LTV予測の短期化で、高速・高精度な広告PDCAを実現

ECのミカタ編集部

LTV予測の短期化で、高速・高精度な広告PDCAを実現 株式会社イルグルム
製品戦略部 製品戦略課 課長
笹井 俊宏
Toshihiro Sasai

業界内の競争は激化しているのに、規制強化により施策の幅は限定されている。株式会社イルグルムの笹井俊宏氏によれば、昨今のEC業界は「冬の時代」なのだという。苛烈な環境で勝ち残るためには、どのように広告を打ち集客すればよいのか。笹井氏を直撃取材し、CPA至上主義の限界と、それに代わるLTVベースの集客について話を伺った。

競争激化・規制強化により
「EC業界は冬の時代」


笹井 EC業界全体の売上は右肩上がりなのですが、新規参入者の増加により競争は激化しています。一昔前は独立系の通販事業者や大手企業が多くを占めていたところ、さまざまな業種・業態の企業が競争に参加しつつあります。例えば多額の出資を受けたベンチャーをはじめとする強力な企業も多く見られます。スピーディーな意思決定や資本力を兼ね備えた競合の存在は、既存のEC事業者にとって大きな脅威です。競争は量的・質的に激化しており、CPAは悪化、広告コストの投資回収期間も長期化してしまっている状況です。
こうした競争激化に加え、個人情報保護の潮流で影響を受けている事業者も増えている印象です。AppleがITPと呼ばれるトラッキング防止機能を搭載し、EU域内ではGDPR(EU 一般データ保護規則)が適用となっています。日本でも個人情報保護法が改正されるなど、プライバシーの観点からの規制が広がり、サードパーティーCookieの廃止などリターゲティング広告への制限も強まっています。CVの計測精度にも影響する可能性が高く、広告効果自体の低下に加え、効果測定も困難になりつつあります。
EC事業者にとっては、冬の時代だと言えます。もちろん、突破口を見つけて飛躍的に成長している企業様も中にはいらっしゃるのですが、ほとんどのEC事業者様は苦戦を強いられている模様です。

なぜ、LTVに基づく
効果測定が求められているのか


笹井 苛烈な状況を打破するためにはどうすればいいのか。一つ考えられるのは、確かな広告効果測定に基づくPDCAサイクルの実行です。コミュニケーションを重視したクリエイティブに注力して施策を打ち、その効果を確実に測定する。改善策を考え、新たな施策を実行する。確かな効果測定を基軸としながらPDCAを高速で回すことで、効果的な広告運用が可能となるはずです。
効果測定に際しては、CPAだけではなくLTVも参照することをおすすめします。CPAを無理やり改善しようとするとトレードオフでリピート率が低下し、LTVにもネガティブな影響を及ぼすことがあります。もちろん、LTVを念頭において広告を運用されている企業様も多いとは思います。しかし広告投資の回収期間が長期化している現在、ただ目標として掲げるだけではなく、実際にLTVに基づいた広告投資判断を下すことが求められているといえます。
ただし、LTVの活用は容易なことではありません。その理由はいくつかありますが、最大の要因としてはLTVを実測するのに時間がかかり過ぎてしまうことが挙げられます。ご存じの通り、広告分野においてはPDCAをいかに高速で回せるかで施策の成否が分かれ、通常は長くとも月単位での見直しが求められます。一方、LTVを算出するためには1年以上かかってしまうこともあります。広告のPDCAとLTV計測の時間軸が合わないことが、LTVを活用しづらい最大の要因だと考えております。またLTV算出は往々にして属人的であり、その算出結果の信用性に疑問を持たれる場合も多くあります。結果的にLTVを広告効果測定に用いる難易度は高く、多くの方が疑問を持ちながらもCPAベースで広告効果を測っていたのではないでしょうか。

従来は年単位だったLTV予測が
最短1カ月で実現


笹井 そこで弊社が提供するのが、LTVForecastというLTV予測ツールです。こちらはアドエビスのオプション機能であり、従来は長ければ1年以上かかっていたLTV実測を最短1カ月で予測することができるため、広告予算の迅速な再配分につなげられます。
アドエビスとは、Cookie規制にも対応している高精度な計測でデジタルマーケティングにおける正確な意思決定を支える広告効果測定プラットフォームです。2004年のリリース以降、導入実績は累計1万件を超えるなど、たくさんのお客様にご利用いただいていますが、長期的な広告の収益性も考慮したいというお声をかねてから多くいただいておりました。そこで2021年の6月、オプション機能としてLTVForecastをリリースいたしました。
LTVForecastの開発で何よりも大切にしたのが、事業者様の理想をベースにお作りすることです。事業者様にとっての理想的なオペレーション構築を考え、特にリピート購入が多くLTV予測が重要な企業様を念頭に置きながら、事業者様ファーストで設計しております。その点、北の達人コーポレーションで社外取締役も務められている田岡敬氏に開発協力いただき、本機能をリリースしました。迅速なLTV予測に基づき安定的な経営に貢献できるプロダクトだと自負しております。
また、複雑な設定が不要なところも特長の一つです。アドエビスの設定さえ完了していれば、お客様の基幹システムから注文データをアップロードするだけで、LTVの予測値を算出することができます。工数や属人性を気にすることなくLTV予測に基づいた広告運用が可能になることに加え、アドエビスのUIを引き継いでいるので違和感なくお使いいただけます。事業責任者の方やCRMをご担当の方、広告代理店の方をはじめとする皆様が、広告のPDCAを高速で回せるようご支援いたします。

LTV予測に基づく運用で
本当に効果のある広告を


笹井 D2C企業にとってカスタマーサクセスが大切であるように、EC事業者にとってはLTV予測が必須だと考えています。LTVForecastを通してLTV予測による効率的な広告運用が浸透していくことを期待しています。
今、サードパーティーCookieの廃止や規制強化をはじめとして、外部環境が大きく変化しています。そうした中で各事業者様が売上やキャッシュフローを安定して向上させ続けるためにはどうすればいいのか。日本全体のマーケティングを前に推し進めるために、弊社としても新たなサービスづくりに挑戦し続けます。

ECのミカタ通信vol.23 ~変化を遂げたEC市場!今後の”あるべき姿”とは~

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本記事は、2022年3月31日に発行された冊子「ECのミカタ通信vol.23」に収録されています。
EC事業者皆様の、今後の”あるべき姿”を追求するテーマの第一弾として、特に「集客・接客」について多くの取材記事を掲載しています。
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