PayPayを加え集客力最大化!Yahoo!ショッピング最新戦略とは?LINEヤフー森島氏が講演【LINEヤフー株式会社 基調講演レポート】
2024年7月、ECのミカタ主催で「ECのミカタ カンファレンス」Yahoo!ショッピング編を開催。その基調講演に、LINEヤフー株式会社の森島芳治氏にご登壇いただいた。昨年10月に発足した同社が今提示する、Yahoo!ショッピングの戦略や新しい取り組みとは何か。基調講演からお届けしよう。
ヤフー、LINE、PayPayとの連携をより強めていく戦略
Zホールディングスやポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社、コミュニケーションアプリ「LINE」を運営するLINE株式会社などの5社が2023年10月1日に統合され、総社員数約2万人の巨大企業LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)が誕生した。ヤフーもLINEも非常に多くのユーザーを持つ大手企業だが、Yahoo!ショッピングで使用可能なスマートフォン決済サービス「PayPay」を加えることで、集客力を最大化していくという。
2023年3月からLINE・ヤフー・PayPayが共同で提供するサービス「LYP(エルワイピー)マイレージ」がスタートしているが、今後はその連携をさらに強化していく方針。旧 Yahoo!プレミアムをベースにLINE特典を加えた「LYPプレミアム」が2023年11月にスタートし、会員数は2444万人に到達しており、「LYPプレミアムユーザーのロイヤリティの高さを実感しています」と森島氏は話す。
LINEの月間利用者数が9600万ユーザー、Yahoo! JAPANが5400万人とそもそもユーザー数が非常に多いのだが、一番伸びが大きく直近6300万人まで登録ユーザー数が増加しているのがPayPayだ。日本の総人口1億2000万人の半分以上を取り込んでいる状況であり、森島氏はPayPayとの連携に大きな期待を寄せた。
25周年を迎えたYahoo!ショッピングの再成長戦略とは
Yahoo!ショッピングは2024年でサービスローンチから25周年を迎えた。記念すべき年である今年、再成長を目指していると、森島氏。そのポイントとなるのが、Yahoo! JAPAN、LINE、PayPayを抱えるからこそできる、会員数の拡大だ。
Yahoo!ショッピングをリピートしてもらうために力を入れているのが、「ヤフーショッピング商品券」 関連の施策だ。また、初めてYahoo!ショッピング使った人にクーポンを配布するなどの初回利用時特典の魅力度を向上させる施策や、LYPプレミアムに登録すると定常的にポイントが7%貯まるようにするなど、初回利用以降も特典を継続することで、会員数の拡大を後押ししていくという。さらに超PayPay祭と独自販促「BIG BONUS」を中心にグランドスケジュールを作成し、販促計画を定常化していく方針だ。「Yahoo!ショッピング」出店者様の売上向上やストア運営をサポートするための販促オプション「プロモーションパッケージ」もアップデート。
「3%という成果報酬をいただいておりますので、しっかりとアドバンテージを出せるように機能を追加しています」(森島氏)
今後は参加ストア対象となるキャンペーンを強化するほか、細かくダッシュボードをチェックできるように「プレミアム統計」をアップデート予定。さらにリピーター強化のための期間限定の「あなただけのタイムセール」やポイントを獲得できるスタンプカードなどの施策を展開していく。
商品検索、ユーザー接点から購買体験を強化
またYahoo!ショッピングの新しい取り組みとして、トップページや検索画面、製品紹介画面、レビューなどを動画で確認できるようにして、商品探索体験の強化を実現している。また獲得ポイントを“貯める”と“今すぐ使う”いつでも好きな方を選べる機能、割引対象商品をわかりやすく訴求しまとめてお得に購入できる機能「まとめ割」、送付相手の「住所がわからない」を解消し、手軽にギフト購入できる「ソーシャルギフト機能」を追加して、購買体験の強化を実現。「我々が特にプッシュしているのが、2024年3月から追加した『ソーシャルギフト機能』です。ソーシャルギフトの需要は今後さらに増えてまいりますの、ぜひご活用いただきたい」(森島氏)
ユーザー接点施策としては、「あなただけのタイムセール」「あなただけの限定割引」などのメッセージのLINE PUSH通知を追加実装。ユーザーが同一店で3商品を購入するたびに貯まっていく「VIPスタンプ」、「ストアアカウントをLINEの友だちに追加するとポイントアップ」という内容を定期的にLINEに配信する「シナリオ配信」など、LINEの動線を活用した取り組みを強化している。
また、2023年夏頃からヤフーが特に強化しているのが、「安心・安全な売り場」への取り組みだ。
「『以前よりも出店しにくくなった』という声もいただいていますが、その分、審査が厳しくなっているとご理解いただきたい。不正レビューの削除、商品の未着詐欺対策も強化していますし、無在庫転売の排除もさらに強化しています」(森島氏)
2024年6月からは、実店舗での受取が出来る機能を追加。「今年6月13日からUXを改善したところ、その直後から売上がアップしまして、6月後半には120%伸びている状況になりました。コロナが落ち着いた今、店頭受け取りが使っていただきやすくなったことが要因と考えております」(森島氏)
最後に森島氏は、「ECにおいて重要なこと」として以下の様にまとめた。
「成功体験を生んでいただくためには、ぜひ3つのポイントを押さえてください。まず『検索・SEO対策』をしっかり行うこと。2つ目は『データの利活用』です。Yahoo!ショッピングは個人情報の共同保有が認められています。Yahoo!ショッピングで買っていただいたお客様の情報を分析していただき、DMP(Data Management Platform:データを収集、整理、分析、活用するためのシステムやツールのこと)につないでしっかりと適切な配信を行うというCRMをコントロールしていっていただければと思います。そして3つ目は購買体験の向上です。コロナ禍においては、インターネット通販の店舗同士の比較が多かったと思いますが、いまや実店舗との比較も入ります。よってツール活用や買っていただいたお客様へのアフターフォローも大事だと思っています」(森島氏)
検索/SEO・データ利活用・購入体験の3つを押さえることで、まだまだ売上拡大はできる。基本的なことながら、システムやデータの扱いが変わる中で、改めて自覚的に行っていく必要がありそうだ。