インスタで売上げは上がるのか?SNS活用サービスvisumoを導入したグラニフの場合
EC事業者の間でもSNSを活用したマーケティングに注目が集まっている。そんな中、インスタ活用サービス「visumo(ビジュモ)」を利用してファンとのコミュニケーションを図っている株式会社グラニフ。実際の運用を通じて見えてきた効果と課題とは。同社セールスグループでEC部門のマネジャーを務める鈴木陽士氏にお話を伺った。
ファンを持つブランドはどこもSNSに力を入れている
作家や有名なデザイナーとコラボした個性的な柄のTシャツが人気のアパレルメーカー、株式会社グラニフ。約120店の実店舗「デザインTシャツストア グラニフ」を目にしたことのある人も多いだろう。
「アパレルメーカーはどこもECに力を入れていると思いますが、当社も例外ではありません。昨年、株式会社ecbeingのシステムを使って会員統合をしたので今後オムニチャネルの展開に力を入れていきたいと考えています。そしてSNSにも力を入れていく方針でvisumoを導入しました」鈴木氏はそう話す。
visumo導入前は「新商品が出ました」「イベントがあります」と、当たり前の情報を一方的に発信していくだけ。しかし大手アパレルブランドはコンバージョンを上げる目的でSNSのコンテンツを運営しているし、ブランディング目的でSNSを活用している海外ブランドも多い。
「海外のブランドなどは積極的にユーザー投稿を取り入れコンテンツとして上手く見せていて、そういうことができないかと考えていた時にvisumoを提案されました。自分の投稿がブランドサイトで紹介されたユーザーはそのブランドのことがより好きになるし、自ら宣伝もしてくれる。そういういい循環が生まれる面白いやり方だと思うんです」と鈴木氏。
ファンとの距離を縮めコミュニケーションを活性化させるために
株式会社ecbeingが提供する『visumo』は、インスタグラムに投稿された写真を自社ECサイトのコンテンツとして活用できるサービス。ユーザーが投稿した写真をvisumoでピックアップし、アカウント主に掲載許可をオファー。ユーザーの写真と商品を紐づけてECサイトに掲載することで、リアルな使用感や魅力的な世界観を伝えることが可能だ。
同社では、 #グラニフ・#graniph をつけてインスタ投稿されている写真をvisumoで収集し、許可を得た投稿を同社の公式アカウントでシェアしている。それまでもインスタ上で #グラニフ・#graniph の投稿は約1万件あったが、導入して約1年を経た今、それは2万件を超えた。
「投稿キャンペーンを実施するとフォロワーの増え方にだいぶ変化が出ました。実際にやってみて、そういう企画を楽しみにしているユーザーがいるという発見もありました」鈴木氏はそう言う。
ブランドを長く続けていくためにはファンを増やしたいと、どのEC事業者も考えている。そのファンとのコミュニケーションを取るための接点をつくりやすいのがvisumoなのだ。
「わざわざ当ブランドの#をつけて投稿してくれているお客様が把握できる状態で目の前にいる。意識的に自分から投稿してくれる人は一部で、潜在的に興味がある人はもっといる。そういうファンを活用するためのツールだと思います」。
SNS活用のメリットは、一方通行だったユーザーとのコミュニケーションが双方向になり、ユーザーとの距離が縮められる点にある。
「やればやるほどユーザー側からも近づいてきてくれる感覚があります。でも企画の内容としてはあまり反応がなかったこともある。『使えば簡単にファンを増やせる』というものではありませんが、使い方によっては可能だという手応えはあります」と鈴木氏は断言する。
今後の課題は効果の評価指標をどうやって設定するか
ユーザーからフォトジェニックな写真を提供してもらえるのは、EC事業者としてはありがたいこと。鈴木氏はvisumoを導入してから、ユーザーが投稿する写真のクオリティが上がっていると感じているという。
「コンテスト企画のときは投稿されるクオリティがとても高いし、普段の投稿も公式アカウントに載せられることをふまえて投稿していると感じる構図やポーズが多くあります。visumo導入前は日常のワンシーンのような投稿が多かったのが、フォトジェニックな写真を狙って撮っている投稿が増えました」そう鈴木氏。
これから公式アカウントを埋め尽くすくらいユーザー投稿を増やしたいと鈴木氏は話すが、その目的は必ずしもコンバージョンを上げるためではないという。
「コンテンツを見た人のコンバージョンレートは5.5〜6%と高いですが、売上げ自体は全体の1割程度。効果を判断する指標としてそれでいいのかな、という思いもあります。フォロワーを増やして売り上げに結びつけばもちろん良いのですが、それは結果論であって『グラニフは盛り上がってるね』というのが先にきて欲しい」鈴木氏はそう話す。
お揃いの柄Tシャツを親子で投稿されていたり、Tシャツの柄と同じポーズをとって投稿されていたり。実際にブランド側が意図していない方法でユーザー自身が楽しんでいる姿までもがブランドの魅力へとなっていっている。
「そういうシーンがリアルに受け取れるのが面白い。だからこそ『こうすれば売れる』という指標で判断したくないし、たとえ勝ちパターンがあったとしてもそれを意図するよりは、シーン的な盛り上がりでコンテンツを評価したいと思っています」。
感覚としてはファン層の広がりも深まりも感じるというが、それを数値としてどう検証していくかはこれからの課題だ。
SNSとECを連携させて見えてくる可能性
ユーザーとのコミュニケーションを活性化させてファンが増え、結果としてLTVが向上していくという流れを戦略としてどう仕込んでいくか。あるいはサイトを賑わす1つのコンテンツとしての役目に徹するのか。それは業界全体がこれから模索していくことになるのだろう。
「これからはユーザーと一緒に商品化する企画を開催するなど、独自性があるやり方でツールとしての使い方を試しながらコミュニケーションを深めたいと思っています。コミュニティ形成をしていくツールとして捉えれば、SNSは将来性があると思います」。
ビジュアルを使って商品やブランドを訴求するためのプラットフォームであるvisumoは、ユーザーが投稿する写真とそれでコンテンツをつくるEC企業の生の声を集め、時代に合わせて変化を遂げていく。
毎月のアップデートで使い勝手はどんどん向上し、デザイナーやコーダーの手を煩わせることなくコンテンツづくりができる手軽さもある。今後、ECサイトアカウントとインスタアカウントを紐づけて、そのユーザーがどれだけ購入しPRに貢献しているかというところまでが見えるようにしていく計画もあるという。
「その実行を待ちわびています。そうなるとこのツールは、たぶんすごくいいですよ」鈴木氏は期待も込めて笑顔で話す。一定のファンを持つブランドでSNS活用を考えるなら、visumoで始めてみてはいかがだろうか。