米国発QuartileのAIにアマゾン広告運用を任せるべき理由【株式会社Legoliss セミナーレポート】
Amazon上の広告配信を自動最適化する、米国発の広告自動最適化AIツール「Quartile(クォータイル)」が2024年2月ついに日本に上陸。Quartile 社はAmazon認定テクノロジーパートナーであり、2年連続Amazon AdsテクノロジーイノベーションカテゴリでAmazon Ads Partner賞全米ファイナリストに選ばれている。ではいったい、Quartileとはどのようなサービスなのか? MIKATA株式会社の主催により開催された「ECのミカタカンファレンス」では、Quartile社のパートナー企業である株式会社Legoliss(レゴリス)のQuartile Sales Directorの柏木佑介氏と、Quartile Marketing Managerの小西未紗氏に登壇していただき、詳細を伺った。セミナーより、解説の概要を紹介する。
世界最大級のリテールメディア最適化・自動化プラットフォーム
世界で5300社以上の広告主が利用し、年間広告出稿額20億ドル(日本円にして約3076億円)にのぼるQuartile。小西氏によると、Amazonならではのイベントの多さにうまく対応しその機会を最大限に活用するために、Quartileは最適なソリューションであるという。7月にはプライムデーがあり、それが終わると10月にはプライム感謝祭、年末のブラックフライデーから初売りと、常になにかしらのイベントの準備に追われているというリテール業者も多いだろう。
「イベントは大きなビジネスチャンスですので、競合店に負けないよう注力したいと思いつつも、煩雑になりがちな入稿作業や入札作業、プレイスメントの設定のような細かい作業には手が行き届かないというのが実情ではないでしょうか」と小西氏。
これを、QuartileのAIを活用すれば、設定された目標に向かって着実に広告運用を実施。「Amazonの管理画面に張り付いていなくても着実に成果をあげていくことができるのです」(小西氏)
そのQuartile AIでできることは、大きく分けて以下の3つだという。
1.【予算設定と広告タイプの選定】
どの広告でどれだけ効果が上がっているのかをAIがクリック数などのデータから学習し、より消費者の目に触れやすい面や時間帯に予算を割り振ったり、その商品に最も適した広告タイプの設定を自動的に行う。
2.【キーワード入札の戦略立て】
どのキーワードを使えば効果的なのかをAIが学習し、効果が高いキーワードを追加していき、逆に同時に効果の低いキーワードは削除する。
3.【DSPの活用とリーチの拡大】
DSP(デマンドサイドプラットフォーム)を活用してイベント日の1週間前から配信を強化するなど、適切なタイミングで適切なオーディエンスにリーチできるようにする。
Quartile導入事例:ROAS改善やオーガニック売上高前年比291%の例も
ではQuartileを実際に導入するとどのような効果が得られるのか。柏木氏は以下の事例を取り上げた。
まず1つ目は、多数の商品を販売し、自社でスポンサー広告を運用していた国内サプリメントブランドの事例。このブランドはROAS(広告の費用対効果)が思わしくなく、売上も低迷していたが、AI導入には懸念があった。そこで部分的にパフォーマンスが低かったASIN(Amazon商品標準番号)のスポンサープロダクト広告とディスプレイ広告の2つについての最適化から導入を開始。わずか2週間でACOS(広告費売上高比率)を改善しつつ、売上高も増加させ、一番の課題だったROASを、6週間で4.14から4.6に改善した。現在は最適化の範囲を拡大し、さらなる運用を進めているという。
「今年に入ってサプリメント業界で発生した問題の影響で、業界全体が縮小し、トレンドが平均30%ほど低下する傾向がありました。そのような中で、実はQuartileのAIに任せていたキャンペーン群については、むしろ売上増が見られました。この結果は、否定的なメガトレンドにも対抗できることを証明できた、良い事例だったと考えています。また月間50時間ほどかかっていた作業を半分ほどに減らすことができたことも、非常に高く評価されています」(柏木氏)
2つ目は、小規模セラーが大手ブランドに立ち向かって成功した事例として、米国キッズ専用水泳用ゴーグルを販売する「Frogglez Goggles」の事例を紹介。需要が高まる時期は、大手ブランドの競合商品も同様に露出を強化してくるため、競争が激化することが課題だった。
そこで以下の施策を実施。
・スポンサーブランド広告を強化し、認知を向上
・スポンサープロダクト広告を活用し、水泳関連商品を探しているユーザーにリーチ
・Amazon DSP配信により、過去に購入を検討した消費者をリターゲティング
・Quartile活用により時間帯別自動配信で運用に強弱をつけ、冬場のオフシーズンは配信金額を抑え、夏場のピークシーズンに最適化
これらにより、前年比ACOSは57%減少し、オーガニック売上高は前年比291%という成果を得た。
Quartile管理画面の構成
効果が実感できるQuartileだが、分かりやすさも特長の一つだ。
小西氏によれば、管理画面は大きく3つで構成されており、まず「広告キャンペーン管理」では、広告の予算やプレイスメントを自動最適化、時間単位・ASIN単位の入札・独自AI及びルールの最適化を行うことができる。
次に「オペレーションツール」では、カテゴリーごとのベンチマークを見ることができたり、入札キーワードのレコメンド機能を活用することができる。また、在庫分析機能により「在庫状況を加味した上で広告配信を行うことができるので、在庫がなくなってしまっているのに広告がずっと流れ続けるという問題を防ぐことができるのもメリット」(小西氏)になる。
そして3つ目の事例は「高度なレポート」だ。「AMC(Amazon Marketing Cloud)を用いたクロス分析などはテクニカルな問題で難しいと感じる方も多いかもしれませんが、Quartileを使えばレポート化が可能となります(※1)」(小西氏)。可視化されることで、戦略も立てやすくなる。
また、QuartileではACOS目標に沿ってAIが時間帯別に最適なキャンペーンを自動生成し、入札まで行う。
「例えば、深夜の時間帯がよく売れている、土日の時間帯がよく売れているというデータがある場合、これらをヒートマップ化して、反応が低い水色のゾーンでは極力入札をせず、反応が高い赤色ゾーンに積極的に入札をかけるというロジック」(小西氏)になっているので、常に人が監視する必要がない。
※1:AMCレポートの提供はDSP配信をLegolissに依頼しているアカウントに限定される
専任担当による日本語サポートあり
最後に、Quartile導入後のサポートについて解説があった。特長的なのは、各社に専任の担当者が1名付き、最低でも月1回の定例会を開催して、顧客戦略に基づく設計支援をすること。「米国発のソリューションということで、言語面で不安を抱く方も多いのですが、管理画面は日本語に対応していますし、請求も日本円なので為替リスクもありません」(小西氏)
「ツールの料金に加えてスポンサー広告の運用費用がかかるのかという質問をよくいただくのですが、私たちはAIを適用した広告費に対してのツール利用料のみをご請求しています。また導入までのタイムラインとしてはおよそ4週間」と柏木氏。改善を検討しても導入までに時間がかかるケースも少なくない。今すぐ変えていきたいということであれば、部分的運用も可能でクイックに導入できるQuartileは有力な選択肢の1つとなりそうだ。