D2Cの不正被害額は昨年より78億円増加と予測 Spider Labs調査
株式会社Spider Labsは2025年11月20日、ブラックフライデーおよび年末商戦を目前に控え、転売等を目的としたEC市場における不正注文の最新動向を公開した。
調査概要
◆調査期間:2024年1月1日〜12月31日
◆調査機関:株式会社Spider Labs
◆調査対象:転売対策ツール「Spider AF」で不正注文検知機能を利用した企業138社
◆サンプル数:683万4287件
◆調査方法:自社データベース
◆出典:2024年不正注文率調査概要(株式会社Spider Labs)
不正注文損失額は前年比78億円増の見込み
転売対策ツール「Spider AF」の新たな調査によると、国内D2C市場における転売目的等の不正注文推計損失額は次の通り。
◆2024年:1758億円
◆2025年:1836億円
前年比78億円増になる見込みとなっており、この金額は5年間で見ると2020年比で約1.7倍まで膨張。初回割引や限定販売を狙った買い占め行為は依然として発生しており、ブランド体験の毀損や正規ユーザーの購入機会損失が深刻化している。
ブラックフライデー期間は不正注文が多発
EC市場では、例年11月下旬のブラックフライデーを含む週が、多くのジャンルで売上が急伸するトリガー週とされている。注文・アクセスが急増することで事業者のチェック体制が逼迫し、不正が紛れ込みやすい環境要因が重なる時期でもある。
Spider Labsの分析では、2025年上期に「Spider AF 転売対策」導入企業157社で19万5429件(全体の4.2%)、1日平均1067件の不正注文が検知されているという。
また、Bot・VPN偽装・使い捨てメール・リスト型転売に加え、近年はSNSで購入役を募集する闇バイト型スキームも確認されている。これらは「一般ユーザーに紛れやすい」「重複検知が困難」「技術偽装と併用される」ため、従来の対策では把握が難しくなっている。
「発送前の不正対策」の重要性を呼びかけ
本調査結果について、Spider Labs代表取締役 大月聡子氏は次のようにコメントしている。
「ブラックフライデー・年末商戦は、企業にとって売上最大化のチャンスである一方、転売ヤーにとっても活動しやすい時期です。正規のファンが商品を買えない状況は、ブランド価値を大きく損ないます」
同社は繁忙期を迎えるEC事業者に向け、「発送前の不正対策」の重要性を呼びかけている。各事業者は今一度体制を確認し、被害を未然に防ぐための行動を意識してほしい。


