【事例紹介】一気通貫の物流業務を低コストで提供! 多品種小ロットにも対応するアドレスサービス
EC事業者にとって物流は自社商品とお客様をつなぐ重要な機能だが、取扱アイテム数が増えると業務が複雑・煩雑化し、サービスレベルの低下を招きかねない。受注から在庫管理、配送まで一連の物流業務を専門業者にアウトソースする動きも拡がっているが、出荷数量や費用面で利用をためらう事業者も多いだろう。今回インタビューした株式会社アドレスサービスは、圧倒的なコストメリットや多品種小ロット商品の取り扱いで近年注目を集める物流会社だ。谷﨑賢一郎常務と岡野達昭ECソリューション部長に、3つの事例を通して同社の強みやビジネスの特徴について話を聞いた。
60年の歴史と法人サービスの経験を活かす
――御社の会社概要・事業内容について教えてください。
岡野 当社は1962年創業の総合物流サービス会社です。今年で設立60周年を迎え、DMのメーリング業務をはじめ3PLや軽貨物輸送など幅広いサービスを提供しています。これまでは法人向けのビジネスが中心でしたが、5年前にEC物流事業に参入したことで、近年は個人向けのサービスが増えています。
――法人向けサービスの経験が、EC物流業務に活かされることはありますか。
谷﨑 一番大きいのはコスト面での優位性です。長年にわたる取引でさまざまな配送キャリア様と互いに信頼関係を築けているので、EC物流業務でも同業他社に比べて競争力のある価格が提示できていると思います。
――EC物流ではどのようなサービスを提供しているのでしょうか。
岡野 WMSのつなぎこみはもちろん、商品の保管から在庫管理、ピッキング、梱包、配送に至るまでの物流業務全般を一気通貫でお請けします。商品さえ倉庫に入れていただければ、受注から発送までの業務はすべて当社で対応します。デザイン会社や制作会社とも連携しているので、段ボールや緩衝材など資材の調達やデザイン面でも、他社に比べてコストメリットが出せる点も強みです。
――小規模事業者や個人事業主への対応はいかがですか。
谷﨑 中堅・大手はもちろんですが、毎月の出荷量が100個程度のお客様でもお取引させていただきます。ただし、ビジョンが共有できたり、今後の成長がイメージできたりする企業であれば、月100個という目安に届かなくても大丈夫です。まずは一度ご相談ください。
【事例①】配送キャリアとの信頼関係でトラブル回避
――これまでさまざまな事業者を支援してきたと思いますが、印象に残っているクライアントはいますか。
谷﨑 トラブルを抱えたある会員制通販会社様と配送キャリアを当社が仲介し、新規契約を結べた事例がありました。そのクライアントとは、毎月約10万件のDM発送でお付き合いがあったのですが、取引中のキャリアから配送料の大幅値上げを打診され困っていました。別のキャリアへの切り替えを模索したのですが、過去のトラブルで新規契約が結べないという状況だったので、当社がフロントに立つ形で取引を成立させることができました。
――配送キャリアと御社の長年にわたる信頼関係が契約成立を後押ししたのですね。
谷﨑 契約を結んだキャリアと当社は長年の付き合いがありました。「アドレスさんがフロントに立ってくれるのなら」ということで、案件進行はスムーズでした。また、配送料金は値上げ要請前の水準に抑えられたので、クライアントからも信頼を得られました。当初はDM発送だけの取引だったのですが、今では物流業務全般を視野に入れたコスト削減・業務効率化の提案を行っています。
【事例②】荷受けや在庫管理・配送までをワンストップで
──ワンストップで業務を請け負える点がプラスに働いた事例はありますか。
谷﨑 ある照明器具メーカー様は、現倉庫での宅配料金が高く、コンテナ受けもできないという悩みを抱えてご相談にいらっしゃいました。倉庫管理システムは変更したくないということでしたので、当社で新たにアカウントを取得し、商品の保管・管理から配送までを一括で受託した結果、配送料金のコストダウンやコンテナ荷受け、既存システムでの運用などお客様のご要望を満たすことができました。当初は全て自社で管理していたようですが、業務をアウトソースすることで結果としてコストダウンと効率化につながりました。
──物流業務を外部委託することに二の足を踏む事業者もいらっしゃいますよね。
岡野 確かに商品の保管や管理は自社でできないことはありませんが、そこに関わるスタッフの人件費や作業時間などを考えると、外部委託するメリットはあると思います。実際、こちらのクライアントは業務をアウトソースしたことでできた空きスペースを有効活用したり、浮いた資金を商品開発やコロナ対策に回せたりできるようになりました。
【事例③】一元管理で多品種小ロットに柔軟に対応
──システム連携や多品種小ロットへの対応についてはいかがでしょう。
岡野 例えばある化粧品のベンチャー企業様は、5つのECモールやカートシステムで女性向けスキンケア商品を販売していました。アイテム数が多い上、EC以外にも独自ルートで販売網を持つなど、受注管理に課題を抱えており、その改善を求めてご相談をいただきました。
そこで当社では、クライアントがすべての受注情報を集約して一元管理できるようにシステムを改修しました。販売形態を問わずに受注管理ができるスキームを構築したことで、多品種小ロットでも混乱なく業務を推進できるようになったとご評価いただいています。
──売上げが計算できないベンチャー企業との取引はリスクがありませんか。
谷﨑 そうですね。ただ冒頭に申し上げたように、ビジョンが共有できればお断りする理由はありません。実際このクライアントは計画的にマーケティングをしているし、ブランディングを進めていました。広告予算もしっかり確保するなど、伸びしろを感じたのでお取引させていただきました。
依頼者の売上を伸ばす“攻め”の提案も
──さまざまな成功事例をうかがってきましたが、改めて物流業務をアウトソースするメリットについてお聞かせください。
岡野 本業の負担になる業務はアウトソースするべきです。特に経験やノウハウが必要な物流業務は物流のプロフェッショナルに任せ、メーカーは魅力ある商品づくりやその商品を売るための施策に注力することが望ましいでしょう。苦手な業務を無理して行うのではなく、得意な業務にリソースを集中させた方が、結果としてもっとも高いパフォーマンスを発揮できるからです。
当社では、受注から商品配送までの一連の物流業務を一気通貫で提供しています。法人向けサービスで配送キャリアとも長年のお付き合いがあるため、コスト面でも競争力のある価格をご提示できるはずです。
──物流業務全般を御社にアウトソースすることで、結果としてコスト削減につながることもありそうですね。
谷﨑 そうですね。ただ、当社ではコストダウンのご提案だけにとどまらず、削減できたコストを売上げアップにつながる施策に再投資することをお勧めしています。たとえばターゲットを絞り込んだDM発送や、新規顧客に向けてのアプローチなど、我々がお手伝いできることは少なくありません。こうした複層的な支援ができる点が当社の特長であり、多くのEC事業者様に選ばれているポイントだと自負しています。