ピッキング作業時間が従来の1/2に。倉庫内作業も時短と効率化の時代へ

ECのミカタ編集部 [PR]

物流現場の中でも、多くのリソースが割かれる工程がピッキング。これまで長年にわたって“煩雑だけど仕方ない”ものとされてきた業務だが、近年では従来からあったピッキングカートの機能を最近の業務・業態に合わせた改善を行うことにより、EC物流を含めた多分野において、飛躍的に省力化や効率化ができるようになった。

新たに機能改善したピッキングカートの導入は、倉庫内業務にどのようなメリットをもたらすのか。“作業効率を2倍にする”マルチピッキングカートシステム「PS-1000」を開発した株式会社B-STORM 代表取締役社長の羽方将之氏と、実際に同社の製品を利用している株式会社GDL ロジスティクス管理部 部長の小野塚政行氏に話を伺った。

電気通信大学発のベンチャーが、物流業の課題を解決

電気通信大学発のベンチャーが、物流業の課題を解決

――まずはB-STORM設立の経緯と、事業内容について教えてください。

羽方氏:B-STORMは2017年、電気通信大学の創立100周年記念事業の一環である、ベンチャー育成のためのアライアンスを受けてスタートしました。

同大学の優れたシーズをビジネスシーンに有効活用するべく、さまざまな製品開発を行っています。得意とする技術領域は、ワイヤレス給電やロボットを動かすアルゴリズム、低消費電力データ通信などです。メーカーやソフト開発会社から、新規ビジネスの立ち上げまで、幅広い企業様とお取引をさせていただいています。

――GDLはどのような事業を展開しているのでしょうか。

小野塚氏:GDLは埼玉県内に大型の物流拠点を複数保有しており、そのリソースを活かした物流サービスを主要事業としています。EC事業を中核ビジネスと捉えており、ただ配送センターとしてモノをお預かりして発送するだけでなく、自社でのEC事業やマーケティング支援、コンサルティングなど、物流に関連した多様なサービスをワンストップで行えるのが強みです。

――大規模な配送センターを運営するGDLだからこそ、効率化のための手段が必要だったわけですね。「PS-1000」を開発したきっかけは何だったのでしょうか。

羽方氏:ECの隆盛とともに、ロジスティクスの構造にも変化が現れています。3PLのビジネスが変容していく過程で膨大になった業務の負荷を、いかに効率化するか。B-STORMの技術で何かお役に立てることがないか、と考えた時に着目したのがピッキング作業でした。とある物流会社様からピッキングカート製作のオーダーをいただき、「PS-1000」の開発に着手しました。

ただ、私たちは技術力には自信があるものの、物流における“現場感”はありません。そこで、実際にEC物流の倉庫を見せていただき、要件ヒアリングを重ねていきました。

――その物流会社からはどのようなニーズが挙げられましたか。

羽方氏:まずECの物流は、ひとつの倉庫の中で取り扱う品目が多いのが特徴です。棚の間隔も狭くなりがちで、そんな環境で毎日ピッキングしないといけません。しかも時期によって、作業量に波があります。さまざまな形状の倉庫に適応しつつ、日々変動する物流量に対応する必要があったのです。

小野塚氏:同様の課題は、以前からGDLにもありました。物流工程の業務改善が必要だと考えていた時に「PS-1000」の存在を知り、当社でも使ってみようということになりました。ちょうど新しい物流のプロジェクトが走り出した時期だったので、生産性にどう寄与するか検証するつもりで、その現場に導入しました。

――GDLとしてはピッキングカートの導入は初めてですか。

小野塚氏:はい、初めてです。お話を伺っていくうちに、B-STORM様の大学と連携した技術力に信頼感が持てたので、他社との比較検討はほとんどせずに決めました。

マルチピッキングカートが、倉庫内の移動距離を半分以下にする

――「PS-1000」の主な特徴を教えてください。

羽方氏:「PS-1000」は、タブレット端末と連携して、最大8つのオーダーを同時に処理することができるマルチピッキングカートシステムです。商品に持たせたロケーション情報と、倉庫に設置された棚をリンクさせることで、利用する倉庫に合わせたレイアウトマップを素早く作り、最適なルートを探索して提案します。

ハンディ端末のみを使用した場合、どうしても倉庫内の移動距離が長くなってしまいがちですが、このカートを導入すれば、およそ半分~1/3の移動距離でピッキングできるようになります。インターフェースは「誰でも操作できること」に配慮し、作業者が短時間で習熟できるようになっています。

――他社製品と比較した時の強みはありますか。

羽方氏:倉庫の通路は幅1m前後とかなり狭い場合も多いのですが、「PS-1000」なら最小75cmの幅があれば走行してマルチピッキングを行うことができます。また、LEDを使った表示機能はミス防止に有効で、作業効率を高めることができます。

――導入時の費用感はどれくらいでしょうか。

羽方氏:利用する倉庫の広さやWi-Fi環境、お客様の要望などにより変わるので一概には言えませんが、1台あたりおよそ70万円~80万円といったところです。倉庫スタッフの人件費と作業効率における費用対効果を考えると、そう長くない期間で元が取れるのではないかと考えています。

スムーズに導入できて、作業時間が大幅短縮

スムーズに導入できて、作業時間が大幅短縮GDL倉庫内の様子

――実際にGDLで「PS-1000」を利用してみて、効果はありましたか。

小野塚氏:2019年の12月中旬に「PS-1000」を導入して、現在でおよそ半年が経過しました。これまで30~40分ほどかかっていた作業を半分程度短縮することができました。全体的な効率は目に見えて上がっていて、教育の時間を短縮できたことなども考えると、その効果にとても驚いています。

導入した直後は棚の間を直線的なルートで動くようプログラムされていたのですが、機能改善していただいて、曲線やジグザグのルートにも対応できるようになりました。これでかなり効率がアップしました。利用開始後も随時カスタマイズしてもらえるのは大きいですね。バーコードを使った運用になって、作業ミスも大幅に減っています。

――現場スタッフの反応はいかがでしょうか。

小野塚氏:このようなカートを使うのは初めてだったので、導入直後は現場作業員に戸惑いもありましたが、いちど説明して使ってみると、すんなり受け入れられたように思います。視認性の高い画面で操作がしやすく、短い教育時間ですぐに独り立ちできるのも、「PS-1000」の大きなメリットです。

最初は一部範囲のみで使っていた「PS-1000」は、現在では当該業務全体で使用するようになりました。今のところは埼玉県の川島町にある大規模センターで使用しているのですが、今後は他の拠点でも導入できるよう、検討を進めていきます。

マルチピッキングカートの高い汎用性は、労働人口減少の対策にも

――「PS-1000」は、どんな企業におすすめしたいですか。

羽方氏:まずはやはりECの物流会社様です。あとは、店舗内に在庫を持たず、オーダーのたびに倉庫から取り寄せる形式の小売店様に出荷するメーカーの出荷倉庫や、工場における生産工程の部品供給などにも、この機構が役立つと考えています。

GDL様からも新しいアイデアや要望を数多くいただいています。引き続き最先端の技術を採り入れながら、それに応えられるように改善を図っていきます。

小野塚氏:当社では、物流に関連した新しいビジネスを次々と立ち上げています。B-STORM様は柔軟性が高く、要望にもフレキシブルに対応していただけるので、スピード感をもって新規事業を進めていくうえでとても頼りになります。EC事業を中心とした多様な物流サービスのニーズにお応えするうえで、今後のビジネスにも「PS-1000」をソリューションの一つとして活用していきたいと考えています。

――B-STORM社仕様のピッキングカートがこれからの物流業界で果たす役割は、とても大きそうですね。

羽方氏:もちろん従来通り、マンパワーでもピッキング作業はできるでしょう。ですが、長い目で見れば、これからはますます高齢化が進み、労働人口は減少していきます。

物流の業務量は時期によって波があり、ピークが来るたびに新しい人材を確保するのは現実的ではありません。「若い人がなかなか来てくれない」というお声は、すでに取引先の企業様からも聞いています。

高齢の方でも使いやすいピッキングカートを開発すること、また、テクノロジーによって作業効率を上げることは、企業の業績に貢献するだけでなく、大きな視点では社会的にも意義のあることだと思っています。

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