を解決できたと感じる方法は「電話問い合わせ」 NICE調査
ナイスジャパン株式会社(以下、NiCE)は2025年7月25日、同社が実施したコンタクトセンターCXに関する調査結果を発表した。
調査概要
◆対象者
▷消費者調査
・過去1年以内に、商品/サービスに関してFAQ閲覧、あるいはコンタクトセンターに問い合わせの経験あり
▷企業調査
・コンタクトセンター機能を管理・運用部署に勤務、且つ、顧客対応方針の検討・決定、管理に関与
・勤務企業/官公庁の従業員数50人以上
・1日2件以上の問い合わせあり
※2つの調査間でのサンプル重複は排除
◆回答方法:インターネット(Web)アンケート方式
◆実査期間
▷消費者:2025年6月2日~2025年6月5日
▷企業:2025年5月30日~2025年6月2日
◆有効回答数
▷消費者調査
・スクリーニング調査(本調査の前):1025サンプル
・本調査:250サンプル Young(18〜29歳):50s、Middle(30-49歳):100s、Senior(50-69歳):100s
▷企業調査
スクリーニング調査:3775サンプル
本調査:250サンプル 中小企業(50〜300人未満):150s、大企業(300人以上):100s
◆出典:コンタクトセンターCX調査(ナイスジャパン株式会社)
2割以上の企業がコールセンターに生成AIを導入
企業のコールセンター業務で生成AIをすでに導入・運用している企業は全体で23.6%で、昨年17%より6.6%増加した。
大企業ほどその傾向はより顕著で、昨年21%から31%と10%の増加。生成AIの導入効果は「コスト削減」が最も高く(66.1%)、続いて「正答率の向上」(57.6%)となっている。
9割以上の顧客が「電話問い合わせ」で疑問解決
2025年4月1日から、客からの迷惑行為などのカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」を防ぐための全国初の条例が、東京都、群馬県、北海道などで施行されている。
消費者に対し、この条例の施行によりコールセンターを利用する際の姿勢がどのように変わると思うかをたずねたところ「より(問い合わせ時の)言動に注意する」が最も高く75.8%。次いで「できるだけネット(FAQ)をみて自分で解決しようとする」(54.5%)、「コールセンターへの質問を減らす」(33.3%)と、一定の抑止力につながることが予見できる回答が目立った。
消費者が一番利用する疑問解決方法はWebサイトのQ&A閲覧(88.8%)と問い合わせフォーム(77.6%)である。一方で企業側のWebサイトのQ&Aの用意は59.6%、問い合わせフォームを用意は63.2%にとどまっている。
消費者が実際に疑問を解決できたと感じるのは「電話問い合わせ」が90.4%で、「実店舗」の79.8%と続く。
顧客と企業間のギャップが存在
2030年問題に対する人員配置について、全体では「Web問い合わせ対応要員を増やす」(51.9%)、「メール対応要員を増やす」(51.4%)がいずれも5割強で最も高くなった。
次いで、「電話対応要員を増やす」(32.8%)、「オムニチャネル対応要員を増やす」(30.1%)が高く3割程度。企業規模別に大きな差は確認されなかった。
日本法人ナイスジャパン社長であるオリビエ・ジオレット氏は、本調査結果について以下のようにコメントしている。
「日本企業の間でも生成AIの活用が現実の取り組みとして進みつつあり、とりわけ大企業がリードしている実態が浮かび上がりました。一方で、顧客が求めるチャネルと企業側の提供チャネルのギャップは依然として存在しており、CXの質を高めるうえで解決すべき重要な課題です」
コールセンターを設置する事業者は本調査内容を参考に、今後の対応を検討したい。